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《雑記帳7月》
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7月12日 彼女の涙の理由

 ただ、逢いたかったんです。
 生きていなければ逢えないと思ったから。
 だから、この世界に生きていました。

 じゃあ、君は僕に逢えたから、もう生きる理由が無いの?
 だからここから消えてしまうの?

 はい。

 君の人生は、それで良かったの?

 おかしな事を聞くんですね。
 私は生きたかったわけじゃない。逢いたかったんです。
 人として生きることはその手段。
 目的を達成できたのに、手段が悪かったなんてこと、あるでしょうか?

 じゃあ、君には、もうなんの目的も無いの?

 私、逢いたかっただけだから…

 …それだけなの? 他には何も無いの?

 はい。
 ずっと、逢いたかったんです。
 もっと、ずっと、逢っていたかったんです。

 ずっと?

 あ、それは…、結婚、ていうんですか?
 漫画で読みました。
 そうしたら、ずっと一緒にいられる。
 ずっと逢っていられる、こと。それが、私の、望み。

 ――じゃあ、そうしようよ。
 僕も君ともっと、逢っていたいよ。
 二人で生きようよ。

 生きる?

 生きてなきゃ、逢えないよ。
 君は今、生きたいって、言ったんだよ。

 私、生きたいん、ですか?

 そうだよ。

 …ぅ

 何を泣くの?

 自分の愚かさが、ひどく哀しいのです。
 私は取り返しのつかない間違いを犯しました。
 私は、逢いたくて、生きたくて、なのに全然反対の方法をとっていたのです。
 その所為で、もう、間に合わない。
 もう、逢えない。
 結婚、できない。
 ベールもきっと、私の頭からは飛んでいきます。

 ……
 …結婚は、できる。

 …ぇ?

 君の願いは、僕が適えてあげる。
 丘の上で、僕等の結婚式を挙げよう。
 そうすれば、君の願いは、成就する。

 結婚、出来るんですか?

 そうだよ。
 僕等は結婚するんだ。
 だからもう、君は泣かなくていいんだよ。




7月13日 頼まれなくたって生きている

 人に気にかけてもらえるのは嬉しい。
 挨拶してもらったり、電話をかけてもらったり、心配してもらったり、頼りにしてもらったり、応援してもらったり、怒ってもらったり…etc…という、そんな、誰かといる小さな幸せが嬉しい。
 そんな小さな幸せのつまった日常の中から、「生きて下さい」というお願いや、「生きろ」という命令や、「ずっと一緒にいよう」なんて約束を必死に探し出して、それに縋り付いて僕等は生きているのかもしれない。
 けれど、必死に見つけ出してしがみ付いているそれに、本当はなんの強制力も無い事も僕等は知っている。
 それに従わなくちゃいけない理由が無いことを僕等は知っている。
 理論武装して理由を作り出すのは、それ(従う理由)が何処にも無いからだ。
 僕等は従いたいからそれに従い、生きたいから生きている。

 でも僕等は不安なのだ。
 今、生きているという事実が示す、自分が持っている筈の生きる理由が思い出せなくて。
 必死に探し、思い出そうとしているそれは、きっとあまりにも近すぎて、ありふれていすぎて、だから見つかりにくいのかもしれない。


7月14日 雑談

 かつてのボスであるところの大塚氏(仮名)からメールを頂きました。

>Subject: 珍しいものをみたので.
>--------
>ご報告のメールをします.
>
>山手線 池袋〜大塚、一駅の間に僕の背中で交わされた会話
>男の声二人分
>
>「彼女いるんでしょ」
>「いや,彼女じゃないんだけど,周りにはそう見えるみたいだね.
>本人たちは全然そんなつもり無いんだけどね.」
>「いつからの付き合いなの?」
>「ワリと長い.」
>「高校……?」
>「いや、もっと前…あぁ,つーかねぇ,言っちゃえば長森」
>
>
>
>
>………吹き出すのこらえるのを苦労したさ.

 (笑いを堪える大塚氏込みの)情景を想像して大爆笑したのはいうまでもございません。
 また、件の高校生もそうだけれど、こうやってメール下さる大塚さんもなんか、ものすごく微笑ましくて。
 あまりにもヒットなメールだったので、つい転載のお願いをしてしまいました。
 その返答メールも素晴らしい文面で惚れ惚れ。

>アンなのでよければどうぞ,お好きなように.
>
>ただ,僕の書き方では,彼が彼女との間に
>「浩平と長森の関係」を見ている面白みを
>うまく伝えていないみたいですね.
>(「長森」のところを,ただの「幼馴染」の「言い換え」だと思われちゃうらしい)
>この事を 話すたびに、補足する必要を感じたので
>一応書いときます……。

 この他、浩平を可愛い(同感です!)と言い切ったりする大塚さんのセンスに、気の利いた文章に、はにゃ〜ん、と、とっても幸せな気持ちになったのでした。


7月15日 メモメモφ(・ω・ )かきかき 

○大塚さんとの「輝く季節へ」話

大塚「自殺はよりよく生きたいというあがきの一形態であって、あがきそれ自体は自殺により死んでしまうこととは、直接の関係はない。…かもしれぬ。浩平は、あがく。死に近い非存在をおそれて」
雪駄「その自殺に関する考え方は前に別の件で話した時も聞きましたが、かなり納得ですね」
大塚「最初にプレイしたときに浩平は長森の前ではしゃいで「見せて」いるなと思ったんです。なぜだろう、なんか切迫感をを持ってるらしいぞ。…めんどくさいので、論理を無視して書きますが『輝く季節へ』はあくまで浩平の物語だと思ったんですよ。そして描かれているのはあがきで、浩平の、よりよく生きる事への望みとその反映としての生きることの反対が切迫している意識」
雪駄「浩平は、よりよく生きたいというか、幸せになりたいと思っているけれど、生きたいとは思っていないんだと思います。だから消えるんだろうと」
大塚「消えちゃうのは、約束の(魔法の)せいじゃなかったっけ?」
雪駄「消えるのは盟約が関わっているけれど、それがどういう意味でっていうのは諸説溢れてます」
大塚解釈してもしょうがないでしょうに。人が突然消えちゃう事が、特に自分に関する場合、不条理の極限であって、死と非常に近い性格を持っている。そして、彼にはたまたま、どこかにいけるきっかけがあった(どこかは例えば、戻ってこれる死)。そのきっかけが約束なんでしょ。はじめからそういう定義としておかれてるもんだと思ってたよ」
雪駄「ええ、大塚さんの言う通りで正しいと思います。解釈は遊びですね、言葉遊び。ただ、ある一つの解釈を導き出すとゲームシステムとシナリオと融合する仕掛けが施されていて、提示される物語を「ゲーム」の一部と考える向きには非常に面白い、と」

 …ここまで話していてふと思った。
 大塚さんが言っているのが麻枝さんの作り上げたONEの形そのものについての話で、自分が言っているのは、久弥さんが独自に解釈して置いた、ONEの一つの答えについてではないのかと。
 Kanonにおいて、あゆは関係無いと考える麻枝さんと、あゆを一つの答えとしながらも、麻枝さんがいうとおり、関係無くてもよい、と言ってしまう久弥さんの言を改めて考えてみたり。

KISAさんの日記でIE強化ブラウザの話が出ていた。
 Netcaptorは便利ですよね。私もそこで知って、暫くの間はメインで使ってました。過去形なのは、今は国産のCuamとか小島さんおススメのMoon Browserの方を主に使ってるからなんですが。安定性や昨日の利便性、オフラインでの使い勝手など、どれも一長一短なんですが、最近はオンラインでMoon Browser、オフラインでCuamというのがメインになりつつあります。総合力だとCaptorなんですけれど。

○漫画のこと
 PassingTensionさんで「最終兵器彼女-偽サントラプロジェクト」が開始。
 そういえば、以前に大石まさる「空からこぼれ落ちた物語」に対しても似たようなプロジェクトがあったような。
 ともあれ、アップされていた二曲を指定されたページのBGMにして読んでみる。
 …
 (*゜ロ°)ノミ☆(;>_<)バシバシ
 いい! 上に無茶苦茶漫画に合ってる!! すげえ!!!<表現力を磨こう
 …サントラ完成が待ち遠しいです。…はやややや

○漫画のこと その2
 たきをんさんおススメの丸川トモヒロ「成恵の世界」(角川書店)を読む。良い。
 なんか懐かしい感じ。というか、この空気はなんか凄く馴染みがあるような。
 ああ、これって舞井武依さんの作品に雰囲気が似てるんだ! 「魔王の子供達」とかと…。
 でも向こうと違って万人に薦められる感じ(いや、舞井武依作品はそういうマニアックなところが良いのだけれど)。むぅ。それにしても…、お姉ちゃん可愛いなぁ…

 ぐっちーさんが少女漫画をご所望の模様。ああ、フルバにハマっておられるし。ちなみに、透君の声はドラマCDですと、ぽぷりちゃんであるところの小西寛子さんでおじゃりますですよ。
 で、おススメ少女漫画でしたら、私もわかつきめぐみ「SoWhat?」をおススメしておくです。
 白泉社から文庫で出てるです。
 あと、確かたきをんさんもお気に入りでらっしゃった「笑えない理由」の望月花梨さんの短編集はどれもおススメです。個人的に「コナコナチョウチョウ」の緑子さんは、里村茜さんの若い頃はきっとこうだったんだろうなー的な女の子さんで(どないやねん)、なんか、凄い、見ていて好きだったりします。
 他には、くらもちふさこ「天然コケッコー」(集英社ヤングユーコミックス)とか。や、「フォークソング」やってて思い出したんですが、田舎恋愛系少女漫画(そんなカテゴリーはない)の中ではこれがぴか一だと思うです。情景、心情共に嫌味じゃないけれど奇麗事でもないリアルさが節々に溢れてて。非常に好感なのです。方言も良い です。


7月16日 仕組み

 夕食に、先週の木曜、髪を揺らして校舎を走る様や自転車に乗ったりする様に、深田恭子のラブリーさが際立った(だけの)映画「死者の学園祭」の試写会に行ったときに会場でお土産に頂いたスパ王(明太子味)を食す。美味い。
 赤川次郎の著作が累計一億部突破という事を強調していた角川、深キョンばかりが印象に残る理由の一端であろうホリプロ、そして映画の前にCMを流し、こうした形で製品をお土産にくれる日清といったスポンサーの皆様方に感謝して箸を置く。
 ふぅむ、この増量タイプなら一個で充分腹も膨れるし、一分で出来るし、旨いし、昼食の定番メニューにスパ王ってのもいいな…。
 などと考えながら、ふと玩具が売れてシリーズ続投決定となったが、スタッフ総入れ替えにより前シリーズより格段に内容が退化してしまったアニメ「メダロット魂」に思いを馳せてみる。

 あれには一体、どんな社会の仕組みが働いたんだろう?

 なんにせよ、良い仕事をするには政治力ってのも絶対必要だよな、とつくづく思う。
 政治ができない人間は仕組みを利用したり、自ら仕組む事ができないから、社会の仕組みに押し潰されるか、仕組みから逃げ出すしかできないものね。


7月20日 また、僕はこんな場所にいる

 こちらの日記終了のお知らせを読む。
 ここで触れていた予告編を書く理由の大半を消失する。…でも折角だからSSの方はちょっと書いておこう。

 Web上での永遠に続くんじゃないかと思える馬鹿騒ぎ。
 その喪失への恐怖。それは現実世界でのかつての友人関係へのそれと酷似。

 こんな永遠なんて、もういらなかった。

 叫んでサイトを閉鎖する浩平。
 その後は、メールだけが(Web)世界と自分を繋ぎ止める鎖となるが、徐々にそれも減っていき、最後にはネットをはじめた当初からずっと傍にいてくれ、本当に好きだった、たった一人長森瑞佳からしかメールが来なくなる。
 やがて遂に長森からもメールが届かなくなったとき、浩平はWebとの接続を閉じ、(Web)世界から消えることを選ぶ。
 だが、長森は浩平の事を忘れたわけではなかった。機械の調子が悪かっただけなのだ。
 長森は必死に浩平を探し出し、二人は現実世界で初めて出会い、結ばれる。
 しかし長森の説得にも浩平は耳を貸さず、Web世界からは完全に足を洗い、やがて一人でどこかへ行ってしまう。

 そして一年。

 Web上には浩平の事を口に出すものはいない。
 もうサーバー上に存在しない彼のページにリンクを貼る者もいなくなった。
 浩平と一緒に掲示板で議論したり、チャットしたりした知人までがそうであるのが長森には辛い。
 長森のページのリンクページの一番上に、デッドリンクとなってしまった浩平のページへのリンクがある。
 ある日、長森のIRCチャンネルが騒がしい。
「どこへ行ってたんだ?」
「病気でもしてたのか?」
 長森は気付かないでページの更新作業をしている。
 その時、メールの着信チェッカーが鳴る。
 見ると、差出人、折原浩平from合衆国。

 title:もう一度、相互リンクしてくれ

 …ピュアメールとかがこんな話だったら厭だなぁ。<それはない


7月21日 Phantom

 「Phantom〜phantom of inferno〜
 今年前半期の18禁ゲームの中の話題作ノベルゲームだ。
 恋愛学園系、鬼畜陵辱系、メイド等の属性萌え系で語り尽くせる感のある最近の18禁ゲームのシナリオ傾向の中、お子様お断りの血と硝煙の匂いを纏って現れた、骨太の、エロゲーやギャルゲーという言葉では置き換えのきかない正真正銘のアダルト18禁ゲームで、若干の粗はあったものの、映画で見たいとか、映画にしたいとかいう意見がプレイヤーとスタッフ両方から出てくるくらいに見るものを興奮させ、絵になる場面を多数抱える秀逸なシナリオ(絵になるシーンがあるっていうのは物凄く重要)の評判が非常に良い作品である。
 そして世間では余り評判にはならないが、そういうシナリオをちゃんとノベルゲームならではの演出、見せ方で描いている、物語表現としてのゲーム、ゲーム表現系の話をするにはONE等と同様、教科書としてすら利用できそうな秀逸な素材であったりする。
 例によって、誰もそれに気付かないんだったら、それについて書いておかなければならないという使命感にかられたりもしたけれど、ちゃんと気付く方は気付いていて、うちの第二掲示板でも11番目の猫さんがそれも含めた素晴らしすぎるファントムインプレッションと考察をされているので、その件についてはそちらを参照して下さいということで、ここではその件とはまた別の観点から、もう一つファントムについて書いておかなければならないことを書き記すこととする。

○ファントムに見るビギナーズマインド
「詮ずるところ、この世の中は経験がものをいう。そうじゃないかな。きみは探偵の仕事を始めて何年になる?」
「十一年です」と、私は答えた。「経験が邪魔になることを知ってから七年になる」
沢崎(原りょうの小説に出てくる探偵)の言葉

 「PC Angel 7月号」のスタッフインタビューによると、ファントムの製作スタッフは18禁ゲームというものを製作したのは今回が全くの初めて。当初は18禁ゲームがどういうものなのかという認識すらなく、ましてやそれを自分達が作るという発想もなかったという。
 たまたま入社した社員の一人が18禁ゲーマーで、彼の勧めでスタッフ達は18禁ゲームを始め、「痕」に出会い、「エロだけでなくストーリーでも楽しませる、そんなゲームがあるのかと、エロゲーの既成概念を覆され」、それに触発されてファントムを作りだしたそうだ。
 彼らには18禁ゲーム製作へのノウハウが一切無く、それ故、18禁作品であるというのがどういうことなのかをしっかりと考え、「18歳以上の人が対象になる。そういった青年や大人の人の目には、男と女の愛憎やSEXの描写があって当然、むしろ避けて通れないはずです」「『エロゲーだから絵やエロさを最優先、ストーリーを二の次』って妥協をしたら一発で見抜かれる」という、色んなメーカーが忘れてそうな、ごく当たり前だがとても大切なことを胆に銘じ、全力でことに当たったのだという。
 彼らは「18禁作品」を作っているということに自覚的であった。
 そして恐らく「ゲーム」を作っているということに対してもそうだったのだろう。
 ファントムはノベルゲームという、小説でも映画でも無いシステムに物語を乗せるという事を自覚していなければできない、ゲームであること、プレイヤーが選択を行なうということをシーンの演出として利用して見せている。
 この、長年ゲームに携わってきた人間でもなかなか出来ていないそれをノウハウの無いスタッフが処女作でやってのけたという事実は、かなり重要なことのような気がする。
 ファントムのスタッフがそういう事が出来たのは、ゲームという表現を外から見ていたというのがまず理由の一つであり、ノウハウが無いゲームを作るという行為に対しての真摯な姿勢がもう一つの理由であろう。
 初めて18禁ゲームを作ると覚悟したときのビギナーズマインド、初心がゲーム作りへの真摯な姿勢を与え、18禁ゲームという表現、或いは18禁ゲームという表現媒体がどういう物なのかを調べ、考え、理解、応用させたのだ。
 だが、別に目新しいことをやっているわけではない。
 普通のありふれたシステムの18禁ノベルゲームを、基本を押さえて、考えて作っただけである。
 ファントムという作品は、経験と慢心と初心の関係についても改めて考えさせてくれる。





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