醤油(しょうゆ)

日本の誇る発酵調味料。発酵食品に特有の匂いや原料の大豆の味を押さえ込んで、 旨みと格調高い香りだけを引き出しています。 アジアの醤油には漁醤油(秋田のしょっつる、ベトナムのニョクマムやタイのナムプラ−など。) などもありますが、ここでは主に、大豆などから作る穀醤油(つまり普通の日本の醤油です。)について書きます。   Shoyu

歴 史 中国本土、台湾、韓国でも大豆から作る醤油がありますが、これらの醤油の技術が伝わったわけではなさそうです。 味噌は奈良時代から日本にありましたので、自然発生的に味噌の上澄みが調味料として 使われるようになっていたと考えられますが、特に紀州(和歌山県)の湯浅でこれが一般的に広まって、 1580年頃に味噌・醤油製造の「玉井醤」が開業した、というのが通説です。
その後、1644年に湯浅の浜口儀兵衛が房州(千葉県)の銚子に渡って技術移転が行われ、 やがて全国に広まっていきました。
種 類 下記の表参照。
作り方
  • 小麦を炒ってひき割り、同量の蒸した大豆(または脱脂加工大豆)とまぜて麹をまぶす。 (炒った小麦を加えることによって複雑な味わいと香ばしさを出しています。ここが日本の醤油の特色です。)
  • この状態で4日ほど保温し醗酵させます。
  • その後、大豆・小麦と同量の塩水を加えて大樽に入れてモロミ(諸味)を作ります。
  • これを定期的にかき混ぜながら6ヶ月から1年3ヶ月ほど熟成させます。 塩水はモロミを雑菌から守って乳酸菌や酵母などを緩やかに活動させる働きをします。
  • 熟成が完了したモロミを絞って出てきたものが生揚げ(きあげ)醤油、これにさらに塩水を加えて 加熱殺菌したものが市販される醤油です。最近では加熱加工しないでセラミックフィルターでろ過殺菌した生醤油も 出回ってきました。
中国や韓国では大豆だけで作ったり、大豆と米で作ったりしています。まず味噌を作ってから、これを乾燥させて から砕き、そこに塩水を入れて熟成させることが多いようです。
成 分 醤油には塩分の他に、旨み成分であるグルタミン酸、アスパラギン酸、コハク酸、酸味を感じさせる乳酸や酢酸。 苦味を感じさせるペプチド、甘味を感じさせるグリセリンやグリシンなどのブドウ糖など大豆や小麦のタンパク質が発酵作用で 分解されてできた多様なアミノ酸、有機酸が含まれています。
市 場 醤油の年間生産量は106万キロリットルで、市場は微減傾向です。 生産量の1%にあたる1万キロリットルが輸出されています。 市場価格がかなり安くなっていますが生産者は大丈夫なんでしょうか?




醤油の種類

種 類 材料と製造方法 生産地と生産量 代表的な料理
濃口醤油 大豆と小麦を同量使用。 全国で生産されているが、千葉県の銚子や野田が有名。醤油全生産量の82.5% 一般的な醤油。
淡口醤油 濃口醤油と同じだが塩分が多めで、熟成期間は短め。仕上げの段階で甘酒を加える。 兵庫県竜野地方の醤油だが関西圏を中心に全国に普及してきている。全生産量の14.5% 関西圏で、野菜の煮物などに使用される。
白醤油 小麦が中心で大豆はほんの僅か。 愛知県で生産される。全生産量の0.8% うどんのつゆ、野菜の煮物など。
タマリ醤油 大豆に比べて小麦の使用はほんの僅か。 愛知、三重、岐阜県などで生産される。全生産量の1.8% さしみ、照り焼き、せんべい、佃煮など。
再仕込み醤油 大豆と小麦を同量使用して、モロミを作る段階で塩水の代わりに生揚げ醤油を使う。 醤油を2度醸造するような形になる。 山口県の柳井地方を中心に九州、中国地方で生産される。全生産量の0.7% 刺し身や寿司。


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制作日:2001年7月27日
更新日:2005年1月30日
上田 泰久