フル七瀬パニック
インターミッション
夢。
夢を見ている。
毎日見る夢。
終わりのない夢。
赤く染まった世界。
誰かの笑い声。
私の腕の中で、先輩が笑顔で泣いていた。
どうすることもできずに、
ただ夕焼けに染まるその人の顔を見ていることしかできなくて…。
だから、せめて…。
流れる涙を拭いたかった。
だけど、手は動かなくて…。
頬を伝う涙は血だまりに吸い込まれて…。
見ていることしかできなくて…。
悔しくて…。
悲しくて…。
大丈夫だから…。
だから、泣かないで…。
言葉にならない声。
届かない声。
「七瀬、乙女になれ…」
それは、誰の言葉だっただろう…。
夢が、別の色に染まっていく…。
「は…了解しました!」