半月ばかりのことだ。 たったそれだけだ。 一体そこからどんな物語が発想できるだろう。 何があのとき、始まっていたというのだろう。 一瞬で過ぎ去った出来事の、そのひとつでしかない。 なにもない。 夢なんて見ていない。 そのはずだった。 |
沢渡真琴 年齢、本名、共に不祥。 記憶を喪った少女。 唯一覚えているのは、相沢祐一を憎んでいる事だけ。 相沢祐一 高校二年生。水瀬家の居候。 気は多いが、真琴に何かした覚えはない。 やがて七年前の記憶が不確かであることに気付く。 |
「おまえは一体何者なんだ…?」 「………」 「…それは真琴も知りたいよ」 |
「で、どうするつもりなんだ、これから」 「…記憶が戻るまで、ここに居る」 「名雪、警察を呼べ」 「わぁ、なんでよーっ!」 |
水瀬名雪 高校二年生。祐一の居候先のねぼすけ娘。 ついでに従姉妹でクラスメイト。 祐一の7年前を知っている少女。 好物:イチゴジャム。 |
水瀬秋子 年齢・職業他、色んな物が謎・謎・謎。 名雪の母親で祐一の居候先の女主人。 趣味:ジャム製作。 特技:了承。 |
「ああ、わかったわかった。わかったから、そんなにくっつくな」 「そんなに離れたら見えないーっ」 「手に息をかけるな、気持ち悪いだろっ」 「いちいちうっさいーっ」 「ほら、読むぞ」 「『恋はいつだって唐突だ』…げ、なんだこれ、少女漫画か?」 「私語、挟まないのっ」 「『下痢もいつだって唐突だ』」 「そんなこと書いてないっ!!」 「バレたか…」 |
「結婚は人生の墓場って言うんだよ。よく憶えておけ」 「もーっ、そんなに真琴の夢、ぶち壊して楽しいっ?」 「おまえが、理想で固めすぎなんだよ」 「現実を知ったときにショックを受けないように、今からレクチャーしてやってるんじゃないか」 「はぁっ…祐一と結婚する人は最悪ね…」 「おまえとはしないから、安心しろ」 「されたら、舌噛みきるっ」 |
………。 ……。 …。 楽しい日々…。 ずっと… ずっと一緒にいられると思ってた。 ただ、一緒に居たかった。 |
【真琴】「ねぇ、真琴は…」 【祐一】「ばか、思い出すなっ」 |
温かさなんか知らなければよかった。 そうすれば、『寂しい』なんて気持ち、知らずに済んだのに。 奇麗な雪を冷たいだなんて、嫌いだなんて、思わずに済んだのに。 |
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オープニングテーマ「Last regrets」 作詞・作曲:KEY 編曲:I've 歌:彩菜 |
音楽
折戸伸治withKEY OiakeS |
エンディングテーマ「風の辿り着く場所」 作詞:KEY 作曲:折戸伸治 編曲:I've 歌:彩菜 |
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「始めるぞ」 「………」 すぐ前の真琴の顔に向かって囁く。 「俺たちの― |