第2話
〜天界と闇界〜
杏花は、目を覚ました。
おそらく、まだ早朝であろうが、目覚めは良かった。
慣れない天界での初めての夜だったが、思ったよりも熟睡できた。
隣のベッドの方に視線を向けるが、そこにはすでに誰もいなかった。

(ダーツさん、もう起きたのかしら?)

考えてみれば、ダーツは王様なのだから、きっと忙しいのだろう。

すっかり目が覚めてしまったので、杏花は起き上がった。

着替えは用意してくれてあったので、それに着替えた。

そうして、寝室のドアを開け、一人で部屋の外に出た。

   

   

   

しかし、王宮は広い。

(迷子に……なるかも………)

部屋を出てからすぐに、杏花は不安な足取りになった。
まだ早朝なので人通りはなく、周囲も薄暗い。
少し歩くと、中庭に面した長い廊下に出た。
その廊下を歩きながら中庭を眺めていると、中庭に立つ誰かの姿を見つけた。
(あれは………瑠璃さん?)
それは、漫才兄弟……いや、番兵兄弟の弟・瑠璃(るり)だった。
瑠璃は何かに集中していて、杏花の姿に気付いていない。
瑠璃は拳を構えると、目の前に置かれた大きな岩石に向かって振り上げた。
「はぁああっ!岩砕拳ッ!!」
その掛け声と共に、瑠璃は拳を岩石に力一杯ぶつけた。
ドガァッ!!
一瞬にして、人の何倍もあろうかという岩石は粉々に砕け散って跡形もなくなった。
(す、すごい…!)
杏花は呆然とそれを見ていた。
そういえば、琥珀さんが『瑠璃は天界一のバカ力』だって言ってたっけ…。
ようやく、杏花の姿に気付いた瑠璃が、軍服の上着を持ってこちらに歩いてくる。
「お早いお目覚めですね、杏花様。」
瑠璃は、少し息を乱しながら言った。
「瑠璃さん、こんな朝早くから何してたの?」
「日課のロードワークと技の練習です。他に、腹筋や腕立て伏せとか……」
「すごい……琥珀さんもこんなに強いのかしら?」
「兄者は剣術、俺は体術を得意としています。」
瑠璃さんって体力派なんだ…と、杏花は瑠璃の鍛えられた腕の筋肉を見つめていた。
「天界を守る為、日々の鍛練は欠かしません。」
「守るって……何から?」
杏花が聞くと、瑠璃は軍服の上着を羽織りながら、真面目な顔で見返した。
「天界の敵………闇界の手から。」
「やみかい………?」
聞き慣れない言葉に、杏花は聞き返した。
だが瑠璃は一瞬、思いつめたような顔をした後、グっと拳を握りしめた。
その時。
「瑠璃ーー!るーちゃんーー!!」
杏花が立つ廊下の反対側から、瑠璃の名を呼びながら琥珀(こはく)が歩いてきた。
琥珀は杏花の姿を見つけると、明るい笑顔を向けた。
「杏花様、お早うさん♪めっちゃ早起きやなー!」
「お、おはよう……ございます。」
あまりに明るい性格の琥珀に、杏花の方が圧倒されてしまう。
「瑠璃、そろそろ正門の守り番に入る時間やで!」
「ああ、分かっとる。……ん?ちょい待てや!!」
瑠璃は関西弁で言うと、ピタっと動きを止めた。
同じく、琥珀も動きを止め、真剣な顔つきで周囲を見回す。
「気配を感じるで…………瑠璃、気ぃつけろや、近くにおる!!」
杏花は一人、何も分からずに二人の様子を見ていた。
(え?なに??もしかして…………敵の気配とか!?)
すると突然、琥珀が手から剣を出現させた。
これが、剣術を得意とする琥珀の武器、『天翔剣』(てんしょうけん)だ。
「そこやぁっ!!」
そう言って、琥珀は中庭の茂みの1つに剣を突き刺した。
だが、手ごたえがない。
「兄者、そっちやないで!!」
瑠璃が叫ぶのと同時に。
琥珀が突き刺した茂みの隣の茂みから、スっと顔を出した男。
「こっちだ、阿呆。」
そう言って、その男は無表情で琥珀を見据えていた。
「くっ!外したぁ…!!」
琥珀は、悔しそうにした。
茂みから出て来た男。
年齢は琥珀と瑠璃と同じくらいで小柄な男だ。緑色の髪をしている。
目つきが鋭く、どこか気性が荒そうに見える。

   

   

「ってか、てめえ!当たってたら俺に刺さってたじゃねえか!!」
琥珀に向かって怒鳴りつけるが、琥珀はちっとも動じない。
「それを当たらへんようにするのが、忍者の修行やで?」
「忍者じゃねえ!俺はアサシンだ!!」
どうやら、あの男は敵ではないと分かって、杏花はホっとした。
「ねえ、あの人も王宮の天使なの?」
二人を呆れ顔で見ていた瑠璃に、杏花は問いかけた。

「はい。翡翠(ひすい)と言う名の天使で、役職はアサシンです。」

「アサシン……そんな物騒な役職もあるのね…。」

アサシンとは、暗殺者の事である。

柄の悪そうな人だけど、王宮の人達は皆優しいから大丈夫よね…

と思って、杏花は自ら進んで翡翠に歩み寄った。

翡翠は杏花の姿を見ると一瞬で顔が青ざめて、パっと後方に飛び跳ねて距離を取った。

その軽い身のこなし、やはり忍者のようである。
近寄っただけなのに拒絶されたようで、杏花は足を止めた。
翡翠は、杏花に怯えるような素振りで言う。
「おい!!聞いてねえぞ!!俺の知らないうちに女が増えてるなんてよ!!」
琥珀がやれやれ、と息を吐く。
「ひーちゃんは任務であんま王宮におらへんから知らないんやで。」
「『ひーちゃん』って呼ぶんじゃねえ!!」
どうやら、普段からこうやって翡翠は琥珀に遊ばれているらしい。
「えっと……杏花です。よろしく………」
そう言って再び杏花が歩み寄ろうとするが、翡翠は素早く反応して飛び跳ねた。
そして、あっという間に姿を消した。
「え……あれ??」
目にも止まらぬ早さに、杏花は目を丸くした。
「杏花様、気にせんといて下さい。」
瑠璃が、杏花の背後から声をかけた。
「そうやで、ひーちゃんは女性が大の苦手なんや。変わっとりますやろ?」
琥珀が、笑いながら言った。
「兄者に言われとうないわ……」
瑠璃のツッコミ…というか、呟きには、やたら感情がこもっていた。
「なんやて!?るーちゃん!天王様一筋の俺のどこがおかしいねん?」
「もう、仕事に行くで。」
そう言いながら、漫才兄弟は王宮の正門に向かって歩いて行った。
その場に残された杏花は、しばらくボーっとしていたが……
「………瑪瑙(めのう)さんの所に行こうかな……」
王宮の中で唯一、道を覚えている瑪瑙の診療所へ行ってみる事にした。

   

   

   

   

   

   

瑪瑙の診療所は、王宮から少し離れた場所にある。

離れてるとは言っても、徒歩数分の距離である。

その道を歩いている途中、杏花は女の子に出会った。

杏花と同じくらいの年齢で、赤く長い髪。

その子を見るなり、杏花は思わず叫んだ。
「あーーー!!女の子っ!!」
いきなり叫ばれて、少女はビクっと驚いた。
「わ……なんだ!?」
「ごめんなさい、王宮で女の子に会ったのが初めてだったから…。」
「あ、そうか。あなたが杏花様だね。」
ハッキリとした口調で、サバサバしている。
女性的な外見とは反対に、口調が男っぽい少女だった。
「私の名前は紅瑪(あかめ)。よろしく。」

   

   

女の子だし、見た目の年齢も近かったし、何よりも敬語を使わない。
なんだか親近感が湧いて、杏花は嬉しくなった。
紅瑪が白衣を着ていたのを見て、杏花は『もしかして?』と思った。
「ねえ、紅瑪さんは……」
「『紅瑪』でいいよ。」
「紅瑪は、診療所の人なの?白衣を着ているから。」
「うん。私は兄さんの助手をしてるんだ。」
「兄さんって、瑪瑙さん!?
「そう。瑪瑙は私の兄さんだよ。」
杏花は改めて、紅瑪を見た。そういえば、雰囲気といい、髪の色といい……似ている。
そうしているうちに、二人は診療所に辿り着いた。
紅瑪は、元気よくドアを開けた。
「兄さん、杏花様を連れてきたぞーーー!!」
しかし、中からは反応がない。
じっと待っていると、やがて部屋の奥からゆっくりと人影が現れた。
「あれえ?紅瑪、杏花様も。どうしたの〜?」
相変わらず、瑪瑙はのんびりした口調で言った。どこか、寝ぼけているようだ。
昨日の瑪瑙とはまるで別人……普段の瑪瑙は、こんなにも気の抜けた人なのか…
と、杏花は驚きを隠せない。
紅瑪は腰に手を当て、瑪瑙の正面で堂々と仁王立ちした。
「だらしないぞ、兄さん!また、寝ないで研究に没頭してたんだろ!?」
「ええ〜〜〜だって〜……新しい研究が……(ブツブツ)」
「どうせ、朝ご飯もまだなんだろ?すぐに作るから、部屋を片付けて!!」
「は〜い……」
やる気のない返事をして、瑪瑙は部屋に戻った。
どうやら、天界一の医師でも、妹には頭が上がらないらしい。
そんな紅瑪を見て、杏花は『かっこいい…』と思った。
「杏花様も、朝ご飯食べて行きなよ!
「うん、ありがとう。
随分としっかりした妹さんだな、と杏花は感心しつつ、部屋に入った。
紅瑪が朝食を作っている間、瑪瑙と杏花は部屋で待っていた。
瑪瑙はコーヒーを飲みつつ、書類や研究資料で散らばった部屋を片付けていた。
「紅瑪って瑪瑙さんの妹なのに、正反対なのね。」
「そうかな〜〜〜、似てませんか?」
「うん。顔は似てるけど、性格は正反対。あ、それを言うなら琥珀さんと瑠璃さんもね。」
「番兵くん兄弟とは違うと思うけどなあ……。」
そう瑪瑙が呟くと、紅瑪が部屋に入ってきて、テーブルに食器を並べた。
「うん。違うよね、兄さん。私達は『兄妹』じゃないもんね。」
その言葉に、杏花はキョトンとした。
「え??どういう意味??」
紅瑪は堂々とした態度で答えた。
「私は兄さんのクローンだよ。」
「…………………。」
その場の時間が、止まった。
杏花は固まったまま、小さく口だけを動かした。
「……………へ?」
ようやく出せた声が、それだった。
「………クローン?……」
「やだなあ、そんなに驚いた?そう、私は兄さんに作られたクローン天使。」
紅瑪は明るく笑いながら言った。笑い事ではない気がするのだが…。
さらに、瑪瑙が緩く笑いながら続ける。
「そうなんだよね〜、クローン研究してたら、一度だけ成功して生まれたのが紅瑪なんだよね。」
なんだか、二人はサラっとすごい発言をしている気がする。

この王宮の天使は、皆ダーツが生み出したものだと思っていた。

こんな例外を作ってしまうなんて、瑪瑙さんって天才を越えて、すごい人!?

「つまり、瑪瑙さんは自分のクローンを生み出したのね……。」

「そういう事ですね♪」

「なんか、天界に来て一番驚いたわ……。」

杏花は、全身の力が抜けていくのを感じた。

こんな事で、これから先、自分の精神力は大丈夫だろうか。

クローンとは言っても性格は正反対だし、何よりも紅瑪は女性だ。

まあ、便宜上は兄妹としているみたいだし、上手くやってるみたいなので問題はないのだろう。

「ところで、瑪瑙さん。」

気を取り直して、杏花は瑪瑙に真面目な顔を向けた。
「『闇界』ってなに?」
その言葉を聞き、瑪瑙は一瞬、真顔になった。
「闇界………。闇界には、僕の愛しい梅ちゃんが……」
「兄さん!真面目に答えなよ!!」
紅瑪に一喝され、瑪瑙はビクっ!となった。
「これも真面目な話なんだけどなあ……。」
子供みたいに、瑪瑙はしょんぼりとした。
「闇界は、天界の敵だって瑠璃さんが言ってたわ。」
杏花が切り出したので、瑪瑙もようやく話し始めた。
「天界とは異なる世界です。常に夜、光の射さない世界なので『闇界』と呼ばれています。」
「どうして敵なの?」
「戦争中なんですよ。とは言っても、闇界が一方的に天界を攻撃しているだけの。」
瑪瑙は、テーブルに置いてあった食用の卵を1つ、手に取った。
「天王様には、石から天使を生み出す力があるのは知ってますよね?」
「うん、知ってるわ。」
「闇界の王も、天王様と同じく、石から命を生み出す力を持っています。」
瑪瑙は、卵を杏花の目の前に見せた。
「天使は元々、こんな卵サイズの小さな石が命の源なんです。」
杏花は思わず、その卵をジッと見つめた。
「そして、天使は死ぬと石に戻るんです。
今度は、卵を小皿の上にパカっと割ってみせた。

瑪瑙さんは何の話をしているんだろう?と杏花は思ったが黙っていた。

「でも、その石が砕かれない限り、天王様の力によって石を再生する事が出来ます。」

「つまり、生き返るって事よね?」

「はい。しかし、その石を奪われて闇界の王の手によって再生させられたらどうなりますか?」

杏花は、ハっとした。

「天使が……敵の手下になっちゃうのね。」

「はい。そうやって全ての天使を殺して石に戻し、それを奪い、我が物にしようと企んでいます。」

「悪い国じゃない!闇界って!!そうやって天界を支配しようとしてる訳でしょ!?」

しかし瑪瑙はそれに同意せず、表情を曇らせた。

「……そうとも言い切れませんけどね。」

瑪瑙は、天界と闇界の戦争についての詳しい事情を知っているようだった。

だが、今はそれ以上話したくはなさそうだった。

その事を察したのか、紅瑪がその会話を中断させた。

「もう、そのくらいでいいだろ?朝食も出来上がったし、ご飯にしよ!」

明るく元気な紅瑪の声で、その場の空気が一気に明るくなった。

「ああ!僕、納豆は嫌いなのに〜〜!!」

「なんでも食べなきゃダメだぞ、兄さんは!!」

そんな和やかな空気の中、杏花はふと思った。

(なんか、天界と闇界って深い事情がありそう……。)

今は、そのくらいしか気にしなかった。

まだ、杏花には身の回りの事で精一杯で、世界の事情までを気にする余裕はない。

だが、瑪瑙が闇界の事を話した、本当の理由。

いずれ天王の妃となる杏花はこの先、この闘いに巻き込まれるであろうから。

『全ての天使が味方とは限らない』

それを、伝えたかったのだ。

ふと、紅瑪が無言で席を立った。

台所に向かうと、何かを手に持って、そのまま外へと出た。

キョロキョロと辺りを見回した後、1本の木に視線を定め、見上げた。

「ひーすーい!!

紅瑪が木の上に向かって呼び掛けた。

すると、木の上で昼寝をしていた翡翠が、すぐに下りて来て紅瑪の前に着地した。

「久しぶりだね、翡翠。

紅瑪が微笑みながら言うと、翡翠は照れた顔をして横を向いた。

「あの女がいたから入れなかったんだよ。

「コラ!杏花様をそんな風に言うんじゃない!」

アサシンである翡翠は、任務の為に天界に居る事が少ない。
こんな風に、たまに帰ってきては紅瑪と会うのを楽しみにしていた。
女性が苦手なはずの翡翠だが、何故か紅瑪にだけは心を許していた。
それは、紅瑪の性格が男っぽいから…という理由だと言えばそれまで。
だが、もっと他に特別な感情があるから、と思わずにはいられない。
紅瑪は、用意していた物を翡翠に手渡した。
「はい。おにぎり作っておいたから。ちゃんと全部食べるんだぞ。
「…………当たりめーだろ………。
「よし!いい子だ!
「子供みたいに言うんじゃねえ!
「フフフ……
その紅瑪の笑顔に、翡翠は弱かった。
女性が苦手な翡翠であるが、本当は誰よりも紅瑪に弱かったのだ。

   

   

   

   

   

   

その後も診療所で瑪瑙と紅瑪と話をしたり、王宮を案内してもらったりした。
そうして、夜になった。
この時間になって、杏花はふと寂しさを感じた。

(今日は一度もダーツさんに会ってないなあ…)

同じ王宮内にいるはずなのに、この場所は広すぎて偶然に会う事もない。

それは、無意識のうちに感じていた寂しさ。

自覚はなくとも、心の奥底ではダーツの存在を求めていた。

沈んだ気持ちのまま、杏花は寝室のドアを開けた。

すると、そこにはすでにダーツがいて、窓際に立って夜空を眺めていた。

杏花の気配に気付くと振り返り、ドアの前に立っている杏花に向かって微笑みかけた。

「お帰り、杏花。」

柔らかく、暖かみの感じるその一言に、杏花の心は揺れた。

引き付けられるように、ダーツの所へ行こうと自然と足が動く。

やっぱり、この場所にくると、すごく安心する。

ううん、違う。この人の側にいると、安心するんだ――。

僅かに、少しづつ、杏花はダーツに対する愛しさを思い出していた。

記憶よりも先に、心がそれを思い出し始めていた。

ダーツは、目の前に立った杏花を見下ろして不思議そうな顔をした。

「何故、泣いている?

ダーツに言われて、杏花は気付いた。自分の頬に、涙が伝っている事に。

「私……、いろんな人に会った……

ポロポロと、涙がこぼれ落ちて行く。もう、止められなかった。

「色んな話を聞いて……闇界とか…戦争の事とか……

ダーツは、僅かに目を見開いた。

「これから、どうなるんだろうとか………不安で………

杏花はこの時、初めて『不安』を口にした。

杏花は杏花なりに、この王宮の人達やこの世界を知ろうと、懸命なのだ。

記憶を失い、見知らぬ土地で。どれだけの不安が杏花の中にあるのだろう。

数万年生きているダーツにとって、杏花はまだ幼く、弱い少女に見えた。

「杏花。」

ダーツは杏花の名を呼ぶと、背を屈めて杏花の額にキスをした。
不思議な事に、流れ続けていた涙が止まった。
この感触。また、何か大切なものを杏花は思い出した。
こうやって、いつもこの人は私を安心させてくれていた……そう感じた。

「私は、この国と杏花を守る為に、ここに居る。」

「うん………。」

杏花は、俯いて答えた。
なんだか、泣いていた自分が恥ずかしくなったのだ。
「もう休んだ方がいい。」
だが、杏花は首を横に振った。
「もう少し……眠りたくない…。」

もう少し、このままダーツの傍にいたい。

確かに、杏花はそう思った。

   

   

   

   

   

   

少女の失った記憶は、まだ僅かな欠片しか取り戻せない。
過酷にも今、この瞬間も闇界は天界を狙っている。
遥か昔、数千年前から続く、天界と闇界の戦争。
それは天界にとって、大事な者を守る闘い。

   

   

続く