トマト

Tomato   さわやかな酸味が食欲をそそります。生のまま食べる事の多い野菜ですが、 地中海料理のようにソースのベースとして使うと料理の味をぐっと引き立ててくれます。
高温多湿の日本では栽培の難しい野菜ですが、品種改良や栽培方法の工夫が盛んに続けられています。 (写真は桃太郎)

品種 ナス科トマト属。原産地のアンデス高原の環境に適応してか、水分の少ない荒地でも生育できるように 根の伸びる力が大変強い植物です。逆に多湿を嫌います。
原産地 南米のアンデス高原(標高3000mの高地)が原産です。 アンデスでは紀元前1000年には栽培されていたという説もあるようですが、 一般には10世紀ごろメキシコに持ち込まれた野生種のトマトが栽培化されたという説が有力です。 1530年頃にスペイン人の航海家によってジャガイモと共にヨーロッパにもたらされました。 最初は観賞用として栽培されていましたが、 1600年頃から南欧諸国で煮物やケチャップとして食用にされるようになります。 日本には17世紀に紹介されました。ヨーロッパに持ち込まれた時と同様に最初は観賞用で、 一般に食べられるようになったのは明治になってから。ケチャップの普及とともに全国に広まりました。
種類
  • 赤色系−皮が厚くて黄色。酸味と香りの強いトマトで、世界各国で食べられていますが、 日本では生食用としては好まれず、加工用になっています。 米国ではローマトマトという縦長のトマトを見かけます。 サン・ドライド・トマトと言う乾トマトもこの品種だそうです。
  • 桃色系−皮が薄くて無色透明。トマトの香りが弱く甘味があるので日本では生食用に好まれています。 桃太郎は完熟型と呼ばれるタイプで1970年代後半に登場して以来急速に広まりました。 果肉がしっかりしていて収穫後の傷みが少ないので、株の上で完熟してから収穫できます。 そのため甘味が強く酸味も適度にあるのが人気の理由でしょう。5月から9月が最盛期です。
    First ファースト(写真)−桃太郎が普及する前はこのファーストが主流でした。果実の先端が尖っています。 種の周りのゼリー状の部分が少なく果肉がしっかりしていて薄く切っても崩れにくいので、 ハンバーガーやサンドイッチに使われます。12月から3月にかけて出荷されます。
  • ミニトマト(チェリートマト)−小粒で丸型のミニトマト。野生種に近く家庭菜園でも作りやすい。 丸のままお弁当に入れたりと、使いやすいので需要が急増しています。
本来は夏が旬ですが、現在では旬が不明確です。 もともと高温多湿にも低温にも弱いトマトは日本の気候では栽培しにくく、 ハウス栽培や雨よけ栽培でこれらの気候を乗り切ったものが出荷されていきます。 また、たくさんとれる時期が最も美味しいわけではありません。(実の成長が遅いほうが味が濃くなります。)
成分 旨み成分であるグルタミン酸が全窒素1gあたり2300mgと非常に多く、アスパラギン酸も豊富です。 南欧でトマトがソースのベースとしてよく使われているのも、 これらのアミノ酸が料理の味を引き立てる役目を果たしているからかもしれません。 トマトの赤い色は抗酸化物質として注目されているリコピンというカロチノイドの一種の色です。 その他、ビタミンA、C、ベータカロチン、食物繊維のペクチンも豊富に含まれています。
目利き ヘタの部分で新鮮かどうかを見分けてください。 丸っこく全体に張りがあり、重みのあるものが美味しいトマトです。四角っぽいトマトは中に空洞がある事が多いようです。 ひび割れのあるのものはさけましょう。
市場 日本の生産量は約30万トンです。
世界の生産量は約9,000万トンで毎年増加しています。穀物とブドウを除くと、世界で最もたくさん作られている野菜です。


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制作日:2002年4月7日
更新日:2003年10月26日
上田 泰久