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夏と言えば怪談話。
日本の幽霊の元祖ともいうべき「お岩さん」
はあまりにも有名だ。
お岩さんは四世鶴屋南北作の世話物
『東海道四谷怪談』の主人公であるが
そのお岩さんの墓が西巣鴨・妙行寺
(みょうぎょうじ)にある。
と言うと、「お岩さんて実在の人物なの?
『四谷怪談』はフィクションでしょ」と思わ
れる人が多いだろう。
しかし芝居の脚本が書かれる約200
年前お岩さんは実在したのだ。
妙行寺はもと四谷にあり、お岩さんの
家は妙行寺の檀家であった。
寺の過去帳に法名と没年が載っており
末裔の田宮家では「お岩さんは
貞女だった」と主張する。
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| お岩さんの眠る西巣鴨の妙行寺 |
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『東海道四谷怪談』は四世南北(1755〜
1829)が71歳の時に書いたもので
文政8年(1825)7月、江戸・中村座で
三世尾上菊五郎のお岩・小平・与茂七の
三役、七世市川団十郎の伊右衛門、五世
松本幸四郎の直助らにより初演された。
歌舞伎の見せ場としては、浪宅で
髪の毛が抜けて変貌する「髪すき」の場
隠亡堀では戸板の裏表に張り付けられた
お岩・小平の幽霊が現れる「戸板返し」
また「提灯抜け」や「仏壇返し」などの
仕掛けが見られ、お岩の役は尾上家の
家芸として継承されている。
お岩さんを芝居や映画にする時
興業が無事に終るようにお詣りしないと
祟りがあると信じられている。
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お岩さんの墓。
中央、多重塔の形をしたもの。
右は法名「得證院妙念日正大姉」
の刻まれた石塔 |
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四谷三丁目にある「於岩稲荷田宮
神社」はお岩さんゆかりの神社。
末裔の方によると、
「実在のお岩さんは夫婦仲良く貞淑な妻
で屋敷内の稲荷社を信仰し、そのお陰で
傾きかけた家が再興された。
このご利益にあずかろうと江戸中の
人気を集めた。従ってお岩さんの祟り
とか怨霊は全くの創作だ」とのこと。
この「於岩稲荷神社」の向い側に
日蓮宗・陽運寺がある。
こちらにも於岩稲荷の赤いのぼり
旗が立っている。
ここにはお岩さんの木像があり、
お願いすれば拝観出来る。
お岩さん没後360余年、
今後も「四谷怪談」とともに、
お岩さんの名は語り継がれて
いくことだろう。
虚実織り交ぜて。
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新宿区左門町にある於岩稲荷
田宮神社(右)と陽運寺の
於岩稲荷(左)の二つののぼり旗 |
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陽運寺にあるお岩さんの木像
台座とも36cm、江戸後期に製作
されたものという |