テーマ音楽

TVやラジオに使われているテーマ音楽はあまり知られていないが、どこかに魅力を秘めた小粋な曲が多いようです。 隠れた名曲の宝庫だと思っています。どのような人達がどのようなプロセスでテーマ音楽を決めるのか興味のあるところです。 ここでは、今までに私が知り得たこのテーマ曲を紹介いたします。

<私の心はヴァイオリン>(Miarka Laparcerie) (2001/7/16)

 まだ、私が若い頃のことですが、眠りにつけず深夜遅くまで起きていて、ラジオのスイッチをひねると、 夜のしじまに溶け入るように流れていた曲がこの「私の心はヴァイオリン」でした。 地元のローカルな番組で、どのような内容の番組であったのかは覚えていませんが、 ある番組のテーマ音楽としていつも流れていました。いかにも甘い情感をたたえたゆったりとした曲で、 今のはやりの言葉で言えば、癒し系の音楽でしょうか。 誰もいない深夜に一人でラジオから流れるこの曲を聞いていると思わずこの曲のもつ魔力のとりこになってしまいそうでした。 疲れた心身を癒す音楽として、もっと聞かれてもよいと思いますが、最近この音楽を耳にしたことはありません。 既に忘れ去られた曲でしょうか。
 この曲がシャンソンであると知ったのはずっと後からです。 作曲はMiarka Laparcerie(1947)です。また、映画「失われた少年」のテーマ曲としても使われています。

<ヨーロッパ万歳(Heil Europe)(ブロン Blon)> (2001/1/16)

 先日、図書館でドイツの行進曲を集めたCDアルバム(黄金時代の行進曲集 POCG-3952)を借りて聞いているときに、アッと思わず叫んでしまいました。 昔よく耳にした曲を見つけたからです。 これが行進曲「ヨーロッパ万歳(Heil Europe)(ブロンBlon)」でした。最近はあまり聞くことがなくなりましたが、 一頃、11時頃のTVのスポーツニュース番組のテーマ音楽として流れていました。NHKではなく民放のスポーツ番組であったと 記憶しています。音を出すことができないので、ピンと来ないかも知れませんが、誰でもこの曲を知らない間に聞いている筈です。 このCDアルバムの中ではなじみがあるせいか、この曲がもっとも印象的でした。

 作曲者ブロンの正確な名前はライナーノートによるとフランツ・フォン・ブロン(1861〜1945)です。恐らく、ブラスバンドの楽団に関係したドイツ系の人 だろうと思います。それ以上のことは不明です。

<日本の素顔、新日本紀行のテーマ音楽(富田 勲)> (2000/8/13)

 このテーマ曲は元々、NHKが「日本の素顔」のために富田勲氏に依嘱した作品です。日本がかって大きく 成長していた時期に、一方では様々な社会的な歪みを生み出していました。「日本の素顔」はこれらの社会的な様相を ドキュメンタリー風にえぐり出した番組でした。当時、社会的に大きな問題となりつつあった公害、例えば 水俣病などを取り上げていたことを記憶しています。このテーマ曲はこの番組全体に重くのしかかっていた日本の雰囲気を よく伝えています。「日本の素顔」と聞くと、真っ先にこのテーマ曲のメロディが頭に浮かびます。そして胸が締め付けられるような 気分になりそうです。それほど私の耳に深く印象付けられた曲の一つです。
 「日本の素顔」が終わったあとは、「新日本紀行」にこのテーマ曲は引き継がれました。番組の内容は変わりましたが、 各地方の歳時記をドキュメンタリー風に綴った番組で、このテーマ曲はこの番組にも良く似合っています。何の違和感もありません。 現在ではこれらの番組は終了して放映されていませんが、幸いなことに深夜に時々再放送されています。 また、CDもリリースされています。

 作曲者の富田勲氏は近年はシンセサイザーに凝っていて、過去の大作曲家の作品からシンセサイザーにより新しい可能性を探る ことに興味があるようです。また海外でパフォーマンスを繰り広げています。でも私は彼の代表作はこのテーマ音楽ではないかと さえ思ってしまいます。(他に料理番組の有名なテーマ音楽も確か富田氏の手になったと記憶しています)NHKが時々テーマ曲を集めた 番組を特集することがあります。その時に必ずこの曲は取り上げられることからも、多くの人に深い感動を与えているテーマ曲でしょう。 NHKはこの曲に限らずに幾多の優れたテーマ曲を生み出してきました。感謝しています。

<タイガーラグ> (2000/4/10)

 NHK衛星放送の番組で「こだわりインテリア」という小さな番組がありました。番組の隙間に放送されるミニ番組で 不定期に放送されていました。1〜2年前に放映されていたと記憶しています。現在は見かけなくなりました。 この番組のテーマ音楽が日差しのよい縁側の日だまりの中で、まどろむような暖かいピアノ音楽でした。 しかもラグタイムを思わせるようなリズムでした。
 この曲がタイガーラグでした。最近他界したジャズバイオリンで有名なステファン・グラッペリの音楽による 映画「5月のミル」のサウンドトラックから、タイガーラグの冒頭のピアノによる前奏の部分がテーマ音楽として使われていました。 タイガーラグのメイン部分の前の前奏ですから、タイガーラグと言うよりこのテーマの部分はステファン・グラッペリの創作部分 かもしれません。
 タイガーラグは20世紀の初頭にアメリカでジョプリン等の特定の作曲者により作曲されたラグタイムとは異なり、 古いジャズ曲としてに伝承されてバンドにより演奏されて広まったラグタイムのようです。原曲はニューオーリンズがフランスの 植民地だった19世紀のはじめにフランス人の間で舞踏曲として好まれていたカドリールだそうです。(ライナーノートより)
 私はまだ、そのメロディラインがつかめていません。バンドによるタイガーラグはあまり好きになれないのですが、この ステファン・グラッペリの編曲による演奏には引かれるものがありました。

<エチュード 作品2−1(スクリャービン)> (2000/4/6)

 昔、中村紘子氏によるピアノのレッスン番組がありました。音大生や、ピアノのプロを目指した人を対象にした本格的なもので、 かなりレベルの高い番組でした。選曲はショパンを中心にしたロマン派の作品を教材としていて、例えばバラードの第1番は この番組で知りました。
 30分のレッスンが終わる頃に中村紘子氏による模範演奏でこのスクリャービンのエチュードが毎回演奏 されていました。スクリャービンのエチュードを聞いたのはこれがはじめてでしたが、毎回聞いている内になかなか魅力的な曲だと 思いはじめました。憂いを秘めたあるいは悩みを秘めたと思わせるこのメロディーはロシアの憂鬱をあらわしているのではと思ったり しました。しかし、驚くべきことにスクリャービンがこの曲を作曲したのはわずか14才のときです。まだ、子供です。若くして、 こんなに大人びた曲が書けるのか不思議です。やはり天才だったのでしょう。ホロビッツもこのエチュードを好んでよく弾いていました。

<ドンパスクワーレ序曲(ドニゼッティ)> (2000/4/3)

 この曲も昔、NHKラジオのクラシック音楽番組のテーマ曲として使われていました。軽快でリズミカルな曲です。 ドニゼッティはイタリアのオペラ作曲家として知られています。他に「ルチア」などがあり、狂乱の場は有名です。 NHKラジオのクラシック音楽番組のテーマ曲としては、他に「ザンパ序曲」(エロール)などもありました。

< スケーターズ(マイヤベーヤ)> (2000/4/3)

 これはかって民放TVのニュース番組のテーマに使用されていました。もとはバレエ音楽です。勇壮な感じの曲です。 ニュース番組のテーマ曲にはバレエ音楽がよく使われるようです。例えば、コッペリア(ドリーブ)などです。

< 交響曲第4番イタリヤ第2楽章(メンデルスゾーン)> (2000/4/3)

 テレビ放送が開始されて、各家庭に普及し始めた頃です。今から数十年前でしょうか。また、古い話ですが、NHKテレビで医療番組と いうものがありました。テレビドクターと称する人が毎回出演して、例えば、小児麻痺についての解説などがあったように記憶しています。 この番組のテーマ音楽がメンデルスゾーンのこの交響曲でした。以来、この曲の第2楽章を聞くと、昔のこの番組のことが頭をよぎり、 病的な物憂い雰囲気になってしまいます。でもこのメロディーは悪くはありません。全体の楽章を通して聞いてみると 明るい曲だと思います。特に第1楽章は明るい快活な曲です。名曲ではあると思います。

<昼のいこい(古関裕而)> (2000/3/29)

 この曲は恐らく何十年も前から現在に到るまで、NHK第1放送でお昼のニュースの後の「昼の贈り物」という番組の中で 使われています。各地の農事放送を話題にした番組で、いかにも田舎の畑の傍のあぜ道で暖かい太陽の日を浴び、手弁当を 食べながらラジオから流れるこの曲を聞くと幸せ一杯になります。名曲だと思います。このテーマ音楽に代わるものは今後も現れないでしょう。 恐らくこれからも昼休みにはこの曲を聞くことができるでしょう。戦中から戦後にかけて幾多の名曲を手がけた古関裕而氏の作曲です。

<パガニーニの主題による狂詩曲(ラフマニノフ)> (2000/3/29)

 これはかってNHKのクラシック番組「希望音楽会」のテーマ音楽に使われていました。パガニーニが提示したテーマを基にした ピアノとオーケストラのための変奏曲です。この第18番目の変奏曲が最も有名なものであり、テーマ音楽でもこの部分が使われていました。 ロマンチックな曲です。パガニーニが示したこの主題はなぜか後世の作曲者の心を捉えて、何人かの人が変奏曲を書いています。

<オリジナル曲> (2000/3/29、2001/5/22一部訂正)

 現在、日曜日の昼下がりのFM放送の音楽番組「FMシンフォニーコンサート」のテーマ曲に使われています。 この曲はNHKで昔、放送されていたクラシック番組で使われていて、いくつかの変遷を経て、現在に到っているようです。 軽快な楽しい雰囲気の曲です。いかにも昼下がりにぴったり良く似合う曲です。一度聞いたら、思わず、口ずさんでみたくなる メロディです。きっと、ロマン派の作曲者による曲だと思っていたのですが、NHKがクラシック番組のテーマ曲として 依嘱した曲のようです。テーマ音楽だけに使うのはもったいない気がします。このテーマを基にまとまった作品として仕上げるべきでは ないかとさえ思ってしまいます。
 作曲者は最近になって、高田信一氏によるオリジナル曲と判明しました。以前、「高田三郎氏(?)の作曲によるオリジナル曲」とお知らせしていましたが 間違いでした。お詫びして訂正いたします。高田信一氏はかってNHK交響楽団の指揮者として活躍され、 他にもいくつかの作曲をされているようです。
 この曲は現在も放送されていますから一度お聞きになってください。

<上機嫌ポルカ(ユーゼフ・シュトラウス)> (2000/3/29)

 古くて恐縮ですが、今から20年から30年前でしょうか、NHKの7時代のラジオのニュース番組の テーマ音楽に使われていました。毎日ラジオから流れてくるこの曲を聞いている内にいつの間にかお気に入りの曲になりました。 そしてこの曲がポルカだと知って少なからず驚きました。ニュース音楽がポルカだというのが何とも似つかわしくないと思ったからです。 ところが、これが紛れもなくこポルカでありながら、ニュースのテーマ音楽として違和感もなくもぴったりでした。
 この曲は滅多に演奏されることはないようです。毎年開かれる。ニューイヤーコンサートでも演奏されたことはありません。作曲者のヨーゼフ・シュトラウスは有名な ヨハン・シュトラウスの弟です。舞踏会で華々しく活躍した兄に比べて、ヨーゼフ・フシュトラウスのは憂いのある、 しっとりとした曲想の曲を得意としていました。私にはこの弟のヨーゼフ・フシュトラウスの曲の方が、感じるものが多いです。