しじみ(蜆)

Shijimi 味噌汁に入れると懐かしい土の香りと濃縮された貝の味。寒さの厳しい季節にいただくと心から温まる感じがします。 夏バテ気味の時にも、一口飲む毎に栄養が補給されていくようです。 実際にミネラル類を豊富に含んで栄養価も高く、厳寒期と真夏に旬があるという貴重な食材です。
(写真はヤマトシジミ)

産地と品種 北海道を除く全国に分布しています。
  • 関東圏で最も普通に売られているのは大和シジミです。黒か褐色で光沢があり、殻の内側は白色です。 淡水と海水の混ざった汽水域の砂泥地に生息します。島根県の宍道湖、青森県の十三湖、千葉県の利根川河口が有名。 汽水湖の淡水化などで減少しています。
  • マシジミ−貝が小さい時は緑がかった褐色で焼け焦げのような小さな黒い斑点があります。殻の内側は紫色です。 スーパーなどでもたまに売られています。こちらは澄んだ小川などの砂地に生息するので、農薬散布、護岸工事、 水質汚染、などで激減してしまいました。ただし、雌雄同体、体内受精、卵胎生で繁殖力が強いので、 条件が整えば爆発的に増殖します。
  • 琵琶湖水系の砂地に住んでいるのがセタシジミです。関西圏では最も一般的なシジミでした。 ヤマトシジミの近縁種ですが、ヤマトシジミのように受精卵・幼生が浮遊せずに親貝の近くに沈んで育ちます。 水質汚染により、漁獲高は激減。2000年の漁獲高は最盛期の60分の1になってしまいました。
1月から2月の厳寒期の”寒シジミ”と8月の猛暑の”土用シジミ”が旬と言われています。ヤマトシジミの場合、 宍道湖では厳寒期が身が肥っていて旬、十三湖では冬はシジミが砂にもぐって採れず、夏が旬です。 春と秋には身が痩せて味もボケてくるようです。食べる側の人間の方も、 厳寒期や猛暑の季節になると泥臭い刺激を欲するようになるのかもしれません。
成 分 タウリン、アスパラギン酸、コハク酸が豊富に含まれています。ミネラル分も多く、特にカルシウムはアサリの4倍、 牛乳の3倍、各種ビタミンもウナギに匹敵します。  
調理方法 色の薄い貝ほど泥臭さが少ないです。真水で3〜4時間、砂抜きをします。砂抜きをしっかりするほど泥臭さも減ります。 また、米を洗う要領で貝をゴシゴシと洗いましょう。時間がかかってめんどくさいですが、しっかり洗えば味が澄んで きます。味噌汁の具が一般的ですが、十三湖近辺では味噌3割、塩7割ぐらいで吸い物と味噌汁の中間のようなシジミ汁 にします。このシジミ汁をご飯を炊く時の水の代わりに入れて炊きあげるシジミの炊き込みご飯もおいしいです。  
コメント 水質のバロメーターですね。”シジミを増やそう”をスローガンに自然保護や水質浄化に取り組んでいる自治体もあります。 最近は中国や台湾からの輸入物も増えてきましたが、それら外来種の投棄による繁殖が問題になってきています。 色々な意味で日本の生物について考えさせられる貝です。  


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制作日:2001年7月28日
更新日:2002年5月6日
上田 泰久