カタチ・テクニックだけでも、人間のメンタル面だけでもなく。
どんな仕事でも人間社会で行う以上、進んで行けば行くほど人間と深く関わることになります。
開業後の初期段階でも広告宣伝をすれば、どうしてこんな反応をするのだろうかとか、こんな反応をしてもらうにはどうしたらよいのだろうかという「思った反応が得られない壁」にぶつかります。
もっと進んでいくと、一時的に儲かることと長い時間をかけて満足してもらうことの違いはなんだろうかとか、従業員の本当の幸せとは利益配分なのか生活保障なのかとか、そんな場面で自分はどんな考え方に基づいて行動すればよいのだろうかとか、いったい人間とはなんだろうかなど、徐々に人間についての考察を深めていくという段階を踏みます。
自分についても同様で、「要領よく生きる」程度の段階では自分のことは置いといて楽な道を他に求めるだけですが、自分の人生設計とか、自分が最高のパフォーマンスを人生で作り出すとか、「自分が」をそれら「他の」と組み合わせて考え始めるとどんどん「理想的な自分」が描けてきて、その上でやっと「現在の自分」とのギャップが見え、それをどうやって埋めていくかを考えることができます。
起業講座のプロセスにおける業種選択を考えていく段階というのは、いろんな「業種という穴ぼこ」があちこちに開いている地面の上を、腕組みして歩きながらちょっとずつ覗いて回っているいるような作業です。
仮にひとつの穴ぼこに入ってみると、そのトンネルはいろいろな環境条件に縛られている「難しい業種」であることがわかり、穴ぼこは細く感じます。「難しいんですよ」と言って終わってしまっている人はここまでしか進めません。
そこをさらに進んでいくと「人間との関わり方」によって無限に広がる選択肢が待っていて、穴ぼこは急に広くなります。人にはいろんなタイプがあることがわかり複雑さを感じます。しかし一方で先人が切り開いてきた道が、人間の感性の中にはあることが徐々に見えてきて、山の中の掘ったトンネルでぶつかった一筋の鉱脈をたどって進むことができるようになります。
地面の上で腕組みをしながら眺めている人たちには、狭くなっているところまでは何とか見ることができますが、その先までを見ることはできません。
「こんなことをやろうと思うんです」といいながら、しばらくたつと「あれは難しい問題があるからやめて、今度はこんなことをやろうと思うんです」というアントレプレナー渡り鳥の人たちは、このような段階で止まってしまっている人たちです。
これは業種選択の段階だけではありません。事業開始後に方法論で迷い続けている人というのは、ほとんどが「穴の奥深く」まで進まないで「この方法はダメだ」という結論というか、がっかりした経験からくる無力感というか、そんなものを持ってまた別の穴を探します。
ここで考えるべきことは、2つの「世界」があるということです。
ひとつは、自分の事業の商品・市場・売り方に合わせた方法を作り出しているかという「カタチの世界」です。商品に応じて市場を変えたり、市場に応じて売り方を変えたり、売り方に応じて商品を変えたりと、無限に広がる自由な選択肢の中からより効果の高いものを探して「進んで」いくわけです。
もうひとつがアントレプレナー渡り鳥の目を向けない世界ですが、「今の自分でいる限りどんな方法でも通用しない」と考えるレベルの世界です。
目を向けられない理由があります。「3年間誰かが生活の面倒を見てくれるなら、そこまで準備をすることができるが、今は明日のメシのことで精一杯だ」という状態です。
自己改善には時間がかかるような気持ちが強いですからそちらは置いといて、今の方法には限界があるのではないかと迷い、即効性を求めて別の方法、別の方法へと目が向いてしまうんです。結果的に深い世界、深いレベルに達しないまま引き上げてしまいます。
「違うカタチ」のほうが考えやすいのは確かです。レベルアップにしても、人に見られている中で試行錯誤をさらけだすのは不安を感じます。広告宣伝で迷うとすると、卒業が見えない中での授業料のようにどんどん金が飛んでいってしまいますが、はたして、、、
大体こんな段階が経営塾に入ったひとたちが1ヶ月ぐらいで直面する「課題」で、1月の短期通信コンサルから入ってきた塾生たちが軒並みぶつかっています。
方法ばっかり考えていて本当に自分にとって最適な方法があるんだろうか、逆に自己改善ばっかり考えていて時間が無駄に過ぎないだろうか、いったいどっちを考えていったら早く最高の結果に向かって進み始めるんだろうかと。
この答えは、経営塾で毎日連絡を取り合っていると意外と早くに出すことができています。
「ウジガワはどっちだと思ってるのか」なんて考えると、いつまでもこんな抽象的な領域から抜け出すことはできませんが、目の前の現実に目を向けると簡単に答えが出てくるんです。
「今の方法の中でのレベルアップと、新しい方法の探索を同時にやる」であり、それは速いスピードで、しかも集中した長時間労働を、自分が思慮深くなりどんどん眼力を向上させながらやる。ということです。
テーマによって、方法に割く時間の割合が高くなる場合も、レベルアップの訓練に時間を割く割合が高い場合もあります。決して「どっちかひとつだけ」ではないんです。
言われてしまえば、こんな本当に簡単な答えなんですが、ここに行き着くまでに十年以上かかっている人はかなり多いです。20年以上前からアントレプレナー渡り鳥だった人なんていくらでもいるんです。
「あれは俺のほうが先に考えたんだけどなー」なんていいながら新しい企画書を書き続けている人なんて起業講座にはいくらでも来ます。
昼間に行っている現実の作業の中ではレベルアップを行わず、夜に悩んでいる中では昼間の仕事にどのように応用するかが「ハイブリッド(組み合わせ)」されていないとバラバラに逆の方向に進んでいったりして、時間をかけても進まいんです。
自分と社会をハイブリッド、レベルと方法をハイブリッド、現実と理想をハイブリッド、自分の脳みその中にあるいろんな知識をハイブリッド。
もっと「穴」をどんどん進んでいくと、普段見ているテレビドラマとその脚本を書いている「自分」をハイブリッド、犯罪のニュースと犯罪を犯さざるを得ない状況に陥った「自分」とをハイブリッド、商品を売ろうとして苦慮している人とそれをまだ買いたくならない「自分」をハイブリッド、脳みそを悩ませながらメルマガを書く自分とさっさと斜め読みして削除する自分をハイブリッド。
何のことはない、つなぎ合わせる部分だけが欠けていたから、打開策が描けなかったんだと気づいたりします。数百億円のロケットが数百円のパイプひとつの詰まりで飛ばなかった。なんてのと同じようなことが自分の中にあったら、それは無限の可能性が「そんな小さいところに詰まっている」という意味です。
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