近況と雑記:

11/1

○KtFとAIRではどっちがはてしない物語だろうか
 Whiteさんの補足を読んでみるのこと。
 AIRはゲームに絶望してないというのには同意なのだ。
 その上でゲームへの絶望を表現として使ってるってのが私にとっては問題なのだ。
 絶望を使う。
 これはまず、絶望がなんなのか判んないヤツにはそういうことは出来ない。
 で、絶望がわかるヤツってのは、絶望するだけゲームに関わっちまったダメ人間好きモノなわけだ。
 絶望した人間が取るべき道は二つ。
 そこで諦めるか、そこから這い上がるか。
 麻枝は這い上がらなかった。じゃあ、諦めたのかというとそういうわけでもなかった。
 これは面白い…と思ったかどうかは知らないが、ゲームを好き過ぎてしまった人が抱く「ゲームへの絶望」というものを物語表現の為に利用してしまった。
 許せますかお兄さん。
 貴方や私がAIRをやってプレイヤーとして絶望する事はAIRという物語の為に仕組まれた事なのですよ。
 「トリックとは時刻表でも、密室でもなく、読者自身である」なんて言葉もある通り、作り手が受け手をコントロールすることで作品を機能させるのは至極当り前のテクニックなのだけれど、AIRという物語は単体では物語としては未完成で、プレイヤーのプレイと絶望という感情を取り込んだときに初めて物語として完成するのですよ。
 プレイヤーと物語の一体化。
 これを為せないという絶望を利用し、その絶望の物語を描く事で逆にそれを成し遂げた。
 絶望すること、それこそがプレイヤーが適えられずに絶望した理想のカタチを完成させているなんてそんなヒドイ話があるか!
 じゃあ、適ったらこの望んだカタチは崩れるというのか、なんだこの訳の分からんパラドックスは!
 でも、これこそが望んだ我とゲームと物語の関係であり、凄く…美しいのだよ!
 美しいと想ってしまったのだよ、好きだと思ってしまったのだよこの俺わ!!
 …許せるか、こんなことが?
 私は多分、AIRを許せないだろう。でも、許す許さないの次元でなく堪らなく好きで、大好きで。
 AIRはダメ過ぎ。許せない。なのに好き好き大好き。ああ、もう。訳が分かんないよ!
 コンチクショウ、DC-AIRの続きやるぞオラァ!!
○今日のお買い物:ファミ通ブロス12月号
 船戸明里の連載の為に買いはじめて三ヶ月。ふと目次を見ると作者急病や取材が重なり掲載作品の5分の2が特別読みきりという状況に気づく。…せめて船戸明里の連載が完結するまでは生きていておくれ。

11/2

○今日のお買い物:アワーズ12月号
 あの機体はプラモ狂四郎でも見たことがあるロッキードSR-71A…かな。
 アワーズを手に持ちつつ本屋さんを眺めると、山田章博「ファリスの聖女」の新装版1、2巻が平積みされている。
 ああ、昔は物凄く好きだったなぁ…。
 電撃PCエンジン連載当時の、大きくて白い紙に印刷されたあの絵は堪らなく魅力だった(旧単行本のサイズと紙質では再現できなかったのよね)。
 紙質と印刷状況が良いなら買い直すのもいい…と思い、店員さんに中身を見せてもらおうかと思ったが、財布の中に1000円札いちまいしか入っていないことに気づいて断念。情けなし。

11番目の猫さんが掲示板に書かれていた、「銀色」絡みの文章の中にあった、

>……いえ、跡に何も残さないことを望む猫としては、別な意味でもキツイのです。

 というのが何かを想起させるのにその何かが思い出せずにいたのだけれど、ようやく引っ掛かっていた小骨が出てくる。
 紫堂恭子の「辺境警備」の背高さんと、ひうらさとるの青い雪の話。

時間の風をつかまえて
軽やかに私のそばを飛び過ぎる
愛しい懐かしいつばめたち
のびやかな翼の上に
何一つ残していきたくはない
――思い出の他は…

 というのが背高さんの独白で、

神様、もし生まれ変われるなら、僕を青い雪にして下さい。
彼女の肩に止まったときに振り返って貰えるように…


 …だったか、そういうのがひうらさとる。
 生、存在の証しとしてせめて傷痕を残したいという私のような暴力的な思想の対極にある想い。
 残さない、残らないことが生きた…存在の否定というわけではないんだよなぁ、とか、またつらつらと考えたりなんだり。
 しかし、優しい気持ちになる一方で、自分が生きて存在している事を実感できない恐怖(あれか、透明な存在どうとかいうやつか?)が、銀色一章の叫びを生み、俺なんかを、痕を残して確認したいねんいう痛ましい作業に向かわせるんだろうけれど、外部の証しに頼らず、自分の内部でそれを肯定すりゃあ痛くないしそれでいいじゃん、みたいなのはどうなんだろうなぁ…、とか、一昔のエバみたいなどうでもいいつまんねえ思考迷宮(時間の無駄)に入り込みそうになったりもして、とてつもなく不快なので思考停止。
 …したつもりが、どうにも思考は脳内でぐるぐる周っている。気持ち悪い。風邪もいつ治るのだ。

 あなたの考えている事がわかりません。とても不安です。たとえ同じものを見ていようとも、きっとあなたは違う事を感じているのでしょう。
 小説を書いていると安心します。キャラクターの考えている事は、全部わかります。誤解もすれ違いもありません。全ての意志がそのまま伝わります。思いどおりに彼らは動き、思いどおりに演じてくれます。
 けれど。(中略)わたしは彼らのために、彼らの数だけ世界を用意しました。だからきっと彼らも、不安なのかもしれません。
 言葉は無意味ですか? 言葉は誤解を生むだけですか? 何かが伝わると思うのは幻想ですか? この世界の主人公は誰ですか? わたしですか? あなたですか? わたしはあなたの世界の脇役ですか?
 わたしは自分の目で見たものを、言葉に換えてあなたに贈ります。ただそれだけです。
 それでも。
 あなたと同じ世界を共有できたら、望外の喜びと思います。

 記憶が藤原京の処女作の後書きなんてものを呼び覚ます。ああ、青臭い。赤面する。でもこの後書き、だからこそ嫌いじゃないんだよなぁ。あの時も、今も。まだ、それが心地良い。
 ああ、もう、だから、こういう終わりの無い(そして何も生み出さない)思索にハマってたら気持ち悪くても寝られなくなって風邪も悪化するんだコンチクショウ、漫画読んで思考飛ばすぞ、アワーズ…! と思ったらトライガンがいい感じに思考連鎖にハマる内容。わはは。でも、うん、これはいい。なんかいい感じで思考のトドメに。山口満の惑わない人の話を思い出したりなんかもして、綺麗に思考が止まる。今夜は早めに寝られそう。よかったよかった。
 小骨もとれたし、掲示板にレスもつけられるな、と気持ち良く床に着くですよ。おやすみなさい。

先輩「で、結局、小骨は出たのにレスは明日なの?」
雪駄「…ごめんなさい」



11/3

○涙じゅーよー
 ということで、予告どおりに掲示板にレスつけようと思ったのだけれど、気がついたら小骨が挟まっていた銀色のスレッドではしのぶさんと猫さんがいい感じでもう少し続きを読みたいので(あのやりとりは良い。銀色もう一回やりたくなってくるし)、「二章といえば『ミノタウロスの皿』を思い出します」だなんてしようもない(しかもありがちな)レスで横やり入れることは見送る事に(^^;
 代わりに自分が思う事はここにつらつらと書いて見たりなんだり。
 認められる〜頑張る云々ていうのを聞いて思い出したのは、やっぱり君遠の大空寺あゆのこと。しのぶさんの日記でも出てた、件のパンの話のとことか。
 大空寺について私にとってもっとも重要なのは、皆が褒めるそのオットコマエな部分ではなくて、オットコマエに振る舞ったその瞬間に泣いてた事なんだー、とか叫びたくなったり叫んでみたり。

雪駄 : アイツは泣くからいいんじゃよ
jes : 泣かせるのが楽しいのと違いますか?(にや)
雪駄 : あ、あ、あ、あんてこというさー
jes : わーい、いじめっこー
jes : いじめ、かっこわるい
雪駄 : 前園さんのゆうとーりー
jes : とゆーことで、結論は「雪駄ちんはあゆあゆを泣かせたいいじめっこだった」とゆーことですな
雪駄 : ちがうさー
jes : なるほど、納得
jes : じゃあ何が違うのよー?
雪駄 : 観鈴ちん、強い子
jes : あゆあゆも強い子ってこと?
雪駄 : がんばるー
jes : ちよちゃん?
jes : で、強い子がなんで泣くねんな?
雪駄 : 強い子だからいいんじゃなくって
雪駄 : 強い子であろうと頑張って涙を流すのがええねん
jes : 強くなろうとしている子だからええってこと?
jes : ふむ
雪駄 : コートの中では泣かないのー
jes : 「コートの中では、平気なの〜♪」だー
雪駄 : むう
雪駄 : 流石は普通人だな
jes : 再放送を見ただけよ
雪駄 : 泣いちゃっても歯を食いしばってガンバルのじゅーよー<そんなシーンありません
jes : んで、血をはきながら準備オッケーなわけですな<違
jes : …でだ
jes : そんな説明じゃあ全くわからんのだが(苦笑)
雪駄 : やればいいじゃん
jes : いや、あの女むかつくし(ぉ
jes : まだ姿拝んでないけどねー<駄目じゃん
雪駄 : 大空寺ほど良い女はいないぞ
jes : 二言目にはいつもそれじゃん(笑)
雪駄 : だってかーいーんだもんよー
jes : どこがどのようだから、大空寺は良い女だーくれえ書きなさいな
jes : うわ、壊れてるよこの人…
雪駄 : そやな、自分に正直やな
jes : 我が侭なだけに見えますが
雪駄 : 自分の感性や感情、正義を凄く大事にしてる
雪駄 : 正義って言うと正確ではないかもだが
jes : 悪く言えば、自分の考えに凝り固まった頑固者ですな
雪駄 : そやな
jes : …なぁ、どこがええねんな?(苦笑)
雪駄 : 自分があるというのは凄く魅力的な事だと思うが
jes : それじゃあ他の人には自分がないよーに聞こえますがー
jes : どーも、お前さんが大空寺を語ると誉めてるよーに聞こえないのは何故だろう(苦笑)
雪駄 : んー、なんというかな
雪駄 : 滅私奉公とか、信仰に身を捧げるとか
雪駄 : 恋人の為に、子供の為に〜みたいな風に、何に人生を懸けるかっていうのあるやろ
jes : ふむふむ
雪駄 : 大空寺は懸けるものが外部じゃなくて自分の中にあるねん
雪駄 : 借りたものとか与えられたものじゃなくて自分で生んだもの?
jes : ふむふむ
jes : 信念とか、そんなものですな
雪駄 : だから、それに従って頑張った結果、敗北したとしても
雪駄 : 絶対に誰のせいにもしない
jes : そこが大空寺の美徳、と
jes : そういうわけですか
雪駄 : まぁ、信念とかそういうの自分の中にあるつったって
雪駄 : 勿論外的な要因が絡んでくるけど
jes : ですな
jes : 周りから誤解されるタイプの人間ですなぁ
雪駄 : 自分がどこに存在してるかとか、そういうのは仕様だからしょうがない
雪駄 : 重要なのはそこで自分が何を思い、何を選び、何をしてきたかってことだし
雪駄 : 間違えた過去も含めて、自分は自分だし
jes : ふむ
jes : で、一言で纏めるなら?
雪駄 : そういう自分を否定しないで逃げないで受け止めて、とにかく前進していくと
雪駄 : 一言?
jes : 簡潔に纏められないとテストじゃ減点ですわ(ぉ
雪駄 : 武士?
jes : サムライですか?
雪駄 : さむらいですゆえ
jes : …そうか、あゆのほーがサムライだったのか
jes : んで、蛍だったかに慕われておるのですな(ぉ
雪駄 : まゆまゆ?
雪駄 : あ、でも使える主君が自分自身だから
雪駄 : 天下人?
jes : 天上天下?
jes : 独裁者?
雪駄 : SRXの必殺技?
jes : そか、大空寺はやっぱり芝村だったのか
jes : 大空寺に挨拶は無い
雪駄 : まぁ、信じてる信念とかは違うが、芝村的ではあるかもな
jes : 大空寺には近づかないほうが良いでしょう、とか言われるんやな
雪駄 : ふむ。解せぬやつ(某jes)の反応は確かにそんなだな
jes : あんですと〜!!
jes : 芝村だったらええけど、あゆあゆはなぁ……

 私はやぱっり結果じゃないのですよ、過程なのですよ。事前に結果が成功だと確実に判るなら、そこに向かうことや成功という結果はただの事象でしかない。努力が報われるのが嬉しいのはそれが絶対の未来でなかったからだし、頑張る姿に惹かれるのは、無駄になるかもしれないという不安と戦う勇気がそこに見えるからなんですよ。成し遂げる事、成し遂げた事の方が偉いし重要だし、結局は私もそこで評価するのだけれど、何もしないで失敗しない人より、結果的に失敗しても失敗を恐れずに踏み出した人の方が格好良いじゃないか、あゆはオットコマエな女になったって結果を出したけど、そうなる前の、そうあろうとした姿、前に進みたいと、自分で自分を否定して傷つけてその痛さに泣くところがいいんじゃないか、いい女だからいいんじゃなくて、そうなるための痛みを理解し、泣き、でも堪えて前に進むところがいいんじゃないですかい。痛くても一切涙を見せないで隠し通す方が強くてより良い女なのだろうけれど、そうじゃなかったから私は大空寺が好きというかなんというか。強い女の意外な弱さ一面を見てコロリっつーのとも違って、だってそういうのは結局弱さを肯定するってことじゃん、俺が大空寺を好きなのは大空寺が自分の弱さを認めた上でそれを否定しようとする態度であって、泣いたときに「弱くていいんだ」じゃなくて、「チクショウ」って思って、頑張れ、頑張ろうっていうかそういう気持ちなんだよ、つまり何が言いたいかというと大空寺あゆは俺にとって最高にいい女だとそういうことだ。
 …って、なんの話だったっけ。

○誰にも認められないのは苦しいよ、誰かに褒めて欲しいよ
 頑張る、てことに関しては夏見正隆の本の中で一番とっつきいい「戦う! ニュースキャスター!!」を思い出したりも。
 正体を隠して戦う正義の味方の悲喜劇。
 新装版で出るらしいので興味のある方はチェックするよろし。
 夏見正隆の小説全般に言える事だけれど、読者が社会人か学生かで受ける印象や感想がちょこっと違うんではないかと思う。