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共産主義のもたらしたもの−ベトナム

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祖国から廃嫡されたベトナム人の人権宣言

1977年4月18日、サイゴン大寺院の前で朗読された宣言

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衰弱した肉体と打ちひしがれた精神に僅かに残された力をふりしぼって非暴力的に戦おうとする決意をここに表明する。

われわれの肉体は飢餓と窮乏で衰弱している。我々の精神は打ちひしがれている−われわれは、頭を下げ、背を曲げ、一つの党(=共産党)すなわち独裁政府の命令に盲目的に、無条件に、そして最終決定的に服従しなければならないのだから。

われわれは、過去何十年にわたって仮借なき迫害を受けてきた民族の流血と犠牲を避ける唯一の方法として、これまで終始、非暴力の道を選んできた。

世界の農民諸君!

ベトナムにいるあなたの兄弟たちのことを考えてほしい。

ベトナムの農民たちは、熱帯のうだるような炎熱の中で、しかも旱魃、洪水のないことを祈りつつ、営々として働いている−それなのに、その収穫のすべては、いわゆる「社会主義」建設の名のもとに没収されてしまうのである。

水牛さえ、終日鋤を引っぱったあとでは、休息を許される。それなのに、ベトナムの農民たちは、終日、水田で労働した後でも、休息は許されず、共産主義学習や無意味な討論会に耐えなければならないのである。

 

世界の労働者諸君!

ベトナムの労働者たちの労働条件に思いをいたしてほしい。

彼らは、何ら先行き良くなって行くという希望もなく、その時間、その日、その週、その月の間中、強制的に働かされ、結局、すずめの涙ほどの賃金を手にするに過ぎない。

しかも、その上彼らは、自分はみずからの自由意思で働いているのだ、と宣言しなければならないのである。

彼らは、自らの汗と血と涙を共産党の指導者たちに提供しなければならず、しかも宣伝のため、自分の行為は、政府の、全知にしてすべてを見とおす共産党の、摂理に導かれたものである、と公に宣言しなければならないのである。

労働者の最も神聖な権利はストライキ権であるが、ベトナムにおいては、この基本的権利すら否定されているのである。

 

世界の聖職者、科学者、芸術家、ならびに進歩的知識人の諸君!

教会で祈りをささげているものは祈りをやめよ。

研究に没頭しているすべての者は実験室から出て来てほしい。

創作活動を行っているすべての者は、ペンを折り絵筆を投げ捨てよ。

そして誰も彼も皆、ベトナムの悲劇を見据えよ。

教会や寺院が思想改造センターに変えられてしまっている国、すべての原則−自然法則でさえも−が政権の宣伝に都合のよいよう歪められてしまっている国、それがベトナムである。

すべてのベトナム人は、農民であれ、労働者であれ、はたまた知識人であれ

  • 不可抗力の運命だとあきらめて、惨めな僅かばかりの賃金、貧弱な少しばかりの食料をもらうために共産党幹部の命令に盲目的に服従し、絶望のうちに徐々に死んでいくか、
  • 国中に作られた数多くの強制収容所の一つに入れられて、餓死あるいは衰弱死していくか、それ以外に選択はないのである。農民の収穫のすべて、労働者の生産物のすべては、国家に取り上げられ、国家の勝手な基準にしたがって再配分されるのである。

われわれは、

  • 労働者および農民が、彼らの家族の米の割り当てがカットされ餓死するようなことがあってはという恐怖心から、無報酬で時間外まで働くのを、
  • また老人や夫人たちが、熱心さが足りないとその罰として家族全員に対する米の割り当てや生活必需品が拒否されかねないので、集会や寄り合いにはとりわけ熱心さを示し微小を浮かべて出席するのを、
  • 投獄された人々は、たとえ釈放後でも沈黙を守り、決して彼らが獄中で見た恐ろしいことどもを敢えて語ろうとしない−もしそれを語れば、妻や子供が米の割り当てを拒否され飢え死にしてしまう、という絶えざる恐怖につきまとわれているからである−のを、目撃してきた。

人は自分自身の生命を犠牲にする勇気を持つことはできよう。しかし一体誰が、自らの行為によって愛する者が犠牲になるのに耐えうるであろうか。

それなるがゆえに、息子に米の正規の割り当てを受けさせたいために、息子に親を告発するよう主張して譲らなかった父親のケースなど、哀れな信じられないような出来事が数多く起こったのである。そうしなければ、父親も息子も双方とも死んでしまうだろう。

この事例は、ベトナムに住んでいない人々には想像できない数多くの出来事のほんの一例であるに過ぎない。(妻が夫を告発し、兄が弟を告発した例もある)。

現政権は、人民に服従を強い、人民のあらゆる抵抗を押し付け、人民を収めるために、その武器として、食糧を使っているのである。

また、独自の思想は、それがいかに建設的なものであろうとも、即座に反動的というレッテルを貼られ、敢えてそれを表明しようものなら即決で専断的に監獄にぶち込まれる。

裁判所、警察、国会を運営しているのも、実はすべて党幹部であり、共産党の指令である。

共産党の宣伝機関は、寛容、慈悲、自由、および民主主義など、いろいろの原則を言葉では言うが、現実は全然違う。

強制収容所に入れられた前政権官吏のうち20%以上が殺害されるか拷問で死に至らしめられた。

さらに、政府はすべての私有財産−労働者の私有財産さえも−を没収した。

それら労働者は都市から追い払われ、今は田舎で、あるいは収容所で、働かされている。

世界の知識人諸君!目覚めよ。

世界のプロレタリア諸君!立ち上がれ。

人間、人間に固有のこの良心を救うため、あなたがたは皆、今日のベトナムの政府による人権や市民権に対する侵害、野蛮な残虐に終止符を打つべく、闘わなければならない。

ことは一刻を争う。

あなた方―進歩的な諸国民、諸政府、諸国際機構とりわけ国連は、人権に対するこの野蛮な侵害、自由のこの計画的な破壊、人間を全面的、盲目的に命令に従うようにする、いわば動物の状態にまで引き下げるこの政策、をあらゆる手段に訴えて終始させるため、国連憲章第13条、第63条に基づき、即刻干渉すべきである。

無為に一時間が過ぎて行くごとに、強制収容所や監獄で何千人もの人々が死んでいく。無為に一日が過ぎて行くごとに、何百人ものベトナム人が、その日一日分だけ余計に拷問を受け苦痛にさいなまれるのである。

彼らは、全世界のヒューマニストが叫び声を上げ行動を起こすのを待ち望んで生き永らえているのである。

サイゴン、1977年4月18日

 

この宣言は次の8人によって署名されている。

  1. Lawyer TRAN DANH SAN, Presidento of the Anti-militarista Progressive Youth Force in1965,
  2. Prof. PHΛM BIEU TAM, Vice Presidento of the Association of Patriotic Intellectuals,
  3. Prof. TON THAT DUONG KY, Vice President of the National Liberation Front South Vietnam, Presidento of the Anti-militarist Progressive Youth Force in 1965, banished to Northe Vietnam by the Saigon Government on 19th March 1965 for his pacifist activities,
  4. Mr. HUYNH VI, President of the Vietnam Press Association,
  5. Lawyer NGUYEN HUU GIAO, Vice-Presidento of the Students Union in 1964(he organized the burning down of the American Informetion Center, in Hue)、
  6. Layer TRIEUBA THIEP, Presidento of the Students Struggle Committee against the Ngo Dinh Diem dictatorship in 1963,
  7. Lawyer NGUYEN HUU DOAN, Presidento of the Saigon Students Union, Active opposanto of the Ngo Dinh Diem Government in 1963,
  8. Proof. NGUYEN VAN THANG, Secretary General of the Saigon Students Union in 1969, President of the Students Association for the Peoples’ Right to Life.

 

 

これら8人が、1977年4月18日この宣言を起草し署名した。そのうち6人が、サイゴン大寺院の石段でこの宣言を朗読した。この勇気ある行動の結果、彼らは逮捕された。彼らはその監房から宣言の内容を同じく拘置されていたドアン・ヴァン・トアイに伝えた。トアイはそれを暗記して、後にフランスの在外ベトナム協会機関紙『祖国』(Que Me)に伝えてきたものである。