交通事故と健康保険の関係

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交通事故と健康保険の関係

交通事故でも健康保険は使える

多くの交通事故被害者の方は、「何で加害者が悪いのに自分の健康保険を使わないといけないの?」と思われるようですが、健康保険を使ってもその方が得だと覚えてください。被害者が安心して治療に専念するためには、治療費負担の問題が解決されなければなりません。治療費負担は、健康保険を使用するかどうかによって大きな違いがあります。

病気や怪我の治療には、当然に健康保険を使用しています。この場合の治療費は、窓口の自己負担分と、国民健康保険や勤務先の組合健保など(保険者)が、診療報酬の点数に応じて医療機関に支払います。(社会保険、国民健康保険=一点につき10円)

日本医師会は、交通事故の治療費は、被害者の補償制度である自賠責保険制度を優先させるべきという考え方をとっており、自賠責保険での診療費を労災保険に準じて一点につき12円とする基準をつくりましたが、強制力はありませんので、12円以上で請求している医療機関もあります。(労災保険=一点につき12円)

交通事故による怪我の治療には、通勤や勤務中の事故は労災保険、自損事故は健康保険とされますが、これ以外の交通事故(通勤や勤務外で相手のあるもの)は自由診療とされることがあります。(自由診療=一点につき20円)これは、医療機関が緊急治療のため、医師とベットを常に確保する費用負担が大きいとの理由で、独自に報酬を設定することにより、社会保険、国民健康保険を使用した場合より2倍の請求ができるからです。

交通事故(通勤や勤務外で相手のあるもの)であっても健康保険の適用はあり、被害者が要求すれば、医療機関は拒否できません。決定権はあくまでも健康保険の被保険者である被害者にあります(国民健康保険の場合も同様)。交通事故である旨の届出(第三者行為による傷病届)を市役所、社会保険事務所等の指定用紙で申請することで多くの被害者の方が現実に健康保険を使用されています。

健康保険法第1条

「健康保険ニオイテハ被保険者ノ業務外ノ事由ニ因ル疾病(負傷・死亡・分娩)ニ関シ保険給付ヲ為スモノトス」と規定しています。したがって、業務外による怪我や傷病であればそれがたとえ交通事故によるものであっても、健康保険は使用できることになります。

健康保険の保険給付には、次の要件が必要になります。

業務外の原因によるものであること

健康保険では、業務外の原因に基づくものに限ります。業務上の疾病・負傷・死亡等については、労働者災害補償保険法や労働基準法に基づく労災補償が行われます。

仕事や日常生活に支障のある疾病・負傷等であること

業務外の疾病や負傷等であっても、単なる疲労や倦怠(けんたい)、健康診断・予防接種等、仕事や日常生活に支障を与えないものについては、原則として健康保険の保険給付は対象外となります。

現在も、医療機関によっては「交通事故に健康保険は使用できません」と対応しているところもあります。医療機関と健康保険の使用をめぐってトラブルになった場合は、医療機関を監督する立場にある行政機関に相談してください。使用している健康保険によって窓口が変わります。

旧厚生省からは「交通事故でも健康保険は使えます」という内容の通達が出されています。(昭和43年10月12日付、通達106号)

一部の医療機関では、「健康保険を使用します」と申出ると、「健康保険組合の了解は得てますか?」と返答するところがあります。そんなときは、「被保険者が第三者行為届を出せば、健康保険組合は拒むことはできないと厚生労働省は公表しています」と告げてください。

被害者が健康保険証を医療機関の窓口に提示するまでは、自由診療で精算されますので、健康保険の使用は早いほどよいのです(良心的な病院は初診日に遡って健康保険で精算してくれます)。

医師法第19条は、「診療に従事する医師は診療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定めています。つまり、医師は健康保険を使用するからといって診療を拒否することはできないということです。

医療機関が健康保険での治療を拒否する理由

要するに、自由診療のほうが医療機関は儲かるということです。医師によっては、「交通事故の治療は人手や医療機器などのコストが2倍ほどかかるから、一点10円でやっていては、病院は赤字になる」と主張される方もいるようです。

健康保険を特に使用した方がよい場合

加害者が自賠責保険しか加入していない場合

初めから健康保険、または労災保険を使用することが大切です。健康保険を使用せず自賠責保険で診療を受けると、自賠責保険での診療は健康保険による診療のおよそ2倍であるため、自賠責保険の支払限度額120万円はすぐに無くなってしまいます。

過失相殺が適用される場合

過失が大きい被害者ほど過失割合及び過失相殺の問題が後々になってから大きく影響しますので、健康保険を使用しないと損をします。なぜなら、治療費についても当然に過失相殺があり、加害者の負担すべき治療費も相当程度に減額されてしまうということになり、加害者の契約している損害保険会社では、その負担すべき治療費しか出さなくてもよいということになるからです。

健康保険を使用した場合と使用しない場合の具体例

仮に被害者Aさんの過失割合が40%あり、その40%がそのまま過失相殺で適用されたとしますと、健康保険を使用した場合とそうでない場合とでは受け取る金額が以下のように違ってきます。

健康保険を使用した場合 健康保険を使用しない場合
治療費 100万円(健康保険) 200万円(自由診療)
※被害者の窓口負担(3割) 30万円
入通院慰謝料 100万円 100万円
休業損害 100万円 100万円
合計金額 230万円 400万円
損害賠償額 230万円×(1-0.4)=138万円 400万円×(1-0.4)=240万円
病院に支払う金額 30万円 200万円
受け取る金額 108万円 40万円

健康保険を使用すると、治療費は100万円(自由診療の半額)になります。この場合、損害額の合計は230万円と計算します。

被害者は、医療機関の窓口で3割の自己負担分を支払いますが、残りの7割は、医療機関から被害者が加入している保険者に請求されます。(※医療機関は、治療費のうち、健康保険に請求するものと、窓口にて直接被害者の方に請求するものとを分けます。医療機関によっては、被害者の方に請求する3割負担を直接保険会社に請求します。この場合は、被害者の方が医療機関の窓口で治療費を支払う必要はありません。)

保険者とは

  • 会社員の場合 ≫ 健康保険組合
  • 自営業者の場合 ≫ 地元自治体
  • 公務員の場合 ≫ 共済組合

保険者の負担分は、返還請求がなされたときに損害保険会社が過失相殺して支払います。

第三者行為による傷病届

被害者(被保険者)は第三者の行為による交通事故のため、健康保険の保険給付を受けるときには、第三者行為による傷病届を所轄の保険者(社会保険事務所または健康保険組合)に提出しなければなりません。通常、この手続きは保険会社が代行してくれますので、被害者は署名・捺印するだけでOKです。ただし、既に第三者から損害賠償を受けている場合や第三者と示談を行っている場合は、保険給付額に直接影響しますので、その内容等を詳細に記入しなければなりません。

なお、届出後に第三者と示談を行う場合は注意を要します。示談内容によっては、保険給付額に重大な影響を及ぼす恐れがありますので、内容等については予め社会保険事務所に相談することが必要です。

念書

被害者が第三者の行為による交通事故のため、自賠責保険より先に健康保険の保険給付を受けた場合、念書を所轄の社会保険事務所(健康保険組合)に提出しなければなりません。この手続きは被害者、加害者がそれぞれの用紙に署名・捺印します。これは、保険者が健康保険で支払った給付金を取り戻すために、被害者に代わって、損害賠償請求権を取得することを確認するものです。

なお、あわせて次の事項を遵守(じゅんしゅ)することを誓約します。

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