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●6月7日 CG達成率100% KANON完全(?)クリア つまり、この項目はネタばれまみれ

ONE   企画/脚本 麻枝准
      脚本 久弥直樹

Kanon 企画/脚本 久弥直樹
      脚本 麻枝准

…今までONEのシナリオは長森・七瀬・繭が麻枝さん担当で茜・澪・先輩は久弥さんだと思っていたのだが――、KANONをクリアした今、逆だったんじゃないかと思い直す。
ONEのシナリオのキャラクター担当は、バッドエンドの扱いの違いから区別してCGのキャラクター選択画面の上段と下段で奇麗に分かれていると思われる。すなわち、「永遠はあるよ」だけで締めくくられる上段の長森ら3人のバッドEDと「それが、永遠のはじまり」で締められる茜ら下段3人EDの違いである。
対するKANONは、メインヒロインであり、テーマである「夢」を見る月宮あゆと、彼女に関わる名雪と栞が同系等、まったくといいほどあゆに関わらず、代わりにそれぞれのシナリオだけに登場し、そのシナリオの為に重要な役割のサブキャラが登場し、単体で完結してしまう舞と真琴が同系等と見て取れる。
そしてシナリオの雰囲気、なにより真琴シナリオに登場する天野さんが「茜再び」というキャラクタであった為に、真琴とONEの茜系統は同列であるとも考えられる。 企画者がメインヒロインを担当するもんだという先入観から長森系を麻枝さんだと思っていたのだが、同様の考えからするとKANONのメインのあゆ系統3人が久弥さんで、茜系…? という論理矛盾が発生してしまったのである。
考え直した結果、ONEの本来メインストーリーであるはずの長森と七瀬(何故この二人がメインかを説明すると長くなるので今回は省く。いずれONE考察の方でやります)がどうも「永遠」というテーマを描き切れていないことや、本ヒロインを差し置いて裏ヒロイン、真ヒロインの異名を持つ茜を筆頭とする下段3人のシナリオの完成度からいって、こちらこそがONEの企画者であり、誰よりも「永遠」を理解する筈の麻枝さんなのではないかと思い立った次第。

で結局、

麻枝――茜・澪・先輩・真琴・舞を担当
久弥――長森・七瀬・繭・あゆ・栞・名雪を担当

と推測するんだがどんなもんだろうか。
ちょっと気になったんで、どなたか詳しい方おりましたら情報求む。
#本人たちのWebページ行けば教えてもらえるかな? とも思うけど、尋いていいもんなんだろうか…

…って、早速はずれてるし(久弥さんのページ行ってきた)。

やっぱり茜・澪・先輩は久弥さんでした。あやや

…ひょっとして、あゆ・真琴・舞が久弥さんか?
考えてみると、あゆシナリオ自体の雰囲気はあゆと絡む名雪・栞シナリオとはちょっと違うもんな。
それとも「永遠」に近いテーマの舞シナリオは麻枝さん? …うーむ。ますますわからん。

と、いうわけで――
(どういうわけだ)

Kanonネタばれ感想です

音楽・グラフィック(特に背景絵<東鳩の人らしいですね とイベントグラフィックは美麗)といった演出周りは最高でした。
#あれだけ遅らせたんだからイベントグラフィックとかもうちょっと数が欲しい気もしますが
特に好きなのがオープニングの「はじめから」をクリックしてからゲーム開始までの全てと「結婚式」のグラフィックと音楽。
OPの方は何度もリピートしました。ゲームを再開するときは「続きから」を選ばないでそれを見てからロードしてたくらいです
ああいうのは電子媒体ならではですね。
あと、声や喋りかたに関する描写が多かったんで声がついてないのは残念でしたね。 もしコンシュマー移植とかあるのなら主人公も含めてフルボイスでやって欲しいです。勿論、個別ボイスカットはデフォルトで。
BGMははじめはONEのインパクトと比べて?でしたが、ボディブローで効いてきまして、今ではONEより好きです。主題歌と真琴のテーマがお気に入り。なんか今ではどっちも胸に痛いですが。ただ、タイトルの曲はいい曲なんだけど、イントロがちょっとタイトルBGMには合わないかなって気がします。
初回特典のアレンジCDは入手できなかった人に申し訳ないくらいに良い出来で、一度クリアして解禁してからはずっと回りっぱなしです。3000円で売ってたって絶対納得すします。コンシュマー含めてこんなにいい初回特典てそうそうないよなぁ。

以下、シナリオ感想

●月宮あゆ
本来はメインヒロインであり、ONEにおける永遠の世界でのちび「みずか」の役割を果たすはずだったキャラクターです。
主人公の過去回想夢とごっちゃになってややこしいですが、ゲーム初期の段階で一日の始まる前に雪の中を降り注ぐ文字演出で語られる「夢」のテキスト、あれの中には「あゆの夢」も含まれるんですよね?
7年間眠り続ける、彼女の「夢」。
主人公を待ち続ける「夢」。
自分が夢の産物であることに気づかぬまま、あゆは実体化します。
「願えば主人公が願いを適えてくれる人形」に願いをかけ、主人公が自分のことを思い出して会いに来てくれることを願いたかったから。夢の終わりを予感して最後の一つの願いを――というところが理由でしょうか(ま、夢の終わりは目覚めなのですが)。
はじめは幽霊さんかと思いましたが、生き霊さんでしたねー。
OPの羽根や木登りの「後ろむいてて」で元々人間じゃないのか? 異種間恋愛? という期待もしたんですが、あっさりと裏切ってくれましてもう。まぁ、異種間恋愛(?)は真琴が別の形で見せてくれましたが。
キャラクタ的にもシナリオ的にもオーソドックスすぎて肩透かしでした。
ただ、演出は流石に全キャラ中でもトップクラスですね。

●水瀬名雪
本来は対抗馬? キャラクター的には事故にあわなかったみさき先輩はきっとこう育ったろうなーと、そういう人。
人間でない「あゆ」に惹かれて行く主人公、或いは過去の哀しみで記憶を閉ざした主人公を現実に引き戻すべきキャラクターとシナリオが本来の狙いだったと思うのですが、先にクリアされては「あゆ」がネタばれになるのを危惧してか、7年前の「あゆ」の件はうやむやにされており、主人公が記憶を戻しても「あゆ」のことで心が揺れたりする描写が無い為に非常に平坦なシナリオになっています。
そのため他のシナリオでは絶対に起こらない学校の突発試験や秋子さんの事故が発生するのでしょうが、はっきりいってこの手法には幻滅です。
Kanonというゲームはいわゆるノベル系と違い、選択肢は物語や世界そのものを変化させて行くのではなく(選択肢一つでキャラの設定が変わったりしない)、飽くまで「行動の選択」に過ぎないゲームです。時間軸と他の登場人物の行動は決定しており、主人公(プレイヤー)が干渉しなければ、それぞれのキャラクターはそれぞれの時を勝手に生きます。真琴は放っておけば哀しく一人で消え、舞は永遠に魔物と戦い続けるのです。
それなのに名雪シナリオではストーリーを盛り上げる為に世界が変化してしまいます。
これはいただけません。
選択肢で世界が変化すること自体への異論はありませんが、それが無いという一貫性を持った作品ならば、ちゃんとそれを貫き通して貰いたいものです。
世界を変化させるならば、他のシナリオを攻略するときは栞が主人公の介入無しでも生きられるとか、真琴が一人ぼっちで消えずに済むとか、あるいは狐でないとか、そういうプレイヤーに嫌な思いをさせない変化もあってしかるべきでしょう。
本来あるべきはずの「あゆ」(夢)と「名雪」(現実)の選択への罪悪感がシナリオに無いのに、他のヒロインの生死や幸不幸をどのシナリオを選ぶかというそれだけで決めてしまう仕様は、はっきりいって問題があると思います。非常に不快です。
ネタばれさせたくないのなら、「夢」と主人公の失われた記憶に関わるメインシナリオなのですから、いっそのこと「あゆ」と「名雪」のシナリオは統合してボリュームを大きくし、いまいち盛り上がらなかった主人公の7年前の記憶の戻る様をしっかりと描き、最後の最後で夢の産物「あゆ」と現実の「名雪」のどちらを選ぶかさせるべきだったのではないでしょうか。
7年前、あゆと名雪と主人公は三角関係です。そして現在も。わざわざ18禁にしたんだから、それを活かしてそれぞれとの性交渉も含めたりすればかなり厚みのあるシナリオになったと思います。
設定がまるで生かされていない勿体無いキャラクターとシナリオだったと思いますね。

(6/21書き忘れ追記) 「…嘘つき」はてっきり伏線だと思ってたのに…。あれだけ印象的に何度も使っておいて勿体無いです。

●美坂栞
見た目通りの病人。
Kanon中、一番叩かれるでしょう。
不治の病の栞と愛し合う主人公を見て、主人公が好きなあゆは自分でなく栞に奇蹟を起こす。
「あゆ」の設定あってこそのシナリオなのに、このシナリオではあゆの扱いが中途半端な為にあゆが主人公への想いを断ち切って彼女の為に奇蹟を起こすことへの説得力もカタルシスもありません。
起こらないから奇蹟って言うんですよ。
はっきりいっておきながら安売りするのは勘弁。それでは奇蹟でなく予定調和です。
あゆが適えられる願いは「天使の人形」で主人公が適えるモノであり、奇蹟は夢が生き霊を実体化させたそれだけであり、最後にあゆの意識が戻るのは超常の力ではないはずなのに、栞シナリオでは奇蹟を起こしていることも説明不足。興醒めです。 このシナリオもあゆをもっと絡めるべき。
栞を死なせないならあゆをもっと超常のものとして描き、あゆと栞を選択させるようにするとか、栞を死なせるなら「天使の人形」つまり主人公に対してあゆが栞のための願いをかける(例えば「栞と香里の関係を修復してあげて」という願い)とか、そういうエピソードが必要だったと思います。
あゆ以外の全てのシナリオでそうですが、「夢」を出したり、あゆ一人に探し物(天使の人形)を見つけさせるなら、それをちゃんと活用して欲しいモノです。
またこのシナリオ、栞とその姉の香里の関係等、部分部分で非常に上手いところを突いているのに陳腐な話に纏めてしまったことや、絵を描くとかいう設定があまり活かされていないのが悔まれます。
シナリオからあゆの奇蹟を排除し、最後の一週間で終わらせればまだマシでしたのに。
ONEであれほど美しいバッドエンドを作り出した人達が、何故今更こういうとってつけたハッピーエンドに拘ったのかも理解に苦しみます。(6/21追記)奇蹟が起こらず、1〜3年の名簿を一つ一つ調べても名前を見つけられないというバッドエンドありとのこと。また評価アップですね(汗

(6/14追記)
…とか思っていたら、絵を描くことを活かした二次創作や奇蹟に対する素晴らしい解釈などが次々とWeb上で発表され、それらで補完したら自分の中ですごく良いシナリオになってしまったんで評価アップ(なんていいかげんな…)。
あぅー、酷評御免なさいです。>Key
しかし、奇蹟の内容が脳死状態のあゆからの臓器移植(6/27 修正。植物状態で臓器移植なんてしないって(汗))だなんて、普通の人はあのテキストから思いつかないって(自己弁護)。
奇蹟が法律改正と実体化したあゆの移植承認なんだと考えると大納得。というか大絶賛ですわ。
すんません。負けました(何に?)。

(6/21追記)
考えてみれば、このシナリオもヒロイン視点からのONEなんですよね。
ネタばれ無しでの方でONEに触れた時にも書いた「別れのシナリオで人を感動させる肝である別れるまでの二人」(と香里)はONE同様、非常に良く描けているので、別れのイベントガジェットである病気、再会のイベントガジェットである奇蹟さえ読み手に納得させられれば、ONEの肝であった別れの後の再会シーンまでサポートしているこのシナリオは、ONEを求めていた人間からはもっと人気と評価を得たはずのシナリオなんですよね。
#だから僕も解釈をちょっと変えただけで評価ががらりと変わったわけで。
シナリオってのはエピソードやシチュエーションが巧みなだけでは駄目で、設定やイベントに読み手を納得させる説得力もまた必要だってことを再確認させてくれたシナリオでした。

また、栞シナリオには「そんな安っぽい奇蹟が無ければ良かったのに」という意見が多く出ていますが(僕もいってますが)、これは裏を返せば別離までは非常に良く描けている、好評価しているということなんですよね。
それは「ユーザーはKeyにファンタジーを期待している」という認識が間違いであることを示しています
これは非常に重要なことです。
栞シナリオは「病気」という非ファンタジーガジェットで別れを描き、その別れのシナリオ自体は高く評価されている(私も同様で、だから少しの解釈を変えることで全体評価を上げることが出来た)。
しかし、超常現象的な奇蹟を思わせる描写で帰ってきてしまうことに不満が大きく、シナリオ全体としての評価は低い。

つまり、これは栞シナリオに「夢」やファンタジーは邪魔でしかなかったということなのです。

これは凄い問題提起で、これからのONEやKanonについての評価、これからのKeyの方針にも大きく関わってくることです。
真琴シナリオなんかでもファンタジーガジェット用いなくたって成立しますし(ああいうエピソードは死を迎える老人、もしくは病人のそれとして現実にも存在する)、Keyには栞シナリオの不評とその理由を受け止め、シナリオにファンタジーガジェットを用いる是非について考えてもらいたいものです。

しかしこの問題、ONEなんかファンタジー要素を払拭して、ただ別れと再会をテーマにしたオムニバス恋愛ストーリーとした方が良かったんじゃないかってことにも繋がってきますね。
…別れのシチュエーションを複数考える手間なんて、時代を戦争時、戦争を控えた時代とでもするなり、舞台をホスピスとするなりすればいくらでも出来るんですよねぇ。
売り方だってそんなん、実は士官学校だったなり、同年齢だけを集めて普通の生活を演じている患者たちのホスピスが学校そっくりで、見た目は普通の学園アドベンチャーで、学園アドベンチャーとして売って、プレイした人間、後半でいきなり真実を知ってびっくりなりでええし。
実際にONEだってファンタジーだってことを隠してたんだから、説得力の無いファンタジーやるくらいよりかはそういう風にした方がも良かったかも(ホスピスを舞台に使うのはヤバそうだけど、18禁ならそれくらいねぇ…)?

●沢渡真琴
ONEをアレンジその1(勝手な思い込み)。
唯一、ヒロインと別れてしまうシナリオです。
#最後の1カットからはさまざまな解釈があるでしょうが、個人的にはあれはイメージだと思っています。当初の段階ではこれも栞のときのように「あゆ」が奇蹟を起こしていたのかもしれませんが。
あれだけ陳腐な話でここまで泣かせられるのにまず感嘆。
彼女は命と記憶を犠牲に、7年前に人の温もりを教えた主人公の元へと一ヶ月だけいることを選んだ狐。必ず消えて行く存在。
それはONEの折原浩平であり、その性格は七瀬であり、繭であり、忘れえぬ想いは澪であり…。
一人でONEのキャラを複数被り、名雪がみさき先輩と長森を、天野が茜と氷上シュンを担当してヒロイン視点からのONEを完成させています。
喪われていく哀しみをONEは周囲の人間の記憶、真琴は人間性を少しずつ喪っていくことで表現しています。
いわゆるアルジャーノン方式ですが、喪われて行く人間性の伏線、描写が非常に秀逸で、あれだけ五月蝿く生意気に動き回っていた真琴が、段々まともに動けなくなっていき、言葉や表情を喪って静かになっていってしまう様は非常に強く、痛く胸に突き刺さります。
ラスト付近での暴れまわっていた頃のエピソードの伏線としての回収や、ずっと引っ張ったプリクラのエピソードの使い方は予定された別れが迫る切なさを尋常じゃないくらいに上手く伝えていると思います。うますぎ。
#ここらは、花火のシーンなんかCG化されていないのが勿体無いですね。
#絵師の皆さん、ぜひとも描いて下さいましね〜。絶対見に行きますんで。
ONEでの茜やこのシナリオに登場する茜的キャラクターの天野さん、栞シナリオの香里が何故に他人を拒絶したような態度を取るのかをテキストの心情説明ではなく、実感として理解させてくれます。
そして真琴との最後のイベント――「結婚式」は、伏線の張りかた、描写、グラフィック、音楽…、どれをとっても一級品で、あのシーンを見れただけでKanonを肯定しちゃう出来でした(あれだけ上の方で文句書いたけど)。えぐえぐ泣きましたとも。ええ。 文句無くKanonの最高のシーンです。あんまり気に入ったんで、ベールを被って風に吹かれる真琴は壁紙にしちゃいました。
シナリオのバランスも良く、名雪、秋子さんらサブキャラクターが最も魅力的に描かれています。
他のシナリオやONEの弱点の一つに、一部シナリオで最も近い位置にいるキャラ(長森や名雪)ですら脇役どころか端役に追いやられたり、他のキャラにいたっては登場すらしなくて、ヒロイン間の横の繋がりが希薄で狙ったヒロインとの二人っきりの閉じきったストーリーになる…というのがあったんですが、真琴シナリオでは名雪も秋子さんも真琴へのスタンスを通して非常に魅力的に描かれていたのに好感を持ちました。
そして何より天野さん。
彼女は真琴と同じ妖狐と出会い、主人公と同じ経験、同じ夢を見、哀しい別れを体験した人物。
ONEでいう茜と同様のスタンスにいるキャラクターです。
スタンスはそうでも性格等、キャラクターがちゃんと違うのがいいですね。
ONEにおいて茜で遣り残したこと、やれたのにやらなかったことを本物自らがまざまざと見せ付け、茜SS書きの諸氏はショックを受けられたのではないでしょうか。
私はえれえ受けましたよまったく。
もしも長森と茜がもっと親しかったりしたら? 詩子シナリオが描かれていたら茜はどうしてた?
その答えはKanon真琴シナリオにありました。
色んな意味で、やられたー。Kanonで一番気に入っているお話です。
真琴と舞がいなかったら私はKanonの“シナリオには”駄作の烙印を押していたかもしれません。
…そういえば雪駄は初め、主人公はあゆのことを気に病んで精神病かなんかで夢の世界にいて、真琴はそれを現実に連れ戻す為に「夢」に飛び込んできたんで記憶無いのかなーとか思っていましたが、見事に外れましたね。

(6/14追記)
秋子さんに言った最後の言葉。
夕食がどうのって聞かれた後の台詞だからということを考えて
「もう、いらないの」

なんてどうでしょう。
…FSS野郎の妄想ですな(わはは)

●川澄舞
ONEアレンジ その2orMOON.アレンジ(思い込み)。
ちびみずかin浩平です。つまり、永遠の世界に旅立った浩平。
真琴シナリオでONEから継承されなかった、みさおと「永遠」はここに継承。
或いは母親に拘るMOON.の郁美や葉子さん。
幼い日にした約束に囚われて、魔物狩りという妄想の世界で生きる人です。
問題は彼女の妄想に現実に作用してしまう力があったということでしょうか。
というと雫のようでもありますが、リーフで言うと東鳩の琴音で、そのシナリオのパワーアップ完璧版といえるかもしれません(思い込みで力を魔物にし、好きな人まで傷つけちゃうところとか)。
力を持つに至った母親とのエピソード、力が魔物に転じた過去の主人公とのエピソード等、最もグレードの高いしっかりとしたシナリオ設定とそれを上手く活かしたストーリー展開といえますが、最後の最後の展開がちょっとくどいのが玉に傷。
MOONでも見られたちょっとした演出の失敗です。
ようするにラスト、舞は最後に残った「魔物=不可視の力(希望だろ…)」がヒーリングとして作用して死ななかった、或いは母親と同様に生き返ったっていうことなんですが、主人公の妄想で分け分からなくなってますね。あの妄想のエピソードはすごく良いんだけど(なんか男一人に女二人の共同生活って白倉由美の漫画思い出すね)、ちょっと「永遠の世界(仮)」での舞の魔物との会話とか詰め込みすぎかもしれないと思いました。
さゆりさんとの昼の日常のエピソード、舞との日常の中の非日常、夜の非日常の中の日常のエピソードは非常に秀逸。キャラクターの魅力全快ですね。何気に伏線張ってるところも流石です。そういう日常描写含め、このシナリオはMOONとONE、両方の流れを汲んでいるような気がします。ある意味集大成。
ちなみに舞のテーマ音楽、すごく冷たい感じで格好良いのでアレンジCDの収録曲がああいうアレンジっていうのがちょっと意外でした。もちろんそれもまた良いですが。
オマケのさゆりシナリオは途中までギャグだとばかり思っていたんで、感情移入出来ず残念。まさかオマケのショートショートがシリアスだなんて思わなかったんで…。話自体やここで追加される一枚絵はいい感じですね。

●シナリオ総評
このゲーム、ONEの「永遠」ように当初は全てのシナリオを「夢」で括って統一間をだそうとして、最終的に括れ(ら?)なかったモノのように思われます。舞シナリオなんか見てると、7年ぶりに帰ってきた町での「再会」が最終的なテーマなんでしょうか。そして二次的にかつて逃げた(忘れた)過去と向かい合うというか。そこらへんはMoon、ONEとも一貫してますね。
ONEの「永遠」に相当する演出で挿入されるあゆとの「夢」なんですが、5本あるシナリオのうちそれがシナリオ上で意味を成すのが「あゆ」1本、部分的に意味を成すのが「名雪」「栞」の2本、残りの「舞」「真琴」の2本はそれぞれ完全に「夢」からは独立しています。
ゲームを始めると必ず出てくる「夢」なのに、ヒロインによってはそれと関係の無いシナリオが展開してしまうのは不自然です。
恐らく、当初は全てのシナリオに「夢」「あゆ」を絡ませる予定だったものが、ONEでもあった「一人クリアしたら他のシナリオがネタばれ」「結局同じストーリー展開」という問題の発生を避ける為に、途中から全てのシナリオを独立させる路線変更がなされたものではないかと思われます。
その結果として舞・真琴シナリオは「あゆ」を完全に切り離し独立したストーリーとなり、名雪・栞シナリオは切り離し損なって中途半端に「夢」「あゆ」が関わってどこか不自然になってしまったのでしょう。
ONEもそうだったんですが、イベントガジェットにファンタジーを持ってきたのは良いけれど、それにしっかりした説得力の理由や法則性が無いのが最大の弱点だと思います。
菅野ゆきひろになれとはいいませんが、栞シナリオなど「夢」で括りたいのならあゆの設定をもっとちゃんとして欲しいものです。
18禁性についての文句もありますが、ネタばれ無しにも書いたんでそれはパス。
同じくネタばれ無しの方にも書いてますが、相変わらず日常描写は心地よいフィクションとリアリティの配分が見事でした。ギャグは主人公の性格が浩平よりまともな所為でちょっと少ないかな(そういや、いくつかONE絡みネタありましたね)。免疫付いたせいかもしれませんがONE程爆笑した覚えはありません。シナリオ別では舞が一番笑えました(舞シナリオは笑い・設定・ストーリーが3拍子揃っているのも見事)。

(6/21追記)
ONEは巧みなエピソード群や演出、特に音楽で虚弱な設定の説得力を補っていました。
KanonはONEの弱点であった設定の虚弱さは殆どそのままに(つじつまだけは多少アップ?)、それを補っていた部分をパワーアップした作品でした。
Keyがもし同系統のゲームを作っていこうというのならば、これからの課題はシナリオの見せかたではなく、設定の説得力をどうするか、といったことでしょう。
個人的にはもうファンタジーやSFに頼らず、現実にあるなんらかの業界なり世界なりをしっかり取材し、その中で展開するストーリーを見てみたいと思うのです。いいかげん超常現象ファンタジーモノは市場飽和していますし。
#リーフが最近SFから離れ、芸能界や同人界を舞台にしたゲームを出しているのは市場調査なんかをちゃんとしている故でしょうね。
いっそのこと、アドベンチャーゲームの初心に帰って探偵モノでもやったら面白いのではないかと思うのですが。
美少女ゲームってことなら学園推理モノとか。

最終評価:客観評価 B/主観評価 A
(真琴シナリオ B+/SA、舞シナリオ A/A+ 他は C+/B<6/21主観評価アップ)

折戸サウンド好きな人はアレンジCD付いてるなら買うべし。
それ以外は各自の判断に任せます。…個人的には好きだけどね(って、ここ読む人はプレイした人だけジャン。誰に言っているのだ)


最後にとてつもなく勝手な感想をば(今までだって十分勝手です)。

Kanonて橘裕「人形師の夜」(白泉社・花と夢コミックス)で括るとまとまるシナリオだと思うんだよねー。

「夢」の中で「あゆ」は人形師となる。
そしてあゆは夢の中、主人公を待ち続ける。
夢の扉を開いた少女たち――舞や真琴、栞――に人形を与えながら。
そして7年目の雪の日、あゆは本当に欲しいたった一つの人形を、
自分の願いを適えてくれる天使を探し出すため、自ら人形に宿る――。

なんてな。

…そうそう、本来ここは漫画読み系ページなんで、もう一つKanonぽいお話の漫画も紹介しときましょう。

こがわみさき「でんせつの乙女」(光文社ガールズ・コミック)

あゆ、真琴な方にはかなりお薦めなり。

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