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<SETTA'S COMIC FANCYCLOPAEDIA+・冬目景>
●羊のうたB
 /冬目景/スコラ/B6版/514E(税別)
 あの時
 殺してほしかった…
 置き去りにされた私は素直に死ぬこともできない

 身体と精神が他人の血を求める奇病に侵された姉弟の物語である。
 遅れて発病した弟・一砂は親しい人を傷付けないため、そして病のことを知られないために養父母や友人に別れを 告げ、先に発病し外界から遠ざかって暮らしていた姉・千砂の元に身を寄せる。
 そして千砂は自分を残して自殺した父の面影のある一砂と共にいることを求め、 一砂に父が自分にしてくれたように血を与え、二人は世間との繋がりを最小限に断って共に生きていく家族ごっこ(まぁ、本当に血縁のある家族なのだけ れど)を始めることになる。
 今まで構築してきた日常を壊すまいとして自ら離れる一砂、生きるために日常を 構築すまいとする千砂。
 一砂を好きだといい、自らの血を与えようとしたクラスメ ート八重樫や、かつて血を求めた千砂に傷つけられながらも彼女を愛し救いたいと 力を尽くす医者の水瀬が二人に希望と絶望と恐怖を与える。
  
 帰る場所と日常の喪失という“鉄”と同じテーマであるが、迅鉄のように渡世人 として非日常を渡り歩くことも出来ず、触れられない日常に囲まれながら互いを喪ったモノの代用品と して嘘の日常を演じ、日々の中でゆっくりと死を待つ二人の姿はより読者に訴えかけてく るモノがある。

客観評価 B 主観評価 A

●僕らの変拍子
/冬目景/スコラ/B6版/520E(税込)
 他人に冬目景を紹介する場合に「まずはこれだな」と手渡す本である。
(次点はまぁ「鉄」か。とりあえず「ZERO」は避けた方がいいかと。「羊のうた」は人を選んで…だね)
 初期の作品郡ゆえに今とは絵柄が少々違うが冬目景の絵が魅力的なのはこの頃から変っていないし、 収録されている話もバラエティに富んでおり、いつもの学園すれっからし少年モノから最近だとあんま り描かないポップな感じの絵柄と内容の作品まで質の高いモノが集まったお得な作品集となっている。
 質・量ともに充実し、誰にでも薦められる良品。

客観評価 A 主観評価 A


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