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ズン参謀長のベトナム戦記

−「解放の神話」打ち砕く

古森義久前サイゴン特派員『毎日新聞』(1976年6月2日)より

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連載が完結したベトナム人民軍参謀長バン・チェン・ズン将軍の「戦記」は、ベトナム革命闘争の実態にくまなく光を当て、革命勢力が永年、築いてきた「虚構」や「神話」をみずからの手できれいさっぱり打ち砕いた。

その率直な述懐はベトナム戦争とは一体なんだったのかという問いかけを我々に改めて突きつける、貴重な教訓でもあろう。

まず注目されるのは、これほど長大な戦記に、これまでは戦争の主役のはずだった南ベトナム解放民族戦線や南ベトナム臨時革命政府の組織が、ただの一度も登場しない点である。

グエン・フー・ト解放戦線議長やフィン・タン・フォト臨時革命政府首相という名の戦争の最高指導者とされた人物の名が現れるのは、ほんの一度だけ。それも戦争がすっかり終わってから、勝利祝賀のためトン・ドク・タン来たベトナム大統領がハノイからサイゴンに着いた時、出迎えの群衆の中にそういう人物もいた、という記述のみである。

20数万語に上る闘争の記述の中には、数百人の闘士の名があげられているが、ト、ファト両氏はもちろん、南革命勢力の軍隊「南ベトナム人民解放軍」も、その司令官のチャン・ナム・チョン臨時革命政府国防相も、一度たりとも顔をみせない。

日本など世界各国の世論をあれほどわかせた解放戦線や革命政府は、一体どこへ消えてしまったのか。

いうまでもなくこれは、南ベトナムの闘争は南独自の革命勢力によるもので、北は後方支援をするだけというベトナム革命勢力の主張が、まったくのフィクションだったことを意味している。

「世紀の大ウソ」だとさえいえるこの虚構も、革命側から見れば超大国の米国を相手とする苦しい闘争を進める上でやむにやまれず編み出した名戦略だった。

血で血を洗う戦争でウソをつくことの倫理性など当然、問題とはならない。だが外部にいた我々にとって大問題なのは、こういう虚構の背後にある真実を冷静に見つめようとしたのか、それとも額面どおりをナイーブに実態として信じ込んだのか、である。

ズン将軍は闘争の大勝利をマルクス・レーニン主義の政党であるベトナム労働党(前身はインドシナ共産党)の透徹した指導の産物だと結んでいる。

この「党」の優れた指導は、長い戦記の随所でホー・チ・ミン主席の功績よりも、人民の献身よりも優先して強調されている。歴史的な闘争が最初から最後までハノイを本拠とする労働党により指導され推進された事実の再確認である。

同時にこれは、ベトナムの戦いが外国の支配、干渉を拝する民族独立闘争であるとともに、強烈なイデオロギーに貫かれた共産主義革命だった事実をも、改めて鮮明にしている。

大勝利を目前にした革命勢力が崩壊寸前のサイゴン政権に突きつけた「共産主義に反対するものとは話し合わない」という「四月二十六日声明」はこの側面を雄弁に物語っている。つまりベトナム戦争はベトナム民族の間だけで見るかぎり、共産主義を信奉する人たちが、それを信奉しない、あるいは反対する集団に真っ向から望み、戦い、最後には粉砕した壮大な革命であったといえる。革命勢力の叫んだ「民族解放」とは、単に民族独立だけではなく、共産主義に立脚する独立を指したわけである。

当然の帰結として革命勢力が目ざした目標は、いまの新生ベトナムに見られるようなマルクス・レーニン主義を基盤にプロレタリア独裁を柱とする単一政党国家だった。

革命側の要求をすべて満たし、米国機関の撤退要請まで断行して停戦交渉を求めたズオン・バン・ミン大統領をも「かいらい」と一蹴したことからも明白なように、革命側のこの目標への大進撃には、いささかの妥協もなかった。

この点でもズン将軍の「戦記」はイデオロギーを異にする諸勢力が共存する形の「民族和解」は、しょせん幻想であったことをも教えている。

腐敗と独裁で悪名高かったサイゴン政権のチュー大統領も「共産勢力との間に和解はありえない。徹底対決か全面服従しかありえないのだ」と叫びつづけた認識においては、そうマトを外れていなかったともいえよう。

すべての共産主義による民族独立こそ、ベトナム民族の最大幸福をもたらすという不動の信念のゆえであろう。…

 

こうした様々な教訓を含めて、ズン将軍はベトナム戦争の真実を、こだわりなく語ってくれた。過去における“建前”と“実態”のギャップをこれほど大胆に認めるのも、大勝利の重みと革命の大義への、ゆるぎない自信あってのことであろう。

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これは、ベトナム(=北、社会主義国家)人民軍参謀長バン・チェン・ズン将軍の「戦記」に対する毎日新聞特派員の記事の引用ですが、南ベトナムの革命闘争の実態が、言われていたような「南独自の革命勢力によるもので、北は後方支援をするだけ」というベトナム革命勢力の主張が、まったくのフィクションだったことが明らかにされたものです。

共産主義勢力の「目的のためには手段を選ばない」=その共産主義・社会主義革命実現のためにはマスコミを利用して偽情報を流し、巧妙に「ウソ」をついてでも実現しようと世論操作をする実態が示されています。

しかも、非常に残念なことは、そのようなことがはっきりしても、それに乗せられてきたことに対して、当初からの革命側を支援する発言をしてきた進歩的文化人、マスコミ人で明確な総括・反省をした人がいまだ少ないということです。彼らの良心はどこにいったのでしょうか?これが彼らの良識なのでしょうか?

(本当に遺憾なことながら、これらの人々は、自分が過去発言したことが間違っていたことが明らかになった時点でも、その発言に対してほっかむりをしたまま、相変わらず日本での革新政権樹立のため、共産主義革命実現のため、その支障となる人々、団体、政府に対しての批判のみを繰り返しています。このことから、単に乗せられて賛同記事等を書いたというよりも、目的(=革命達成)のためにはウソをついてでもいいというような確信犯であったともいえるのかもしれません。)