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〜乙女革命ナナセ〜

「3」

「2」

「1」

「どか〜ん!!」

うさぴょん(以下、う)「お〜い、みんなぁ!集まれ集まれ〜」
お姉さん(以下、お)「…集まってください」
う「今日も『なぜなにナナセ』の時間だもん!」
お「…です」

う「ねえねえお姉さん!」
お「…なんですか?うさぴょんさん」
う「どうして演劇部のみんなは『決闘』なんてしているんだよ?」
お「…それは、『えいえんの力』が欲しいから、です」
う「『えいえんの力』?」
お「…はい。簡単に言うなら、奇跡の力、ということです」
う「それって、『決闘』をしていれば誰でも手に入るのかな?」
お「…私の中に眠る『永遠の剣』と、その人の『想いの強さ』があれば誰でも、で す。ただ、それに加えて『決闘』に勝ち続けることも必要ですが」
う「あはは、そうなんだあ。うさぴょんって『知らない男とキス』させられても、 『服を脱がされかけて』も、あまつさえ『”ピー”』させられても、笑って許しちゃ うくらいのお馬鹿さんだから知らなかったんだもん!」
覆面スタッフS(長森さ〜ん、これ子供向けなんで、気をつけてくれないと…)
う「あ、ごめん」
お「(マイペースに)…その『えいえんの力』はお城で眠っているのですが、今まで 誰も、その奇跡の力を手にした人はいません。そしてこれからもきっと…」
覆面スタッフS(茜ちゃ〜ん、もっと笑ってもらえないかなぁ?)
お「(顔を赤くして)…嫌です」

第二話 「誰が為に茜は微笑む?」

「二年の七瀬って子が、詩子との『決闘』に勝って『花嫁』とエンゲージしたよう ね」

演劇部部長、深山は、幹部であるみさきと澪の二人にそう説明した。

「新しいデュエリストがいたなんて聞いてないよ〜」
「(カリカリカリ…)」
「そのことに関して、『永遠』からは何の連絡もないし、まあ、しばらくは様子 を見るってことで…それにしても詩子さんはどうしたのかしら?」
「詩子ちゃん、きてないね」
みさきがそう言うと、澪は既に用意していたスケッチブックを高々と掲げた。外見と 比べて、案外どっかの波紋使い並に計算高いらしい。
<詩子さん、他校の生徒なの>
「…そういえばそうだったわね。すっかり忘れていたわ」
「ううっ、仲間はずれは寂しいよ〜」



「ねえ、里村?」
「…なんですか、七瀬さん?」
「なんであたしにくっついてくるわけ?」
「…私は、七瀬さんの、『花嫁』、ですから」
「だーかーらー!一体その『花嫁』って何よ?それに里村はそんなものに縛られて楽 しいわけ?」
「…私は『花嫁』ですから。それに、嫌だったら嫌と言います」
「んあ〜二人とも、取りこんでいるところを申し訳ないが、そろそろ授業のほうに 戻ってもらえんか?」

髭は無駄な努力と知りつつも、立場上彼は言うしかなかった。

『どうしてうちのクラスには、こうも変わったやつが多いんだろう?』

しかし、彼の問いに答えてくれる人はおろか、彼を救ってくれる人はいそうもなかっ た。

「…永遠なんて、ここにはなかったんだ」

髭が危うく永遠の世界に連れて行かれそうになっていると、四時間目終了の鐘が鳴り 響く。

一人呆ける髭をよそに、生徒たちはおのおの散らばっていった。

「七瀬さん、一緒にお弁当食べようか」
「あ、瑞佳。今日はもう一人誘ってもいいかな?」

つーか、誘わなくても勝手についてくるから、とまでは流石乙女を目指している七瀬 は言わなかった。その態度、心意気は立派である。

「…今日は七瀬さんの分もお弁当を用意してきましたから」

茜はそう言うと、かばんから「今までどこにそんなものが入ってた?」とつっこんで ほしいかのような豪華お重三段重ねを取り出した。

「わぁ、すごい!」
「な、なんか悪いわね、里村。今日はお弁当ないから、学食にしようと思っていたと ころなのよ」
「…私は『花嫁』ですから。今日は天気もいいですし、中庭で食べましょう」

というわけで中庭。
三人の乙女たちは昼食を広げようとした。

「で、お重には何が入っているの?」
「なんか楽しみだね」
「…」

茜が無言で開けたお重の一段目には、

「た、鯛焼きぃ〜?!」

うぐぅ。
七瀬は絶叫した。瑞佳は言葉もないらしい。

「…心配しなくても、きちんとしっぽまで餡が入っています」

茜はマイペースにそう答えた。

「いや、そういうことを心配してるんじゃなくて…」

心配なのは、しっぽの中身じゃなくあんたの頭の中身だ、とゆー言葉を必死で飲みこ む七瀬であった。

「つ、次のはちゃんとお弁当してるんだよね?」

一体何を期待しているんだ、瑞佳?

「…はい、これです」

茜は二段目を開けた。

「クレープ…」
…チョコバナナクレープです

そういうことは聞いてないって。

「まさか、三段目も?」
「…」

茜は三段目を開けた。

「ワッフル…」

七瀬は眩暈がした。空腹と、茜の非常識の両方によって。

「里村さんて、変わってるもんね」

それだけで済ませられるのか、瑞佳?
まあ、自分の弁当があるから無理に食べることもないしね、君は。

「…山葉堂のワッフル、嫌いなんですか?」

茜の質問に我にかえる七瀬。彼女の場合は、切実な問題なのである。

「いや、ワッフルはそんなに嫌いじゃない…ってそういうことじゃなくて、どうして ワッフルなんか入れてくるのよ?!」
「…好きだから、です」

平然として、茜は答えた。

「いくら好きでも、お弁当に入れてくる人はいないわよっ!」

七瀬は、その茜の態度に対し、さらにむきになって言い切った。

「…ここにいます」

はい、七瀬の負け。

「あ、あほ?…あたしって、あほ?」

壊れたか、七瀬?

「…あんたを信用して、パンも買わなかったあたしも悪いけど、はっきり言ってあん たは変よ!」

ドレスを着て学校にいるやつには言われたくはない台詞だな。

「…変、ですか?」
「そうよ!あんたがそんなだから友達なんて一人もいないんじゃないの?!」

険悪なムード漂う二人。(正確には一人。)そういえば瑞佳はどうしたんだ?

「あ〜(うろうろ)」

…正解は、「二人を見てうろたえまくり」でした。

「…友達なら、います。今、七瀬さんの後ろに」
「へっ?…ってギャーーーーッ!!」

七瀬はいきなり自分の頭と首に激痛が走るのを覚えた。

「みゅ〜♪」

瑞佳は、そこに「なんだかよくわからない生き物の着ぐるみを着た女の子(口らしい 部分から、顔だけは覗かせている。)」が、七瀬の髪を引っ張っている姿を見た。

「かわいいねえ。この子、なんて名前?」

動じない瑞佳。変人に慣れたのかな?

「…繭です」
「みゅー」

繭の代わりに、茜が答えた。

「…そ、その子があんたの友達?」

首と頭をさすりながら、七瀬は茜に聞いた。

「…そうです」
「うわぁ〜うわぁ〜、この着ぐるみかわいいねえ。どこで買ったの?」

瑞佳はそれ以外に言うことがないらしい。

「…私が作りました。製作費用は50万です」

嘘だろ?

「…冗談です」
「みゅー♪」
「…(なでなで)」

そんな茜と繭の姿を見ていた七瀬の心に、何か熱いものが走った。

「…あんたのことがよ〜くわかったわ里村。それじゃあ、あたしがあんたの人間の友 達第一号になってあげるわよっ!!」

流石、「漢」…もとい「乙女」を志している人間の言うことは違う。立派です。
繭を「人間扱いしていない」という点は置いとくとして。

「…ありがとう、ございます」

感謝する必要はないぞ、茜。

「感謝する必要はないわよ、茜!」

あ、七瀬と同じことを言ってしまった。…どーも意味は違うみたいだけど。



「ずるずる」(らーめんをすする音)
「はふはふ」(うどんを食べる音)
「ぱくぱく」(カレー、四人前目に挑戦する音)

演劇部の面々は昼食をとりに、学食にきてたりする。

「あら、皆さんお揃いのようで」
「ひひほっ?!(注:詩子っ?!)」

いるはずのない詩子の出現に、深山は驚いた。

「はんへほんはほほろひ?(注:なんでこんなところに?)」
「なんで、って、『決闘』をするためよ」

口一杯にものをつめた深山の言うことが判るくらい、詩子は七瀬に負けたことが悔し かったらしい。(推測)

「ははた、はたひょうへんふるつほりはほ?(注:あなた、また挑戦するつもりなの ?)」
「え?だって雪ちゃん、これでまだ五人前だよ

おかわりを注文しに行こうとしたみさきが、深山の質問に勘違いして答えた。

「ほんはほほははら、ひゃっひんへくひははわははふなふのほ!(注:そんなことだ から、借金で首が回らなくなるのよ!)」

律儀にも、深山は勘違いしたみさきに答えてあげた。

「雪ちゃん、口に入れたまま話すの汚いよ」

…詩子は、深山とみさきの漫才に強引に割って入った。

「とにかく私は今日もう一度、七瀬って子と『決闘』するから。…それじゃ、これか ら申し入れにいくんで」

詩子が去ってから、深山はやっと口の中のものを飲みこんだ。

「また自分勝手なことを…」

誰に言っているかわからない呟きを、深山は漏らした。

「あれ?雪ちゃんもういらないんだと思って食べたの、やっぱりまずかった?」

…あわれ、深山のラーメンは、もうみさきの胃の中に収められていた。



「うげぇ〜、もう食べられないぃ〜」

結局七瀬は、茜の持ってきた弁当を食べるしかなかった。
その結果が、この悲鳴。

「なんか、体中の血が、全部砂糖に置き換わった気がするわ」
「…」

七瀬と同じものを食べたのに、全然変わった様子のない茜。
瑞佳は自分のを食べ終わり、あくまでデザートとして、茜の弁当をもらって楽しんで いた。

「美味しいね、これ」
「みゅー♪」

繭は、着ぐるみのポケットから取り出したハンバーガー(てりやき)を食べていた。
さっき、七瀬がひとつもらおうとしたら泣かれてしまったので諦めたりとか、むきに なった七瀬が、「鯛焼きのやけ食いやって胸やけおこした」(早口言葉?)なんて話 もあったが…

「久しぶりねえ、茜。五年ぶりかしら?」

どっかで聞いたことがあるような台詞とともに、詩子が現れた。

「…詩子さん、五年ぶりじゃありません。昨日も会いました」

茜のツッコミをかわして、詩子は七瀬に話しかけた。

「七瀬さん、今日の放課後、『決闘』して…
「断る」

七瀬は即行断った。この体調では、「上からか、下からか」の違いはあるが、今食べ たばかりの昼食を出してしまいそうだったから。そんなことをしたら「乙女・失格」 である。

「あら、繭久しぶり」

七瀬の返事を聞いているんだかないんだかよくわからないけど、詩子は今度は繭に話 しかけた。やっぱり詩子は強い。

「みゅうぅ…」
「おいしそうね、そのハンバーガー」
「みゅー!」
「…あら、ほんとに美味しい」
「みゅーみゅー」(泣)
「やめなさいよっ!」

いじめられる繭を見て可哀相だと思ったのか、それとも単に「あたしでもできなかっ たのに、羨ましいぞ手前」ってことなのか、気力を振り絞って七瀬は立ち上がった。

「やっと私と『決闘』する気になったのかしら?」
「…あんたみたいのに、茜と繭は渡せないからねっ!」
「それでは、今日の放課後『決闘広場』で」



影絵少年O「だよだよもんもんご存知だよもん?」
影絵少年S「今日も裏で決闘があるんでだよもん」

O「いよいよ決着をつけるときだよ。…バキューン!」
S「ぐわっ…。やー…らーれーたー…もん…。バタッ」

S「よくぞ、この私を…超え…た」
O「約束通り秘密を教えて貰おう」
S「お、お前の父は空を…駆ける…ガクっ」
O「それを言うならスカイウォーカーだよっ」
S「エピソード1、途中で寝ちゃだめだもん…。ス〜」
O「死、死んじゃだめだよ、住井ぃ〜!!」
S「自分で殺しておいて良く言うんだもん

O「さてさて勇者様〜?」
S「自分で始めた事の責任はとるんだよ?」

O&S「だよだよもんもん、だよもんもん〜」

N「…」
O「どうした?」
N「はぁ〜っ…
S「それだぁ!!」
N「う、うわぁ、なんだよ住井君」
S「長森さん、それだよそれ! 合い言葉!!」
N「…?」
S「『ねぇ浩平、はぁ〜ってして(はぁと)』…いいじゃないか!!」
H「天使になるもんっ…だね? おや、折原君、どうしたんだい黙り込んで」
O「…それ、止めないか? なんとなくこう胸の辺りが…、盗作だし…」
S「なに、問題無い。あの作品の監督はウテナの演出家の一人だ」
H「ついでに言うと映画のアキハバラ電脳組の監督も一話だけだけどテレビ版ウテナの演出、そしてセガサターン版ウテナの監督をしている人だね」
S「ほら全然問題無い。決定だ!」
N「…結局、私の意志は無視されるわけなの? はぁ〜っ
O「や、やめろ長森ぃぃ、プレイヤーに罪悪感がぁ」



「また、あのお城が見える…」

屋上に上った七瀬は再び城に目を奪われた。

「…七瀬さん、もう詩子さんが来ますよ」
「あ、ごめん茜。なんか変だね、あたし」

茜の言葉で、七瀬はこれから『決闘』しようとしている自分に気がついた。

「待たせたわね」

詩子はその手に一振りの日本刀を持ってきた。

「何?まだ剣も出してないの?」

詩子の疑問に、七瀬は慌てた。

「えっと、あの手品の剣で戦わなきゃいけないの?」
「そうよ」
「…マジで?」
「マジで」
「うそだぁ〜」
「うそじゃなくて、本当」
「…冗談でもなくて?」
「冗談でもないわよ」
「はぁ…こりゃ本気ね」

いい加減キリが無いと悟った七瀬は、茜に近づいて、以前見たときと同じように剣を 出そうと試みた。

「…気高き白の砂糖よ、私に眠る『えいえんの力』よ…、に答え、今こそ示せ」
「うわっ、何コレ?! な、なに口が勝手にぃぃ? み、味覚を革命する力を!!

茜が何事か呟いた瞬間、眩い光とともに茜の胸から剣の柄が現れた。
七瀬は驚きをこらえて、茜の胸からその剣を引き抜いた。

「これ、本当に手品なのかしら?」

さあ?

「準備は終わったようね…いざっ!」

カシィィン!

「どうしたの?七瀬さん。…それとも、この前私に勝ったのは偶然だったの?!」

ガシィッ!!

「ぐあっ、体調が悪くさえなければ…」
「…あら、もう負けたときの言い訳?」

カシィン、カシィン、カシィン…

「うわぁっ!」

昼食のせいで力が入らないからか、七瀬は詩子の剣に圧倒され続けた。

「どうやら、前の戦いはビギナーズ・ラックってやつだったわね」

詩子は剣を構えながら、自分にむかって言っていた。

「…そうよ、茜は私のものなのよ。茜とあんなことやこんなことをして楽しむのは、 私一人で充分なのよっ!」

一体何をしていたんだ、詩子?
ひょっとして、あ…

茜「…違います」

言う前に否定された。

それはともかく、完全に自分の世界に行ってしまってる詩子は、これで決めるつもり で七瀬に向かっていった。

「死ねぇ、七瀬留美っ!!」

『ごめん、繭。あたし負けるかも』
七瀬が瞬間的に思ったとき、何故か繭の声を聞いたような気がした。
っていっても、青空をバックに笑顔で

『フォースと共にあれ!』

とかだったら怖いな。

『…そうか、あたしは茜や繭のためだけじゃない。あたしは自分のために戦っている んだ!』

「死ねぇ、七瀬留美っ!!」

詩子の声が七瀬の耳に届いた。

「でぇぇりゃぁぁぁっ!」

ガラーン、ゴローン、ガラーン、ゴローン…

「…まさか、あの七瀬って子が今まで誰も出来なかった『えいえんの力』を初めて発動させて、詩子に勝つと はね」

物陰から、オペラグラスで二人の戦いを覗いていた深山は、つい自分の驚きを口にし た。

<みせてほしいの>
「この望遠鏡、見えないよ〜」
「…こ、これからの『決闘』、なかなか面白くなりそうね」
<みせてほしいの>
「この望遠鏡、見えないよ〜」
「あなた達ねえ、せっかく人がきめているんだから、それをぶち壊すようなこと言わ ないでよ!」
深山は額に青筋浮かべながら、後ろの二人にそう言った。
<だって、みせてほしいの>
「だって、見えないよ〜」
「どうしてこんなのを演劇部にいれちゃったのかしら?」

深山は、深々とため息をついた。

「…ちなみに、澪、みさき相手にいくらスケブで話しかけても無駄よ。
 それとみさき、それは『天体望遠鏡』だから、近いものは逆に見辛いのよ。それにあ なたが覗いても意味ないし」
「あ、そっか。雪ちゃんて物知りなんだね」
<このぼうえんきょう、みえないの>

深山はもう一度、深くため息をついた。



次回予告(大嘘)
瑞佳「何々?えっ、爆発のショックでみんなの精神が入れ替わったんだよ!
そいでねそいでね、みんなでなんとか元の体に戻ろうとするんだけど、ぜぇーん然う まくいかないの!みさき先輩とかは喜んじゃってるくらいだし。
次回、ながもりだよもん!『嫌いは好きの始まりだもん』
…ねえ、浩平。はぁ〜ってして(はぁと)」



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