離婚の年金分割

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離婚の年金分割

離婚時の年金分割は2種類ある

原則、公的年金は男女平等の制度ですが、女性の場合、年金加入期間が短い、あるいは賃金が低いため、男性に比べ年金受給額は低くなるのが通例です。最近は、同居20年以上の熟年離婚が急増し、離婚した熟年女性は年金も少ないため、低所得になりがちですが、平成16年(2004年)の年金法改正で、一定の条件を満たせば離婚時に老齢厚生年金の分割ができるようになりました。これは、婚姻中の厚生年金保険料は夫婦共同で負担したという考え方からです。

離婚時の年金分割は、下記の2種類があります。

注意点
  • 分割対象は結婚していた期間分のみ
  • 基礎年金は分割されない
  • 合意分割の2分の1はあくまで上限
  • 受給は65歳から

離婚時の年金分割(合意分割)

合意分割は、夫の同意か裁判所の決定が必要ですが、過去に遡って分割されます。

夫(会社員)・妻(専業主婦)の場合

平成19年(2007年)4月1日以降に離婚した夫婦については、合意すれば夫の厚生年金の報酬比例部分の最大2分の1までを妻に分割でき、将来の妻の年金受給額に上乗せすることが可能となります。

結婚 離婚

(会社員)
報酬比例部分 A
基礎年金


(専業主婦)
Aの最大2分の1が分割される
3号被保険者

夫(会社員)・妻(会社員)の場合

妻が厚生年金に加入している場合は、夫の厚生年金の報酬比例部分に妻の報酬比例部分を足した分の最大2分の1に相当する分が分割されます(自分の厚生年金を100%手にして、夫の厚生年金の報酬比例部分の最大2分の1がもらえるわけではありません)。この分割は、配偶者が既に年金を受給していてもOKです。

結婚 離婚

(会社員)
報酬比例部分 A
基礎年金


(会社員)
A+Bの最大2分の1が分割される
報酬比例部分 B
基礎年金

この平成19年(2007年)から始まった離婚時の年金分割により、離婚を我慢していた妻が、別れても年金が受給できるということで、中高年の離婚に少しは(夫側としては、自分の老齢厚生年金が目減りするため、離婚したがらない)影響しそうです。

配偶者(夫)の同意か裁判所の決定が必要

年金分割は、夫と妻の合意があって公正証書にした場合、又は当事者の合意書に公証人の認証を受けた場合(平成20年4月1日からは、公証人の認証を受けないでも当事者双方がそろって(代理人でも可)合意書を年金事務所に直接提出する方法でもよいことになりました)、あるいは家庭裁判所の調停・審判に限ります。

家庭裁判所では、婚姻期間の保険料納付に対する配偶者の寄与の程度やその他一切の事情を考慮して分割の割合を決めますが、特別の事情がない限り、按分割合を0.5(50%)と決定することが多いようです。これらの書類を年金事務所に提出すれば、妻の年金記録に記載され、離婚後、夫が死亡しても妻は一生、年金を受給できます。

年金分割にかかる公正証書作成に必要な書類

年金分割のための情報通知書とは

最寄りの年金事務所で「年金分割のための情報提供請求書」と次の書類を用意し請求します。
「年金分割のための情報提供請求」は、夫婦からの請求、夫(妻)からの請求でも可能です。
  1. 夫婦が共同で請求した場合は、夫婦それぞれに対して「年金分割のための情報通知書」が交付されます。
  2. 夫婦のうち、1人が請求した場合は、
    • 離婚等をしているときは、請求者と元配偶者のそれぞれに対して交付されます。
    • 離婚等をしていないときは、請求者のみに交付されます。
50歳以上の方、または障害年金の受給権者の方は、分割後の年金見込額が分かります。

50歳以上の方、または障害年金の受給権者の方が情報提供の請求をする際に、分割後の年金見込額を希望する場合は、「年金分割のための情報提供請求書」の所定の欄にその旨を記入し、年金事務所に提出します。年金見込額は、次の按分割合により分割した場合の3パターンです。

  1. 按分割合の上限(50%)
  2. 按分割合の下限(分割を行わない場合)
  3. 本人の希望による按分割合
「年金分割のための情報通知書」には、請求可能な按分割合が記載されています。

「年金分割のための情報通知書」には、次の欄があります。按分する割合は、20%〜50%の間で可能という意味です。

按分割合の範囲 20.000%を超え、50%以下

夫が厚生年金に加入し、妻も厚生年金に加入していた期間がある場合は、妻の厚生年金分もあるため、按分割合の下限部分が0%にはなりません。

下限部分20%の場合、夫から妻に10%を年金分割するには、按分割合を30%にする必要があります。誤って、按分割合を10%にすると、本来20%を持っている妻の年金は減ってしまうことになり、年金分割の手続きはできないことになります。

<具体例>

分割前の元夫の対象期間標準報酬総額が「8,000万円」、分割前の元妻の対象期間標準報酬総額が「2,000万円」の場合

按分割合の範囲の下限は、2,000万円÷(8,000万円+2,000万円)=0.2 (20%)

この場合、「年金分割のための情報通知書」の「按分割合の範囲」欄には、「20.000%を超え、50%以下」と記載されます。

夫婦で話し合った結果、年金分割した後の元妻の対象期間標準報酬総額を「3,000万円」とする場合

按分割合は、3,000万円÷(8,000万円+2,000万円)=0.3(30%)

事例の場合、年金分割の請求を行うときは、標準報酬改定請求書に記載する按分割合は、「0.3」となります。

合意分割の手続き

年金分割の按分割合を決めたら、夫婦、または夫婦のうち1人が、離婚をした後、「標準報酬改定請求書」に次の書類を添付し、最寄りの年金事務所で手続きをします。

「年金分割のための情報通知書」を基に、夫婦の話し合いで按分割合を決めた場合で、公正証書(公証人の認証を受けた合意文書)等を作成しないときは、夫婦そろって(代理人でも可)年金事務所に行き、合意した按分割合を「標準報酬改定請求書」に記載し、署名押印して手続きをすることになります。

なお、夫婦の話し合いで、按分割合を上限の「0.5(50%)」とすれば、「年金分割のための情報提供請求」をする意味はありません。なぜなら、これ以上分割できない割合を設定することで、「按分割合の範囲」を確認する意味がなくなり、上限の「0.5(50%)」をあげるということから、もらう側(第2号改定者)も争う必要がなくなるからです。もっとも、按分割合を上限の「0.5(50%)」とすることにあげる側(第1号改定者)が納得することは稀だと思います。

離婚時の年金分割(3号分割)

3号分割は、夫の同意は不要ですが、分割対象が制度実施以降の分に限られ、過去に遡って分割はされません。

第3号被保険者(専業主婦)のみ。配偶者の同意は不要

平成20年(2008年)4月1日から、同年4月以降に婚姻関係があり、第3号被保険者だった期間分に限り、合意がなくても年金事務所に請求すれば配偶者の厚生年金の報酬比例部分の2分の1が、被扶養配偶者に分割されます。これ以前の分については、やはり夫の合意か家庭裁判所での決定が必要です。

結婚 08年4月 離婚

(会社員)
報酬比例部分 A
基礎年金


(専業主婦)
Aの2分の1が分割される
3号被保険者

注意すべきことは、分割対象が平成20年(2008年)度以降の支払い分に限られ、離婚時に第3号被保険者(夫が厚生年金加入者で、年収130万円未満の専業主婦)であることが条件です。

年金分割請求権の消滅時効

年金分割請求権は、離婚等をした日の翌日から起算して2年を経過すると時効になります。

年金分割されない場合

分割対象が厚生年金の報酬比例部分ですから、基礎年金部分や、夫が自営業などで厚生年金加入歴がない場合は分割されません。

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