さつまいも−かんしょ(甘薯)

Satsumaimo   甘味が強いので料理よりは石焼芋などの間食としてのおいしさが際立ちますが、天ぷらも。 ジャガイモと同様に中央アメリカ原産でスペイン人が世界に広めた重要な救荒作物ですが、甘味が強いので主食級の作物にはなりませんでした。 主食になるには、栄養素、作りやすさ、保存性の他に淡白な味でなければたくさん食べられないからです。
(写真は紅あずま)

品種 ヒルガオ科サツマイモ属。やせ地でもよく育ち強風にも強いので、重要な救荒作物です。温暖な地を好むので 日本では主に関東以南で栽培されています。
原産地 中央アメリカ原産で古くから南アメリカで栽培されていました。15世紀末にスペイン人がヨーロッパに持ち帰って広めました。 コロンブスがスペイン王に献上したとか。
日本には1597年に琉球に伝来し、最初は琉球で栽培されます。 その後、薩摩、長崎と順次、九州地方に広がっていきました。 1735年に幕府が蘭学者の青木昆陽に試験栽培を命じ、1737年に栽培に成功。 昆陽は「甘藷記」というパンフレットを作ってサツマイモの現物ともに諸国に配り、以後関東地方でも広く栽培されるようになります。
種類 粉質のものと粘質のもの、皮の色、でんぷんの含有量や大きさ(小さいほど舌触りがいい)で用途ごとに数多くの 品種が出回っています。戦前からある在来種、戦後に改良された品種、最近10年以内に改良された新しい 品種という分け方もあります。
  • 紅アズマ−現在の主要品種の一つで特に関東地方で人気があります。皮が華やかな紅色で、中身が黄色。 甘味が強く、ホクホクとしていて繊維質が少ない。最近の市場の要求に総て合致しています。細長いものが多く、 長さは15cm程度。
  • 高系14号−紅アズマと並ぶ主要品種でずんぐりとしています。皮は赤褐色です。甘味が強く繊維質が少ない。 7月から出回ります。1945年に高知県で育成。鳴門金時などの枝変わり(品種の中の細かい品種)も多い。
  • 紅赤−金時とも呼ばれる美味で有名な在来種。 皮は華やかな紅色で中身は生の時は白っぽいのですが加熱によって華やかな黄色になります。 1898年に埼玉県川越市で山田いちさんという方が発見したという話で、川越の特産です。 粉質ですが適度に粘りもあるので、キントンに最適です。また火がとおるのが早いので天ぷらにもむいています。
  • 黄金センガン−皮は淡い茶褐色で中身はごく薄い黄色です。鹿児島などで栽培されていて、 でんぷん採取用や焼酎の原料にもされますが食味もいいです。 Murasaki_imo Murasaki_imo
  • 紫唐芋−沖縄、種子島の特産で皮は淡い茶褐色で、中身は紫色。加熱すると華やかに発色します。 そのまま食べても美味しい他、和菓子の色づけなどに使われます。
一年中市場に出回っていますが、本来の収穫時期は8月から12月。品種によっても異なります。 採れたてより2ヶ月ほど貯蔵しておいたものの方が糖分が増えて甘味が強くなっています。
成分 野菜中もっとも糖分が多く、ビタミンC、E、カリウム、食物繊維が豊富に含まれています。 カロリーはジャガイモより低く、米の約3分の1です。
市場 1999年現在、年間約100万トンが日本で生産され、このうち鹿児島県が34%を占めています。 2位と3位は茨城県の19万トン、千葉県の16万トンで関東地方になります。全体の生産量は微減。 輸入は2万トン程度。

Koppamochi 右の写真は熊本の”こっぱ餅”。「こっぱ」とは干芋の事で、乾したさつま芋をつぶして餅に練りこんだものです。 焼いて食べると非常においしい。


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制作日:2001年10月8日
更新日:2003年1月5日
上田 泰久