そら豆(空豆、蚕豆)

Soramame きれいなヒスイ色がさわやかな初夏を感じさせます。 サヤが天に向かって伸びるように生えるので”空豆”、 またサヤがカイコの形に似ているので”蚕豆”という字が使われます。
古代文明を支えた世界最古の農作物の一つで、今でもエジプトと中国の人に愛され続けています。

品種 豆科ソラマメ属。高温多湿に弱いので夏にかからないように秋に種をまいて初夏に収穫します。 しかし寒さにも弱いので冬でも温暖な土地でしかできません。
日本各地で様々な名前で呼ばれています。その土地によって空豆の利用法と収穫期が違うからです。
四月豆(四国)、五月豆(静岡)、夏豆、冬豆(神奈川、冬に植えるから)、雪割豆(千葉)、 大和豆(大和(奈良県)で多く作られたので)、雁豆(伊勢)、唐豆(九州)、南豆(花が南向きに咲くので)など。
原産地 野生種がある北アフリカからカスピ海南岸にかけてが原産地と推測されていますが、はっきりしたことは分かっていません。 なにしろ5000年以上前からチグリス・ユーフラテス川流域で栽培されていましたので。 その後、古代エジプト、ギリシア、ローマなどで栽培され、中国にも今から2000年前には渡っていたようです。 まさに古代文明を支えた栄養源だったわけです。 日本に渡来したのは奈良時代で、インド人の僧ボダイセンナが中国を経て渡来した時に持参し、 それを日本の遊行僧の行基(ぎょうき)という人物が各地に紹介したという話です。
旬は4月〜6月。桜の咲く2ヵ月後がその地方での空豆の旬だと言われます。 現代でも店頭に出回る期間は短く、はっきりと”季節”を感じさせてくれる野菜です。
見立て 鮮度が落ちるのが早いので、なるべく新鮮な物を買ってその日に食べるのがコツ。 特にサヤから出してしまうと水分が蒸発して甘味も減るので、なるべくサヤつきの物を買いましょう。 サヤにツヤがあり、サヤの中の綿がパンパンに詰まっているような感触のものが新鮮です。 サヤが黒ずんでいるものは古いものです。
調理方法 ゆでて食べる場合には、サヤごとゆでた方が香りが高く旨み・甘味も濃くなります。 火が通りやすいので加熱しすぎに注意しましょう。サヤごとゆでる時でもゆで時間はサヤ無しの時と同じです。
醤油豆:香川県の郷土料理です。 空豆を皮付きのまま煎ります。空豆の皮に皮にまだらに焦げ目がつく程度。(鉄製の鍋は避けましょう。 皮に含まれるタンニンが黒くなってしまいます。香川では焙烙(ほうろく)を使います。) 熱いうちに醤油・ミリン・砂糖・唐辛子・水で作った調味液に1〜2日間漬け込みます。
Tarmeiya ターメイヤ:エジプト料理。おいしい。お勧めです!
空豆(500g)をゆでて皮をむき、つぶします。 鶏ひき肉(100g)とニラ(50g)・ニンニク(一片)・パセリ(一枝)をみじん切りにして炒め、 塩・コショウ・コリアンダーで調味してさまします。これを溶き卵(1個)とつぶした空豆と混ぜ、 直径8cmぐらいの小型のコロッケの形にまとめて小麦粉をつけ、160度で揚げます。 材料には総て火が通っているので、揚げ時間は短め。
市場 世界では約400万トン(豆を乾燥した状態で)。その60%が中国産です。
日本では年間わずか1,000トン程度。毎年生産量が落ちて消え行くある作物の一つです。鹿児島(30%)、 千葉(20%)、香川(10%)が主な産地です。
コメント ソラマメ病というのを聞いた事がありますか? 地中海の島々には体質的に空豆を食べると溶解性貧血を起こす人がいるという話です。 ソラマメ病の場合は体質(遺伝と言われます。)の影響が大きいようですが、 一般的に豆類には毒素を含むものが多いようです。例えば大豆は人類にとって重要な作物ですが、 タンパク質の消化を妨げるプロテアーゼ阻害物質を含んでいます。 これらの毒素の多くは水にさらす事で洗い流されたり加熱によって無毒化されたりしますので、 人類は長い期間かけてこれらの毒を取り除いて豆の栄養だけを得る方法を開発してきたのです。


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制作日:2002年4月30日
更新日:2003年10月26日
上田 泰久