The Copyright Law Association of Japan 著作権法学会

著作権法学会 研究大会


2019年度(平成31年度)研究大会のご案内

著作権法学会 会長 野村豊弘


内 容


日 時: 2019年 6月 15日(土)10:00~17:00
場 所: 一橋講堂(学術総合センター 2階) 東京都千代田区一ツ橋 2-1-2 MAP

10:00 開 会
10:00~11:00 [個別報告1]
 青木大也(大阪大学) 「(未定)」
11:00~12:00 [個別報告2]
 渕麻依子(名古屋経済大学) 「(未定)」
12:00~13:30 <昼休み>
13:30~16:45 [シンポジウム]深化するインターネット社会と著作権をめぐる国際私法上の課題(仮)
 司会:駒田泰土(上智大学)
 羽賀由利子(金沢大学) 「インターネットによる著作権侵害の国際裁判管轄と準拠法―欧州法の観点から」(仮)
 茶園成樹(大阪大学) 「インターネットによる著作権侵害の国際裁判管轄と準拠法―米国法の観点から」(仮)
 小島 立(九州大学) 「各立法提案の検討」(仮)
 山内貴博(弁護士) 「インターネットによる著作権侵害の国際裁判管轄と準拠法――実務の観点から」
 (討論)
16:45 閉 会
17:00~懇親会

論 点


【設例】 A国に常居所を有するYが、B国所在のサーバから世界中の公衆に向けてXが著作権を有する著作物を無許諾で配信している(A・B両国は外国)。

前提】 日本法上の公衆送信権は送信事実のみを規制しており(著作23条1項)、受信事実を規制していない。なお、外国法のなかには、伝達規制の権利(受信に至るまでを規制する権利)を定めるものもある(もっとも、後述の属地主義によるならば、日本国内での伝達は規制不可能)。

主な論点

A.属地主義(各国法上の権利の効力はその国の領域内に限定される)により、

 設例では、わが国における加害行為(送信)もその結果の発生(権利侵害)も認められず、ゆえに日本の裁判所は侵害訴訟の不法行為地管轄(民訴3条の3第8号)を有しないことになるのか(注1)。

 また設例では、日本法を準拠法とすることには意味がないのか(わが国の著作権法を伝達規制に変更してはじめて、日本法を準拠法とすることができる――あるいは日本法を準拠法とすることに意味が生まれる――のか) (注2)。

B.それとも、このような属地主義の概念から離れるべきか

● B-1.国際民事訴訟法上の概念である管轄原因は専ら同法において決定することとし――設例では、わが国は(「著作物に対する公衆の需要が当該送信によって直接影響を受ける地」であることから(注3) )少なくとも結果発生地であるといえないか。
(1) しかし、公衆が受信可能な国 (注4)をすべて結果発生地といってよいか。それとも何らかの絞り込みをすべきか。
(2) 設例とは異なり、仮にジオ・ブロッキングが実施されている場合には、ブロック対象国を結果発生地から除外してよいか。
(3) 複数の結果発生地の一つであることのみを理由に、わが国の裁判所に訴が提起された場合に、他国の権利侵害を理由とする請求についても併せて同裁判所に管轄を認めてよいか(民訴3条の6参照)。それとも、わが国の権利侵害を理由とする請求のみに限定すべきか。
(4) 加害行為地はどこになるのか。

● B-2.抵触法上の概念である連結点は専ら抵触法において決定することとし――たとえば「著作物に対する公衆の需要が当該送信によって直接影響を受ける地」を連結点として、日本法を準拠法とすることは可能か(その結果、送信事実が物理的に外国で生じているか否かにかかわらず、日本法上の公衆送信権の侵害と評価する)。
(1) 設例とは異なり、仮にジオ・ブロッキングが実施されている場合には、ブロック対象国を「著作物に対する公衆の需要が当該送信によって影響を受ける地」から除外してよいか(また、実質法上も、ジオ・ブロッキングの実施をもって、特定地域における送信差止命令の実行と解してよいか)。
(2) 連結点を「著作物に対する公衆の需要が当該送信によって影響を受ける地」とすると、多くの場合に準拠法のインフレを招来しないか。特定国にのみ連結するsingle law approachを採用すべきか。


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(1) 道垣内正人=山本隆司「インターネットを通じた著作権侵害についての国際裁判管轄及び準拠法」著作権研究37号99頁(135、139頁)参照(山本意見「著作権法の視点から―著作権の属地性と国際裁判管轄および準拠法の決定―」。なお、道垣内意見は異なる)。
(2) 前掲山本意見。
(3) 「市場地」といってもいいかもしれないが、著作権法の性格を考慮して、より正確を期した。なお、準拠法の連結点に関してであるが、小島立は、知的財産利用の結果発生地とは一般に各国の「市場地」を念頭に置く点で両者の基本的考え方は共通していると説く(河野俊行編『知的財産権と渉外民事訴訟』[弘文堂、2010]287頁)。
(4) 民訴法3条の3第8号は、結果発生について通常予見可能性を求めている。設例のケースでは、わが国の公衆が受信可能であることについて客観的な通常予見可能性は十分あると考えられ、絞り込みの条件としては機能しないとも考えられるが、別様の解釈もありうるかもしれない。




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