雑記 、或いは喪われた雪駄の物語。

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4/5 : 祖父、逝く


 仕事に出る前、祖母に促されて寝たきりの祖父の顔を見た。
 大口を開けていびきに似た音を立てて眠り続けていた。
 以前に母方の祖母が入院したときから、握手、という行為での親愛の情を示すことに自覚的になった自分は、だけど何故かそのときは祖父の手を握ることは出来なかった。
 力を貰えた気がした、と、あのとき握手した祖母は言っていた。
 帰宅する1時間前に祖父は亡くなった。
 苦しまなかったという。
 死に目に会えずとも、今朝方最後に挨拶をして出ていったことを、よかった、と家族に言われた。
 何がよかったのだろう。
 かつて飼っていた犬が死んだとき、彼を最後に散歩に連れて行ったのが自分で、そのときもやはりよかった、と言われたことを思い出した。
 あの時は、もう弱りきって歩けなくなった彼を最後には俺が抱えて帰ってきたのだ。
 その夜、彼は死んだ。
 俺が連れ出したのが体力を弱めたかもしれないのに、握手しなかったのに、それなのによかったのだろうか。
 挨拶らしい挨拶が出来たことをよかった、というのならば、そうなのかもしれないけれど。

 結婚した姉が、仕事の関係で子供をよく実家に預けていったことが、祖父を大いに喜ばせたと家族が言う。
 日が変わるまで眠らないでいた祖母も、彼には救われていたと思う。



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4/6 : 


 本日のタイムカード表記「13:45」
 あと3分で14時間労働。


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4/7 : 


 休日。
 近所の床屋へ行く。
 いつものおばさんの他に、新しい人たちがいる。
 家の息子であるJ先輩かと一瞬思うが、別人。
 店を譲り、引退するのだというおばさんの話を聞き、自分と同い年で学年が一個上の新店主の挨拶を受ける。
 おばさんは祖父の訃報を知っていて、やはりそういう話にはなる。
 うちの店が半分シャッターを降ろしながらも営業を続けている件について、すごいな、とおばさん。
 10年以上前になるだろう。この床屋さんの夫妻も家族を喪っている。
 そのときの自分達は21日、丸3週間休んだのだという。身内を喪ってからの時間はとても長い、と。
 そうですね、と頷くけれど、うちはガンの告知も受けていた祖父で、寿命で、覚悟もできていて、突然の事故で息子を喪ったおばさんたちの場合とは違う。
 あのとき、遺影を抱えて歩いていたおばさんのことは、今でも鮮明に思い出せる。

 夜、jesからTEL。


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