「こんばんわっ オカマさん」 「さぁさぁ座って座ってミルクでも」 「ありがとう。迷わずに来れたけど、喉乾いてた」 「ひどい迷路だったろうけど迷わなかったでしょ。なんせ僕が君の行動を決め ているんだから」 「え? そうなの? 神様みたいな事を言うのね。それじゃぁ、今までの変な 役回り凄い暴力はみんな貴方のせいにしていいの」 「ごめんねそうだよ。でももうこんなこともなくなると思うよ。今、ネタが思 い付かないんだもん。でもいーんだそれでも。分かったんだネタなんていらな い。僕にとってはナコルルがいる空間が大切なんであって、ただそれだけが欲 しいんだ」 「へへへ、そうなの? あたしだったらいつでもいるよ。でも…面白いの?」 「刺激的な面白さはないさ。でも、現実、好きな人と一緒にいる事ってそんな に面白くてネタに包まれているわけじゃないだろ」 「う〜ん、そうかなぁ。好きな人って、好きな所が好きでぇ〜」 「君が好きな僕はすごく満足になれるんだ。君が動いて漫画に空間が生まれる と。情報はありすぎて脳みそは狭すぎてリアリティって人それぞれに人それぞ れの共通な物ではないと思うんだ。僕にとって漫画の世界は現実よりもリアリ ティがある現実であって、非現実である現実はそれを支えるための不愉快な障 害なんだ。だけども、それを支える現実は少なすぎるんだ。支えきれないから 自分で作り、自分で生かす。だけどこれからサムスピシリーズが出てもあまり 新鮮にネタが浮かぶと思えないし、出なかったらみんなに忘れられていって、 売れないの書いても誰も喜ばないし、非現実は僕にますます障害となり、僕は 君を描けなくなる」 「え? それじゃあ私は動けなく…死んじゃうの?」 「うん」 「いやだよぉ」 「仕方が無いよ。僕は君を支えるために時間を割いて…出来ればそれを君と重 ねたかった」 「こわいよぉ」 「哀しいんだ、僕も。君が哀しむと。自然の掟を善とする君が死を嫌がるのは 変だと思うけど、君の死は僕にとっては現実の死と似ているんだ。僕は今まで オタクってトーヒストだと思って弱さばかりを見ていたけど、僕もそうだった。 僕自身が現実認識の視点を変えて見てみると、何がリアルでどれがリアルでな いかなんて自分自身でしか決められなくて。僕らもまた現実とどこかで見てる んだなって、普通の奴だったんだなって。漫画の中で泣いたり笑ったり喧嘩し たり考えて教育されて育っていって。自分を育てて安心させる」 「安心、心を?」 「そうだと思う。僕は言葉とか理屈とかって俺自身言葉知らないからだけど、 リアルじゃないんで好きじゃないけど、少なくとも自分の考える方法の元のモ ノは自分の心を安定させるには役に立つと思うんだよ。たとえ狂ってるモノで も求める現実に対して安定できる。薄弱じゃなければね。僕は失恋した時に心 の安定がほしくて君を好きになる事にしたんだ。君を現実と認識し、自分を騙 して騙されたことにして非現実での自分の行動をムダ無く動かせるようにする ため。自分の汚い所を漫画で出せば自分の行動を操れる程に心が空っぽにでき る」 「えへへ。へんなひと」 「僕の考えはとっても危ないよ。世捨て人だからね。不完全だけどもナコルル は巫女さんだから宗教家だね」 「うん…なんか私も世捨て人だよ。今の世の中じゃ」 「でも君の現実と僕らの現実は違うんだ」 「私がいる所が」 「そう」 「ここが現実」 「この言葉が絵の空間が僕らの現実なんだ」 「現実だから会うだけで嬉しくているのね」 「君は君じゃない君を背負って空間の中にいるんだよ」 今度あえるかわからないけど 君の形でない君はいつもいるから また好きになってね それだけ