2008年3月

4日(火)
 記録資料館の仕事のひとつに、図書を戦略的に揃えていくことがあるのですが、組織の方針から@炭鉱・鉱山関係、A福岡・北部九州の経済・経営史、B日本全国の経済史・経営史という順序で大体そろえていっています。年度末は予算の最終的な確定のために、しばし待っていた書籍なども古本屋も含めて色々と買っていくのですが、この作業がなかなか面白いんですね。

 先日も〈日本の古本屋〉で記録資料館へ入れる図書を探していたところ、ソ連時代の炭鉱関係の図書が格安であったので、OPACで九大および全国の大学図書館の所蔵状況を確認したところ、北海道に2冊しかない書籍だったので喜んで購入依頼を出してしまいました。筑豊や三池をはじめとした九州の炭鉱関係の書籍では、うちにしかない書籍も多数ありますが、北海道や常磐や外国の炭鉱関係で、九大にしかない本を増やすことが出きるとニンマリしてしまうもんです。

 さて、オリビアがついに、腎臓の数値が悪化しすぎて、眠りにつけずに意識が朦朧としてきているようです。そろそろお別れの時間でしょうか。。。

5日(水)
 アメリカ民主党の大統領候補選びは、オハイオ−テキサスの予備選まで来ても決着がつかずに、このままさらに予備選を続けていく模様です。日本だと予備選を行なっている最中は注目を浴び続けるので、プラスに働くことが歴然なのですが、国が違えば文化も違うということでアメリカはそうではないようです。アメリカの選挙戦の特徴は、日本とはスケールが異なる中傷合戦とメディア戦略でして、予備選が長引いて泥沼化するほど、同じ党内での中傷合戦がエスカレートしていってしまいます。結果として相手党、この場合には共和党が有利に運んでいくことになるわけです。

 対照的に共和党はマケインが過半数を獲得しまして、これから大統領選挙の本選に向けてのみ戦略が立てられることになりました。共和党内の左派に属するマケインも、共和党内の予備戦がもつれると、党内保守派に迎合した戦略を立てざるを得ず、中道無党派層を失い兼ねない状況だったために、何があってもオバマやヒラリーには投票しないであろう人々向けの対策が不要になり、めっけもんと感じていることでしょう。今後は民主党内が泥沼レースを行なっている間に、政策像をしっかり打ち出し、資金も蓄えていくことでしょうから、マケイン一歩リードというところでしょうか。

7日(金)
 昨日オリビアが永眠しました。享年18歳。夜に息をひきとったので、両親と妹の3人に見守られながらの最期となり、寂しくなくて良かったです。心臓が止まる直前に何か二言ほど発したようですが、あれはありがとうだったのかなぁなんて話しています。獣医さんにあと2-3日と告げられてから2週間弱なので、ほんとに最期まで頑張ってくれました。実家から画像が送られてきたのですが、どう見ても眠っている姿でして、隣で騒いだら今にも起きそうなんですよね。

 その後、たくさんの花でオリビアの周りを飾り付けまして、まるで白雪姫のようなお姫様になって眠っていたのですが、長楽寺という名古屋の動物専門のお寺さんへ連れて行って、無事に荼毘にふされました。オリビアは喉の毛がフワフワだったので、お寺に連れて行かれる前に親に頼んで、その毛を少しだけ切り取って貰っておきました。今度実家に帰ったら、肌身離さずお守りにしなきゃいけませんね。

 本当ならば僕もオリビアの最期に駆けつけたかったのですけど、母などは、まだ前足だけででも必死に歩こうとする体力が残っている時で、後ろ足を支えながら一緒に歩いた姿が、僕の中でのオリビアの最期の姿になったんだからと慰めてはくれます。ですけどお陰で、もうオリビアがいないっていう現実感がよく分からないところもあり、人間って都合のいいように出来上がっているなぁと感心する次第です。いつでもまた会えそうな感じが、心のどこかでまだしているんですよね。

13日(木)
 オリビアにお参りしてきました。名古屋には長楽寺という動物のお寺があるのですが、そちらで火葬して貰いまして、可愛らしい骨壷に収まって帰宅していました。骨壷を開けてみると、なにやら見覚えのある牙が・・・火葬されても牙は砕けてしまわず、オリビアらしい鋭い牙が残りまして、何処からどう見てもオリビアだよなぁって話していました。でも、歯石は砕けてしまったみたいでして、生前よりも牙らしい牙になっていましたが。。。それにしても動物専門のお寺なのにもかかわらず、名前やら年齢やらを記入している時に、18歳までも生きたのかと驚かれてしまったらしいです。最期の最期まで驚かれ通しのオリビアでした。

 名古屋まで行っていた理由は、中部電力の財団の方から、来年度の研究費を貰えることになったので、その贈呈式なんかに出席していた都合です。前々から橘川先生からは碍子は重要だ重要だと言われていたのですが、そんなわけで碍子も若干考察することになりました。基本的には理系のための研究資金なのですが、電力業関係で技術史的な内容ですと、経済史・経営史からも何年かに1人くらいは助成して貰えそうな雰囲気でした。該当する研究者の方がいましたら、是非とも次は狙って貰いたいものです。

 民間の研究資金でも、経済史で取れるものっていうのは少ないですから、あれやこれやと頭を悩ませる必要がありますが、この中部電力の財団(正式名称は財団法人中部電力基礎技術研究所)では、30人のうちの1人だけですが、僕みたいな文系文系した研究者にまで助成対象にしてくれまして、なかなか有り難い限りです。贈呈式は千種駅から徒歩3分くらいの所であったので、中高浪人時代を懐かしみながら、チョッと早めに出かけて周囲を散策などしていましたけど、あの辺りもけっこう変わってしまいましたねぇ。ちなみに嫁も千種の河合塾なので、なにげに浪人時代は2人とも同じ所で学んでいたなんていう縁があったりします。千種の話をしたら悶絶していました。

23日(日)
 北京オリンピックと上海万博が控えているので、中国経済をナントカそこまで高度成長させるだろうというのと同じように、国際世論を気にしてチベットや台湾に対する武力的な行動は控えるであろうというのが、かなり衆目の一致したところだったと思います。ところが事実は、北京オリンピック前のこの時期にチベット人の殺戮に向かうことになろうとは、かなりの驚きです。チベット側が北京オリンピックを利用して、チベットの惨状を世界にアピールする事は織込み済だったはずなのですが、まさか第二次天安門事件並みになってしまうとは予想外でした。

 スピルバーグがダルフールでの民族浄化を支援する中国政府に反発して、オリンピック関連の顧問やらを公開質問状を叩きつけて辞任したばかりですが、ビョークが香港のコンサートでチベット独立支援を叫んで中国当局から要注意人物扱いされてもなお、まさかチベットでの殺戮へと繋がるなんていうことは想像だにしていませんでした。この衛星とネットによる情報網によって、第二次天安門事件の頃とは格段の情報化社会になっている中で、中国政府が情報遮断が可能だと踏んでいることが驚きです。中国政府公式発表は漢族に死者13人のみですが、現実にはチベット人の死者は100人にも、500人にも上るという話です。

 ヨーロッパの方では、1936年の夏季オリンピック、リーフェンシュタールの〈民族の祭典〉〈美の祭典〉で有名なヒトラーのベルリンオリンピックと、北京オリンピックを比肩させるようになってきているようです。アフガニスタン侵略で国際的にボイコット運動が高まった、モスクワオリンピックと並べる向きもあるようです。オリンピックと政治は密接に関連し続けてきましたが、今回も血生臭いオリンピックとなりそうです。

 チベット人の不満が高まったのは、チベット開発=漢民族の殖民活動によって、開発の恩恵が偏に漢族に回されており、漢族とチベット人の経済格差がラサなどで顕在化してしまったために、それまでの鬱積していた感情が爆発したとのことです。ダライ・ラマなどは依然として非暴力・不服従を唱えているのですが、チベット人の間では弱腰のダライ・ラマの権威が失墜しつつあり、暴力的な独立運動を進めて行こうという声が高まりつつあるらしく、例え今回鎮圧したとしても、北京や上海でのテロ行為へと向かうのではないかという懸念があります。北アイルランドやパレスチナでもそうですが、穏健派と交渉しないと過激派が台頭するというのはよくある話ですので、今後どうなっていくかは注目されるところです。

 でもまぁ、いまさら帝国の時代でもないと思うんですけどねぇ。

31日(月)
 2007年度も今日で終わりとなります。来年度の準備などをボチボチと行なっているのですが、2007年度は提出しただけで活字化されていない論文やら雑文やら何やらが大量に貯まった1年だったような気がします。こういう年っていうのは、仕事量としてはかなり膨大になっているものの、後々から見ると論文の空白期間に見えてしまう不思議です。と言うわけで、2008年度や2009年度は大して何もしなくても業績だけは出来てしまうので、2009年度や2010年度の業績作りをしこしこすることになります。

 2008年度は頼まれ仕事で非常勤に出かけることになりましたので、そちらの準備もなかなか忙しいところです。九大と同じ科目名ならば同じ事をやれば良いのですが、別の科目名で依頼されてしまっているので、それなりの講義ノートを作る必要があり、まぁ頭の整理的には良いんですけどね。けっこう真面目に講義ノートを作ろうと思うと、意外な時間がかかってしまうもんですよね。といってもテキスト等を用いながらの講義ノート作りですので、全てを1から作り上げるような苦労は無いんですが。

 ところで、中日が幸先の良いスタートを切っていますね。阪神とヤクルトもいいですが、中日の防御力の良さが今年も嬉しいところです。攻撃力はかなり波がありますが、防御力は比較的安定していますし、ことしはリーグ優勝でシリーズ優勝っていう流れに持っていって貰いたいもんです。確かに俺流采配はシリーズ優勝を目標に置いていますが、何だか割り切れなさって言うのがあるんですよね。巷間で言われているほど、クライマックスシリーズなるよく分からないものは、2リーグ制の日本には合わないと思うんですけどね。