西谷先生関連レポートです。 





かおるさんが、SF大会に参加された西谷先生のお話などを レポートしてくださいました。 




     かおるさんのSF大会レポート [010819]

     西谷祥子先生に聞く    






2001年8月19日(日)


幕張メッセにて第40回SF大会が開かれました。
その中の企画の一つとして
「ひかわ玲子・ファンタジー私説」というのがありまして、
ゲストに西谷祥子先生が招かれました。


ひかわ玲子さんと言う方は ご存知ない方のため
一応紹介しますが、ファンタジ―作家さんです。
本格ファンタジーの作家さんですが、創作の原点は
SFと少女漫画とおっしゃっています。
個人的に知っている限りでは、アマチュア時代からエルリック等のファンタジーに
傾倒なさり、なおかつ漫画もお書きになっていました。


原体験は水野英子さんの「銀のはなびら」だそうですが、
西谷先生の「王女セピア」にかなり思い入れがあるようです。
今回もおっしゃっていましたが、水野先生は後少女漫画を離れますが、
西谷先生は少女漫画の王道を進んでいたのでかなり読まれていたようです。
個人的に「心の師」だそうです。


ただ私個人としては「西谷漫画」と
「ファンタジー」「ひかわ玲子」がどう繋がるかが良く解らなかったのです。
西谷漫画にはあまりお城だのお姫様のイメージが私にはなかったもので。
ですが、どうやらキーポイントは
「外見と内面のギャップを持つ少女像を描いた西谷漫画」
のように思えました。


先生は、「自分の前の作品は主人公が虐げられる作品が多かった、
自分が描いたのは虐げられない主人公」 と言っていらっしゃいました。
西谷漫画は少女漫画の王道と思われ、外から見ると少女そのものでありながら
その少女像は確かにそれ以前の少女像とは違っていたのかも知れません。


実際ひかわさんの作品には数多くの少女が主人公として出て来ます。
それは、彼女以前のヒロイックファンタジーの女性とはかなり違うと
デビュー当時評されていたと思います。
男の書き手がほとんどだったヒロイックファンタジーの女性像の中に、
女性が書いた普通の女の子を出した、そこらあたりが
西谷漫画の影響と私には思えました。



それから、あらかじめ御断りしておきますが、
これは「少女漫画ファン」の私が先生やゲストの方のお話を
たぶん自分にかなり都合良く解釈した物となっています。
ひかわさんのファンや普通のSFファンの方とは読み解き方が違うと思いますので
そこらへん了承してください。


もう一つ、実は当日先生は止むを得ない事情で欠席なさる予定でした。
そのため急遽他のゲストを招いて、お話が始まって10分ほどたったとき
先生がかけつけて下さったため、うち合わせ等が成されなかったせいか、
かなり話がばらついていました。


なるべく解りやすいようにまとめて見ましたが、
この形で質問されたわけでは有りません。
あらかじめお断りしておきます。

                               かおる
      
     
 「ひかわ玲子 ファンタジ―私説2」
テーマ「少女漫画、少女文化とファンタジー」   
ゲスト  西谷祥子
               立原透耶(コバルト作家)
            東城和美(漫画家)
                 めるへんめーかー(漫画家)
       司会   半澤三智丸(編集者)





 1. 西谷先生にとってファンタジーとは?

   ファンタジーを描いているという意識は持った事がない。
   自分にとってファンタジーとは少女期に読んだ「クォバディス」や「童話」の世界。
   そこでなれていたものを「絵で見せるファンタジー」として描いていたように思います。
   作家になって途中から小説を書く人から色々な会合などの御誘いが有ったが、
   自分の物がファンタジーとは意識していなかった。

 2. 創作はいつ頃から?

   小学校4,5年生の時、漫才の本を書いて友人に受けて物語を作るのが好きになった。
   ヘタをすると漫才の方に行っていたかも。
   学生時代演劇部のキャプテン(部長?)をやっていた。

 3. 家族、性格について

   3人兄弟の末っ子。上2人は兄。
   子供の頃はゼンソクぎみで体力がなかった。
   父と兄はいいなりになるほど可愛がってもらった。
   そのためか男社会(父、兄との関係)が心地良かった。
   でも社会に出て必要な事が女の子には教えられていないと後に解る。
   女の子のべたべたした関係が苦手。

 4. ご自分の漫画について

   主人公は狂言回し。その他大勢が書きたかった。
   そのため主人公には反感を持たれない子を持ってきていたと後で思う。
   ただまずかったなと思うのが「結婚=ハッピーエンド」の作品を出してしまった事。
   当時は正しいと思っていたが、影響を与えたかも知れない。
   良かったと思えるのは「学園漫画」を作った事。
   ロマコメではなく少年と少女が同じ位置にたてる漫画を作れて、
後に少年漫画にも普及した事。

 5. 当時、男の主人公(ジェシカの世界、学生たちの道など)で
平気だったのか?


   実は「これをやってはいけない」と言われたことは1度もない。
   「これを描きたい」と出すとOKがもらえた。
   ただし、少女漫画にもアンケートはあり「一定の人気を保ってトップを取らなくてはダメ」
   「トップを取ればセブンティーンや読みきりで好きにさせてあげる」と言われていた。
   そこで週刊誌は学園物、ロマコメに当てた。
   自分の中では女の子の視野の狭さが嫌でもっと違うジャンルを、と読みきりや
   セブンティーンで実験していた。

 6. 個々の作品について

   「飛んでいく雲」
     自分の先祖(頼朝の家来の和田氏)の話を描いたもの

   「王女セピア」
     水野英子先生の影響で描いたもの

   「ジェシカの世界」
     実は自分を描いている。
     田舎から出てきてコンプレックスをもっていた頃、自分を癒すタメに描いていた。
     それがOKになった幸運な人間。
     ただラストは逃避。今なら発狂(多重人格)のまま
生きていくように描いた。

 7. 高橋留美子の出現
  
 彼女の出現はショックだった。
   少年、少女の区別(差別化)のない世界が描ける。
   手塚漫画に先祖帰りができている。
   自分にその力がなかった、こう描きたかったと
思いつつ結婚、主婦となる。

 8. 少女漫画の西谷祥子

  あまりにも「少女漫画の西谷」の
イメージが強く他の話がなかった。
  青年、SF色々描きたかったが注文は「少女」「女性」のみ。
  社会的壁、少女漫画の許容範囲、女性で有る事についての考え方、
セクハラ等にぶつかり 父の意見もあり結婚する。
  でも考える事はますます多い。

 9. 文庫化、再版化について

  今のところ自分の所には話が来ていない。
  出してくださる所があれば…
  ただ昔の絵は体力がなくかったるい。
ページも思うようにもらえず飛ばした所が多いので描き直しをしたい。

 10. 今後の活動について

  HPを作るつもりでしたが次々と失敗している。
  新作はHPで出したかった、綺麗にはなかなか描けないが。
  どなたか手伝ってください。
  今度、3度目の日本画の個展を開きます。




以上のようなお話がありました。
SF大会という場所柄男女半々で30人くらいの人が集まっていました。
少女漫画ファンの方もちらほらいらっしゃいましたが、総じてSFファン
ファンタジーファンの方が多かったと思います。
また出版関係の方も見えていた様です。


個人的に、西谷先生はかなり真面目な考え方をなさる方だと思いました。
少女漫画の発生から女の子の教育が「女の子は女らしく」と刷りこまれて来た事に
かなりご意見を持たれているように思えました。
世代差も有ると思いますが、なかなか思うように描く事ができない時代に、
王道を描きながらチャレンジを繰り返していた西谷作品の素晴らしさを
もっと多くの人が再認識できると良いと本当に思いました。

一時間半がアッという間でした。
またこのような機会を先生が持ってくださる事を切に希望します。




「少女文化とファンタジー〜ひかわ玲子のファンタジー私説2」
8月19日 12:30〜14:00  
幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2ー1)
国際会議場 201A号室

かおるさん、入魂のレポートありがとうございました。(斎藤)