●真琴SSプロット その1(元ネタ:ヴェーン飛行船物語より「告白する記憶」)

 人間に段々と住処を追われていく中、失われた技術を復活させようとし、失敗して全てを喪った一匹の物の怪がいた。
 彼を慕っていた仲間達が、喪われた彼の後を継いで古の妖術を復活させようと奮闘する。
 彼は妖術を使えるようになって、何をしたかったのだろう?
 仲間達はそれは自分達を追い立てる人間への復讐だと考え、復活させた妖術で人間を脅かす事を覚えるようになる。
 しかし物の怪達は、やがて彼の真意を知る。
 彼は人間に復讐する為ではなく、人間に変化し、ある一人の人間の友達になるために妖術の復活に取り組んでいたのだ。
 物の怪達は彼の為にと人間に復讐することの無意味さに気付く。だが、彼を慕っていた物の怪はその事実を認められない。
 彼女はそれでも人間どもに復讐しようと山を降りる。
「この土地は私達の者だったのに、後から来たニンゲンどもが次々侵して! どうしてアンタ達は私から何もかも奪おうとするの? 住処も、あのひとも!」
 人間達の間で、人を襲う猛獣の噂が広まる。
 仲間達も丘を降り、必死に彼女を止めにかかるが、彼女の力は強く、若い一匹の物の怪がやられてしまう。
 そして。彼女はついに彼が友達になりたかったという、一人の人間の少女を見つける。
 彼女は少女を殺そうとするが、物の怪達の必死の妨害もあり、結果、巡回中の警察に討たれ、死んでいく。
「彼女を否定できますか? 彼女の選んだ結末は、私達が選び損ねた未来の一つだ」
 彼女の死を見つめながら、路地裏で人間から身を隠す仲間達に向って一匹の物の怪が呟く。
 彼らの前を、自分の命が危なかったことなど露程も知らない少女が、年下の女の子と楽しそうに談笑しながら通り過ぎていく。
 と、女の子が物の怪達に気付く。
 慌てて身を隠す物の怪達だが、一匹トロイ奴が逃げ遅れて女の子に掴まってしまう。
「みしおちゃん、どうしたの?」
「まことおねーちゃん、ほら、きつねさん!」
 みしおと呼ばれた女の子が逃げ遅れた物の怪を抱き上げる。
「あ…。怪我してるね。病院に連れてって治してあげようか?」
「うん!」
「お姉ちゃんもね、ものみの丘にきつねさんのお友達がいるんだよー」
「ものみの丘って?」
 まこととみしおが、話しながら歩いていく。
 顔を真っ赤にして俯いた一人の少年がすれ違っていく。
 少年の手には油揚げとドッグフードの入ったスーパーの袋が握られ、コートの中には、事件の中、彼女を止めようとして倒れた、子狐の姿をした若い物の怪が抱かれている。

 この後、この事件によって人間に触れた物の怪達は、それぞれがまた、それぞれの結末を選ぶ。
 それはまた、別の物語。