民事訴訟の法廷の場での真相究明の途を閉ざした

    吉井正明弁護士らによる和解の要請を弾劾する!

神戸事件の真相を究明する会    

すべての労働者・学生・市民・知識人の皆さん

 神戸事件の被害者である淳君の両親が、A少年とA少年の両親を相手どっておこした損害賠償の民事訴訟にたいして、A少年とA少年の両親の代理人である吉井正明弁護士らは、昨日、原告側にたいして全面的な和解を申し入れる答弁書を明らかにしました。
 驚くべきことに吉井弁護士は、 損害賠償の「請求の原因」をすべて認めて、神戸事件の事実認定をめぐっては一切争おうとはしませんでした。しかも吉井弁護士らは、訴えられた「責任原因」 についても無条件で承認し、A少年を神戸事件の犯人と決めつけたうえで、A少年が事件当時に、責任を弁織する能力を有していたこと、およびA少年の両親が、A少年にたいする注意義務を怠ったことをも全面的に認めました。 あまつさえ彼は一億余円の賠償金額をも相当のものであると認めたのです!
 私たちは、吉井正明弁護士によるこのような内容の答弁書を、こみあげる激しい憤りをこめて弾劾しないわけにはいきません このような和解の要請は、第一に、 疑惑に包まれた神戸事件の真相を法廷の場で究明する途を閉ざし、真実を闇の中に葬りさるものでしかありません。
 しかもそれは第二に、訴訟に訴えれば具体的な資料をとおして、少しでも事件の真相を知ることができるかもしれないという淳君の両親の願いをも踏みにじるものでしかありません。
 さらに第三には、A少年の両親に 一生涯かけても支払えないほどの賠償金を強制するという意味において、それはまことに最悪の選択というほかはないのです。このような選択になったことについて、A少年の御両親の胸中はいかばかりでありましょうか。それは察するにあまりあるものがあります。

 いうまでをなく私たちは、今回の民事訴訟に際して真実を知りたいという淳君の両親の訴えを受けとめつつ、A少年の両親と代理人が勇気を持って真実を明かにし、またそのためにも是非とも法廷の場で事実認定を争ってほしいと、くりかえし要望してきました。 なぜならば、昨年十月十七日にA少年の医療少年院送りを決めた神戸家裁決定は、警察調書は証拠排除しながら検事調書は採用するという矛唐に満ちたものであり、淳君の頭部の切断・遺棄についても、犯行声明の筆跡についても、およそ何ひとつとしてまともな証拠調べをおこなうことなく下された、理不尽きわまりないものでした。したがって今回の民事訴訟の場においてあらためて事実認定が争われるならば、それは昨年の家裁決定にたいする事実上の「再審」の場となるのだからです。そしてそれこそが、神戸事件の真実を明らかにし、A少年の無実の罪を晴らすと同時に、淳君の両親の願いに応える唯一の途であるからなのです。
 そしてこのような私たちの主張は、神戸市の御影公会堂に六二〇名の市民が結集した「神戸事件の真相に迫る一〇・一一集会」の成功として結実しました。けれども、吉井正明弁護士は、このような国民的良心の声を踏みにじり、真実に背を向ける態度を明らかにしたのです。
 このような吉井弁護士の態度は 一〇・一七家裁決定に満足を表明して自らA少年の医療少年院送りを要求した昨年の日本共産党系弁護団の弁護活動を、あくまでも正当なものであったと言いはろうとする自己保身にもとづくものなのです。「大人ならば無罪である」(野ロ善國氏)と称しながらも、「警察にだまされたのがつらかった」というA少年の訴えを押しつぶした旧弁護団の弁護活動の裏切りが明るみに出ることを恐れているからなのです。けれどもこのような自己保身にもとづいて弁護士としてなすべき弁護活動を放棄するのは、まさに犯罪的ではありませんか。このような弁護士にあるまじき背信行為を、私たちは怒りをこめて糾弾しないわけにはいかないのです。

 すべての皆さん。
 私たちは、このような吉井弁護士の背信行為を厳しく糾弾するものです。それは咋年十月十七日の神戸家裁決定にすすんで加担した犯罪行為に匹敵する、いや、それをも上まわる、 新たな裏切りにほかなりません。私たちは、 吉井弁護士が直ちにこのような態度を攻めることを求めるものです。そして、私たちは安倍治夫弁護士らによる第二次のA少年の人身保護請求の訴えや、後藤昌次郎弁護士らによるA少年を不法に逮捕・勾留した警察官や検察官にたいする刑事告発の運動に相呼応し、あくまでも、神戸事伴の真相を究明するために奮闘するものです。

     一九九八年十月十六日


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