啄木 ・ 日記  明治三十六年 (18才)


  この年の日記は残っていない。
 啄木は36年2月、父親とともに渋民村に帰った。
 啄木は病床にあってよく読書し、書いている。帰郷以来のワーグナー研究の成果を「ワグネルの思想」と題して6月に、12月に「無題録」という批評を『岩手日報』に発表している。しかし、いずれも器用に書いているとはいえ問題にするほどの内容を含んでいない。
 12月、五篇の長詩を『明星』に発表して注目を集めた。病床にあったとはいえ、啄木にとっては平穏で無事な一年であった。

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