近況と雑記:

10/17
 不注意で人を傷付けてしまったこと、傷つけている事をお詫びします。
 脈絡無くても「ごめんなさい」と言わずにはいられなかった日。

●筑波さくら「目隠しの国」第1巻 再読の事

「あろうはその子を傷つけたこと、後悔してるのね」
「……うん」
「あろう
その子に謝ろうね」
「うん」
「あやまれれば大丈夫よ…」
「でも もし許してくれなかったら?」
「その時はその時」
「……」
「あろう!
他人を傷つけることはいけないことだから
とても気をつけなきゃいけないわね
だけどどんなに注意しても傷つけてしまう事があるかもしれないわ
でも心配しないで

 傷ついてもそれを癒す力が人間にはあるから

 触れることをこわがっちゃダメよ

 あなたは自分のために生きなさい」


 どんなに気をつけたとしても、人間の想像力には限界はある。
 事実は小説より奇なり、だ。
 だから、人と触れ合う中で絶対に人を傷付けない方法なんてない。
 かといって、何もしなければ人を傷付けずに済むのかというと、何もされないことが人を傷つけることだってあるわけで、結局、人は人の中に存在するだけで人を傷付ける可能性があるし、実際傷つけているのだ。
 これ以上誰も傷つけたくないというのなら、自身の存在を抹消するしかない。
(その抹消が誰かを傷つけるかもしれないが、それ以上に誰かを傷つけることはないだろうから)。
 人は誰も傷つけないで生きていく事は不可能なのだ。
 勿論、だからといって傷付ける事、傷付けられることを許せるわけでもなく、どうにか無くしたいのだけれど、許す許さないと関係無く存在し、発生していくそれとは、それとして付き合っていくしかない。
 故に気にせず、思いっきり傷つけ合えばいい…とは思わない。
 当然のことだとしても、傷つけるのも、傷つけられるのも痛いことに変わりはない。
 重要なのは、その程度を自覚することなのだと思う。
 自分が誰かを傷つけている事、傷つけるのだという事実を。
 その上で、その責任と覚悟を持って行動していくしかないのだと思う。
 それに、忘れがちだけれど、傷は癒えるものなのだ。
 傷つけたことを悔やむなら、傷ついた人を思いやるなら、その傷が癒える手助けをすればいい。
 傷によって、手当てをすることが適当だったり、放っておくことが適当だったり、方法は色々だし、それ自体が傷を広げることにもなりかねないけれど、そんな他人の存在や言動に傷つけられたとしても、結果とは無関係に、そうした想いは嬉しい物で、そういう想い自体が傷を癒す事だってあると思うから。
 少なくとも僕は、それで癒される事がある。
 そして僕にとっては、傷が癒されるかそうでないかとすら関係無く、そうした誰かを想う気持ちの存在が重要なのだ。…多分、想いがもたらす結果よりも。
 想いの果ての行動、存在…そうした物の結果が痛みしか残さないのだとしても、その過程にある傷つける事へのすまないという想い、それを受け入れ、覚悟し、相手を傷つける痛みすら受け入れて行動する勇気は、私にとって愛しい。
 他にも愛しい物は、欲しい物はたくさんあって、それらは痛みなんかより、痛くない事なんかことよりよっぽど重要なのだ。
 だから僕は人を傷付けても、傷付けられてもここにいたい。
 そして、僕はここにいて、言葉を発している。


ああ でも母さん
それでもやっぱり傷つけたくない人ができたんだ


 とはいえ、どうしても言葉を発せなくなる時がある。
 傷つける覚悟が、勇気が涌いてこないときがある。
 好きな人ほど、傷つけたくないと思ってしまう。
 好きな人にほど、傷つけられたくないと思ってしまう。
 本当は、好きな人だからこそ、そんな傷つかない痛くないことよりも、覚悟と勇気を持って、傷つける事も傷つけられることも受け入れて、踏み込んでいかなくちゃならないのに。
 本当は、向こうからも切り込んできて欲しいのに。
 気心が知れてくると、お互いに傷つかない距離も判ってきて、その距離をとることで楽に付き合って行ける。
 それはお互いを思いやった結果として生じる、互いに痛くない、安らいだ状態。
 だけど本当に好きな人との間に望むのは、お互い傷つくことと引き替えに得られるもので。
 この或意味とても幸せなジレンマの中、痛くても構わないと踏み出す勇気というのは、なんと愛しい物なのか。
 だから私は、それを判っていて、覚悟して自分が傷つく道を選ぶ人を、人を傷付ける事を選ぶ人を好ましく思う。
 そして傷つける理由がそういうこと以外でもそれは同様で、そこにその人なりの大切な理由があり、責任を負う覚悟もあるのなら、傷つける理由がたとえ悪意であったとしても、自分で結果を引き受ける覚悟があるならば、その想いは美しいと思う。
 むしろ、私もよくやるけれど(今回もだ)、単なる不注意や物臭によって無意識的に人を傷付けたりなんだりという方が、覚悟がないだけに性質が悪い気がする。

「ふるえてた」
「……」
「ありがと」
「……
そりゃ恐いんだけどね、たとえ触れて傷つくとしても傷は癒せる物でしょ
大丈夫なの
触れること止めないよ」

 …しかし、ああ、かなでっちゃん、君はなんて愛しい子であるのか。
 君のように生きたいとおいちゃんは思う。