お酢には清涼感があり、酢の物などを食べると食欲が呼びさまされます。江戸前寿司でも、コハダのすっぱさにハッとして、
また次のネタが食べたくなります。 「酢」という漢字はお酒のカメを表す象形文字の「酉」と、 スッパイ事を表す窄める(すぼめる=乍)が組み合わされてできているように、スッパイ酒であり、 お酒を発酵させて作ります。フランスのワインビネガー、 イギリスとドイツのモルトビネガーなどのように世界各地で代表的なお酒から独自のお酢が作られていて、 東洋ではお米をはじめとする穀物から穀物酢が作られています。 (写真は鹿児島産の黒酢−壷酢) |
歴 史 | 酢は塩に次ぐ古い調味料で紀元前5000年のバビロニアの古文書にも見られるそうです。 お酒をそのまま置いておくと酢になるわけですが、うまく酢にするには温度などの条件を管理しなければならず、 太古の昔からこれを調味料に使う目的で人工的に作って管理していたという事でしょう。 日本には400年ごろに中国から”いずみ”(大阪)地方に伝えられたと言われています。古名は苦酒(からざけ)。 |
原材料・造り方 | 基本的にはアルコールを酢酸菌によって酢酸発酵させて作ります。米から作る米酢の場合には、 蒸米に麹カビを付けてでんぷんを糖分に分解し、酵母(イースト)の力でそれをアルコールに変えてまず酒を作ります。 その後に酢酸菌を加えて30度で1〜2ヶ月ほど酢酸発酵させ、熟成、酸度の調整(水で薄める)、 火入れという工程を経て出荷されるのが一般的です。麹カビ、酵母、酢酸菌という3種類の微生物の力を借りていることになります。 |
種 類 | 「食酢」として定義されるのは酢酸が主成分のお酢で、梅酢やレモンの絞り汁などは入りません。
食酢はアルコールを酢酸発酵させて作った醸造酢と酢酸の原液を薄めて調味料
を加えた合成酢に分けられますが、現在では風味の劣る合成酢はほとんど作られておらず、
流通している99%が醸造酢になっています。 醸造酢の種類についてはこのページをごらんください。 |
成 分 | 主成分は酢酸なのですが、糖分やアミノ酸(原材料に含まれていたタンパク質が分解されてできる)が含まれていて、 まろやかさや味わいを出しています。醸造酢の種類のページ にお酢の種類毎の平均的な糖分・アミノ酸の含有量をのせましたのでご覧ください。 |
調理における酢の効用 |
お酢は「合わせ調味料」と言われていて、通常は二杯酢、三杯酢
のように醤油や砂糖と合わせて使われます。
色々な合わせ酢の割合と使い方についてはこちらをごらんください。
西洋料理においても、マヨネーズやドレッシングなどはお酢とその他の調味料を混ぜたものですよね。 酸味を得ること以外のお酢の効用は以下のとおりです。
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調理のポイント | 酢酸は熱により蒸発しやすいので、煮物などに最初から入れる時は多めに入れます。
最初から入れる必要が無い時はなるべく後から加えます。 魚の酢締めの時はまず十分な塩で締めてから酢に漬けます。塩がミオシンを溶けやすくして酢を染み込ませます。 いきなり酢を加えるとタンパク質が凝固して酢が染みこみにくくなります。 |