花棕櫚の由来
はなしゅろの
  音さらさらと
     風わたる 

作・早田光子
書・山本洋子
 ギャラリー開設に向けて、2000年の夏からギャラリーの名前を思案していました。いつも風がさわやかに流れるような空間でありたいと思っていました。浮かんだ名前が、「風の道」「風話里」「風庵」「木の香」「木香」50個以上・・・。どれも今ひとつでした。

 いっそのこと発想を変えて、シンボルツリーになる木はないかと家の周りにある木を探しました。すると今まで、生い茂った木々に囲まれて気がつかなかった「棕櫚」の木が見えてきました。高く凛と立っている姿は、すがすがしく、長い時を経て、貫禄に溢れていました。

 その立ち姿に、これからのギャラリーとしての姿勢を見た思いでした。そして、「棕櫚の木」について調べてみました。キリスト教、イスラム教、仏教では吉祥樹とのことでした。『なかなかいい名前ではないかしら。』と思っていたところ、、千葉にお住まいの早田光子さんの俳句のホームページに行きつきました。
 
 そこに、『花棕櫚の 音さらさらと 風わたる』という俳句がありました。素敵な歌に飛び上がりたいほど嬉しくなりました。早田さんは、91歳になられる女性で、早田さんの娘さんの大白泰子さんがその俳句のホームページを管理されていました。

 まさに、その俳句に描かれている空間そのものが、私の求めている空間でした。「棕櫚」という漢字も初めて目にするものでしたが、字のつくりも趣があるものでした。いっぺんに気に入り、『花棕櫚-はなしゅろ-』と決めました。

 早速、メールで連絡をおとりしたところ、早田さんも大白さんも、とても喜んで下さいました。2001年の3月に早田さんの卒寿のお祝いでこの話が披露されたとのことでした。

 愛知県と千葉県、インターネットでなければ絶対に接点を持てなかった方との素敵な出会いが持てました。そんなやりとりのなか、もう一人の娘さん・山本洋子さんが書いて下さった色紙が送られてきました。

 今、その色紙が「花棕櫚」の玄関に飾られています。一度見上げてください。