Shio 料理の基本的なトーンを決めてしまいます。 1997年に専売塩の制度が廃止されて、塩の製造販売が事実上自由化され、多くの種類が手に入るようになりました。 「塩」と言われる物の中には塩化ナトリウムだけではなく、ニガリと言われる他のミネラル分が含まれていて、 そのバランスで味わいが変わります。粒の大きさや形、サラサラの度合いなども考慮して、 料理に最適な塩を選びましょう。

歴 史 明治38年に、外国から輸入される安くて高品質の塩に対抗して、日本の塩の品質を高め安定供給するために 専売制がひかれました。戦前・戦後を通して、濃縮方法の合理化(塩田から流下式)、煮詰め釜の改良 (平釜式から真空式)などが行われ、1970年前後にイオン交換膜を使った膜濃縮せんごうの方式が導入されます。 国内の製塩事業者も大手の7社だけに絞られました。
これにより、生活に必要な基本物資である塩の品質を高め、自国で安価に供給するという目的は達成されましたが、 生活レベルの向上により、ニガリを含んだ塩など多様な品種の塩への要望が出て、自然塩という名称で専売の ルートを通さない特殊用塩が家庭用に出回ってきました。1997年4月に専売制が廃止され、大口以外の塩の製造、 輸入、販売は事実上自由化されました。
種 類 下記の作り方による分類の他に、精製度(またはニガリ分の少なさ)による分類、粒の大きさ(粉末<0.1mmから 粗大粒>5mmまで)、粒の形(立方晶、擬集晶、フレークなど)、乾燥度(未乾燥、乾燥、低温焼塩、高温焼塩) などの分類があり、調理に使う時には解け具合やそのまま口にした時の感触の違いを意識する必要があります。 また、これらの特性によりかさ密度(スプーン一杯で何グラムか)が最大で2倍も変わりますので、注意が必要です。
作り方 大きく分けて以下の3種類の作り方があります。
  • 岩塩:太古の昔に海水などが閉じ込められて蒸発し、地中深く(地殻変動で地表近くに出ているものもあるが) にある塩の層を採掘して得る。通常は他の鉱物(特に健康上有害な重金属など)を取り除くために、 一度溶解してから釜で炊いて煮詰め精製して使います(せんごう塩になる)が、 特にきれいな岩塩はそのままミルで挽いて使う場合あります。 世界の塩の約3分の2は岩塩から作られますが、日本には岩塩の層はありません。
  • 天日塩:海水を自然に蒸発させて作った塩。日本は雨が多いので天日塩を作るのには適していません。メキシコ、 オーストラリア、中国、インドネシアなどから輸入しています。
  • せんごう塩:海水などを釜で炊いて煮詰めたり、膜透析(百万分の1mm位の孔のあいた膜に電圧をかけ、 塩分を選択的に通す方法)で濃縮したりして作ります。日本には岩塩は無く、雨が多いので天日塩もうまく 作れません。ほとんどがせんごう塩です。海水の代わりに岩塩や天日塩を一度水に溶かしたものを使い、 精製のためにせんごうする場合もあります。(自然塩として売られている製品の中にも、輸入した天日塩を 一旦海水で溶かしてからせんごう、精製したものがあります。)
海水を蒸発させたり、煮詰めたりしたものには、塩化ナトリウム以外のミネラル分が含まれています。(ニガリ) ニガリを除去するためには、遠心分離機を使ったり、ザルのようなものの上に放置して 自然に抜けるのを待って(1ヶ月から3年)から塩を使ったりしています。
成 分 市販の塩(ブランド品等)の成分については、こちらをご覧ください。
調 理 塩の旨みと調理については、こちらをご覧ください。
市 場 塩は食用(2000年:125万トン)の他に、ソーダ工業など工場、業務に使われます(780万トン)。 総てのカテゴリーを含めた場合、日本は世界最大の塩輸入国で、85%を輸入に頼っています。
コメント マグネシウムなどのニガリ成分の量だけにこだわらずに、結晶の形、大きさ、乾燥度合いなどを考えて塩を選びましょう。 実際に料理をしているとサラサラした塩の方が使い勝手が良い場合が多いと思います。

塩と調理

市販の塩の成分


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制作日:2001年8月6日

更新日:2003年11月16日
上田 泰久