飛魚(とびうお)

Tobiuo

海面から10mの高さ、ひと飛びで200mも飛ぶと言います。 関東以北ではあまり食べられませんが、南西日本では夏の味として親しまれています。脂が少なく淡白な味で、 各地で色々な料理法が考えられて郷土の味になっています。 日本海側ではアゴと呼ばれて料理やダシの元として重宝されます。(写真はツクシトビウオだと思います。)

品 種 ダツ目トビウオ科。マグロなどの大型魚に追いかけられると海上を飛んで逃げます。 少しでも身体を軽くするために食べた物はすぐに消化してしまいます。腸もごく短く、 脂肪分も少ないシェープアップされた身体になっています。 日本近海には20種類以上が生息していて各地で様々な名前で呼ばれているので、 種類の名前は混乱しています。 関東の市場では春に採れる春トビと夏に採れる夏トビの2つに大雑把に分けられて扱われます。
  • 春トビ−大部分はハマトビウオという種類で3月頃から店頭に並びます。大型で丸っこい。 クサヤの原料になります。ハマトビウオは晩秋にも九州で漁獲されます。
  • 夏トビ(本トビ)−最も多いのはツクシトビウオという種で、小型です。 幼魚がアゴだしの材料になる他、鳥取のアゴチクワの原料になります。 この他にトビウオホソトビウオアヤトビウオホントビウオが夏トビとして扱われます。
産地と旬 2月・3月に沖縄や五島列島で採れ始め、太平洋・日本海の両側に分かれて季節とともに北上していきます。 春から初夏にかけて海岸付近で産卵しながら北上を続け、 丹後、若狭では5月・6月に現れるので夏告魚と呼ばれます。旬は種類と地方によってバラバラですが、 産卵が終わってからエサを食べて再び魚体が充実する6月〜8月がおよその旬です。
成分 脂肪分が1%と特に少なく、タンパク質は20%以上もあります。 このため干物・乾物にして保存しても脂肪が酸化してまずくなる事が少なく、 逆にタンパク質がアミノ酸に分解されて旨みが出てきます。乾物にしてダシを取るのにむいているのです。
調理方法 すごく新鮮なものは、刺し身でもおいしく食べられます。加熱すると固くなるので煮魚には不向き。 焼き魚にする時も焼き過ぎないようにして、冷めないうちに食べましょう。脂肪分が少ないので、 油を加え料理法(揚げ物、炒めもの)にむいています。クルミ、ピーナツ、アーモンドなどをまぶして揚げると美味。 大量に採れる身近な魚で、また淡白で加工しやすいので、各地で色々な料理法が考えれらています。
  • くさや(八丈島・三宅島)−クサヤにはアオムロやクサヤモロがよく使われますが、 脂肪が少なくタンパク質の多いトビウオでも美味しいクサヤができます。
  • トビ揚げ(主に関西)−シンジョウ揚げです。トビウオは脂肪分が少ないので揚げものにむきます。 包丁で良く叩いてからすり鉢ですり、塩、生姜汁や胡麻などを混ぜて5cmぐらいの円盤状にして中温で揚げます。 安くて美味しい料理。
  • アゴ出汁−長崎から佐渡近辺までの日本海側ではトビウオをアゴと呼び、 幼魚を素焼きして乾燥させたものをダシに使います。特に長崎では正月のお雑煮に欠かせません。
  • アゴ竹輪(山陰)−トビウオを原料にしたチクワ
  • 魚うどん(宮崎)−戦後の食糧難で小麦粉が不足した時に、 小麦粉の代わりにたくさん採れる魚を原料にしてうどんを作ったのが始まりというウソのような本当の話。 当時はシイラを使っていたそうですが、最近になって味を追求する郷土料理として見直され、 トビウオが原料として使われるようになりました。すり身をうどん突きで熱湯の中に押し出して作ります。  
市場 2000年の漁獲量は9600トン。毎年6000トンから1万トンの範囲で変動していますが長期的には安定しています。  


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制作日:2002年8月13日
更新日:2003年6月1日
上田 泰久