高次脳機能障害のびまん性軸索損傷

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高次脳機能障害のびまん性軸索損傷

外傷による高次脳機能障害

交通事故により、脳に損傷を受けたが、奇跡的な回復を見せて社会復帰する被害者の方もいます。しかし、被害者の方の中には、社会復帰したにもかかわらず、交通事故前と比べると別人のように怒りっぽい、話がまわりくどいというような人格や性格に変化を来たし、記憶保持等にも異常があって周囲とのトラブルを繰り返し、就労できない状態が継続している深刻な被害例が実在します。

高次脳機能障害は、被害者の方の社会生活適応力を喪失させる重大なものであるにもかかわらず、画像上から大脳の形態的異常が確認できないもの(びまん性軸索損傷(びまんせいじくさくそんしょう)Diffuse Axonal Injury・DAI)については、交通事故による外傷との因果関係が明らかでないとして、器質性の精神・神経障害としては評価されない、あるいは現実に即した等級認定がされていない可能性があります。

高次脳機能障害の代表的な症状は、びまん性軸索損傷

びまん性軸索損傷(びまんせいじくさくそんしょう)Diffuse Axonal Injury・DAI)とは

頭部へ衝撃が加わると、脳の組織に急激な「ゆがみ」が生じます。この脳に発生した「ゆがみ」により、軸索((axon)は、神経細胞から伸びる1本の長い突起(神経線維)をいう)が広範囲にわたって切断される脳損傷をびまん性軸索損傷といいます。

知的障害(認知障害)
性格・人格変化(情動障害)

この他にも自発性・羞恥心が低下する、幼稚になる、異常に嫉妬をする、被害妄想が強くなる、人付き合いが悪くなる、自己中心的になる、反社会的な行動をする等、性格・人格変化のため、人間関係を維持したり、社会に参加することができず、他人とのコミュニケーションが困難となり、本人はもとよりその家族も深刻な問題を抱えることになります。

この障害の内容と程度を判定する重要な資料は、事故前後の被害者の方の生活状況をよく知る家族や付添人、職場の上司・同僚からの生活状況等の報告書です。

外傷による高次脳機能障害の目安

びまん性軸索損傷の症状経過

びまん性軸索損傷は、急性期(受傷直後)に意識障害が発生する特徴があり、急性期の意識障害の程度が重く、期間が長いほど、症状が固定した後に後遺障害が残存しやすく、その程度が重いといわれています。

意識の評価方法

一般的に用いられている意識の評価方法(スケール)は、「JCS(ジャパン・コーマ・スケール)」及び「GCS(グラスゴウ・コーマ・スケール)」です。

JCS(ジャパン・コーマ・スケール)

日本で最も広く普及している評価方法であり、3-3-9度方式とも呼ばれ、医師だけでなく、救急隊員もこのスケールにより意識レベルの評価を行っています。

簡単な質問
  1. 刺激しないでも覚醒している状態(1桁で表現)
  1. だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない
  2. 見当識障害がある
  3. 自分の名前、生年月日が言えない
覚醒に要する刺激の強さ
  1. 刺激すると覚醒する状態、刺激をやめると眠り込む(2桁で表現)
  1. 普通の呼びかけで容易に開眼する
  2. 大きな声または体を揺さぶることにより開眼する
  3. 痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する
痛み刺激に対する運動反応
  1. 刺激をしても覚醒しない状態(3桁で表現)
  1. 痛み刺激に対し、はらいのけるような動作をする
  2. 痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる
  3. 痛み刺激に反応しない

覚醒の段階を9段階で表現するスケールであり、数値が大きいほど意識障害は重い。なお、意識清明な場合は「0」で表現されますので、全部で10段階の評価になります。

GCS(グラスゴウ・コーマ・スケール)

国際的に使用されている評価方法です。

大分類 小分類 スコア
A. 開眼
  • 自発的に
  • 言葉により
  • 痛み刺激により
  • 開眼しない
  • E 4
  • 3
  • 2
  • 1
B. 言葉による応答
  • 見当識あり
  • 錯乱状態
  • 不適当な言葉
  • 理解できない声
  • 発声がみられない
  • V 5
  • 4
  • 3
  • 2
  • 1
C. 運動による最良の応答
  • 命令に従う
  • 痛み刺激部位に手足を持ってくる
  • 四肢を屈曲する
  • 逃避
  • 異常屈曲
  • 四肢伸展
  • 全く動かさない
  • M 6
  • 5
  • 4
  • 3
  • 2
  • 1

点数が低いほど意識障害は重い。3つの要素をそれぞれ独立に観察し、評価して合計点を出します。満点は15点(意識清明)であり、最低点は3点(深昏睡)です。問題点として、1つの要素が判定不能の場合、意識レベルの評価が正確にできない点、同じ合計点でも意識障害の内容がかなり違う場合がある点が挙げられています。

急性期(受傷直後)の画像所見

軸索の損傷自体は、CT・MRI等の画像に写りませんので、脳の形態的変化が発生する脳損傷のように画像診断から損傷そのものを直接確認することはできません。

びまん性軸索損傷の場合は、受傷直後の画像が一見すると正常であると思われる場合も少なくないといわれています。そのため、びまん性脳損傷の画像診断においては、点状の出血が確認されるかが非常に重要なポイントで、軸索が損傷されるのと同時に損傷した、その周辺の小血管からの出血を手かがりとします。

急性期後の画像所見

切断された軸索は再生されないため、脳は外傷後1〜3ヶ月後ころまでに脳室の拡大などを伴う脳の萎縮として画像上確認されます。事故直後から、脳室拡大の経過を画像所見で確認できるかが、外傷性の脳萎縮か否かの判断において重要なポイントとされています。

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