2009年5月

4日(月)
 The Monkeesの〈Daydream Believer〉は、アイドルグループらしく愛の歌なのですが、これを亡くなった彼女へと捧げる歌へと書き変えたのが、日本語版のTHETIMERS、要するに忌野清志郎らによる〈Daydream Believer〉でして、1989年ですからバブル経済が真っ盛り、僕がまだ中学生の頃の話ですけど、これがヒットしたためにいったいなんて読んだら良いかよく分からない忌野清志郎を知ったんですよね。もともとのTheMonkeesの歌詞よりも何倍も素敵になっていまして、勿論CDも買ってます。もう一つの彼のイメージは〈雨上がりの夜空に〉でして、大学時代の友人でオリエンタルランドに就職しちゃった奴がいるんですけど、そいつの持ち歌でいつもカラオケで歌っていたのが印象的です。もうハチャメチャですよね。

 あの独特の声質が、パンクなんだけどもとっても寂しげで切なくて、話をしていると怪しげで大丈夫かと思うんだけど、歌い始めるとグッと惹き付ける魅力的な人物でしたねぇ。このGW、youtubeなんかで忌野清志郎の歌声を拾ってきて、聴き惚れながら涙したりしています。RCサクセションは僕らより若干上の世代の人たちが愛したバンドですけど、その影響はBOØWY、ブルーハーツ、ウルフルズ、ゆずなんかへ大きく及んでいますから、忌野清志郎なかりせば80年代や90年代は、全く違う曲が巷に溢れていたかも知れません。でも、ぜんぜんそんな大物ぶった雰囲気を漂わせないところがまた素敵でしたねぇ。癌での58歳での死というのは惜しまれます。

7日(木)
 酒造好適米といいますと、〈夏子の酒〉で一躍有名になった〈亀の尾〉ですとか、今の日本酒の多くが用いています〈山田錦〉ですとか、新潟の日本酒でよく使われている〈五百万石〉などが、まぁ多くの人に知られているお米です。それに対して、広島の〈八反錦〉のように各地域に特化した酒造好適米もちらほらと見られます。そんな中、福岡県の醸造試験場が10年以上をかけて開発したとかで、〈夢一献〉という名前の酒造好適米が今売出し中のようです。

 福岡にも酒造メーカーはたくさんありまして、本来は福岡は日本酒文化圏の筈なんですが、昨今は焼酎に比べて元気がない状況です。そんな状況を打破しようとする秘策がこの〈夢一献〉ということでして、色んな酒造メーカーがこれを造った日本酒開発を進めていまして、ちらほらと製品化されたものを福岡のスーパーなどでは見かけるようになってきました。〈夢一献〉と〈山田錦〉なりを混ぜて使用するケースが多いようですが、福岡のお酒にしては珍しくフルーティーな辛口になっていました。まだ〈夢一献〉100%っていう日本酒は飲んだことがないので断定はできませんが、方向性としては新潟あたりの日本酒を、福岡でも目指すことにしたのでしょうかねぇ。そうなると、僕の好みのタイプの日本酒が福岡で安く入手できることになるので、なかなか嬉しい限りです。

11日(月)
 ついに、カナダで短期ホームステイしていた高校生が、成田で新型インフルエンザを発症という事態になってしまいました。成田でキャッチ出来たから良しと見るか、日本にもついに上陸したかと深刻に見るか、スタンスは色々と別れているようです。しかしどちらにしろ、まだまだ日本国内でアウトブレイクするには若干の時間がありそうでして、早く蒸し暑い梅雨と夏になってくれることを祈るばかりです。今日も福岡で28℃ですし、ウイルスも過ごしずらいことでしょう。前にも書きましたけど、水際対策の主目的は、インフルエンザが入ってくるのを少しでも遅らせて、その間に予防接種ワクチンやタミフル等の治療薬の生産を行う予定でして、一日でも先延ばしが出来れば万々歳です。

 もともとタミフルは、今回のH1N1型とは違うH5N1型の、いわゆる鳥インフルエンザのための治療薬として備蓄されてきましたので、それが効くか効かないかはよく分からないにしろ、そちらのパンデミック用の治療薬なわけです。ですから、今回の新型インフルエンザに効果があるといっても、日本国内での発生に対して大量に使用してしまっては、本来の目的である鳥インフルエンザ向けの備蓄が底をついてしまいます。だからこそ、何としてでも時間稼ぎをして、その間に今回の新型インフルエンザの予防接種なり治療薬なりを大量に開発・備蓄してしまいたいわけです。

 ニュースなんかを見ていても、この一番のポイントがよく伝わらずに、水際対策で不便だった等の話ばかり出ているのは困ったものです。しかも今回の水際対策は、本番である鳥インフルエンザなりSARSなり、それらが世界的なパンデミック、アウトブレイクを起こした時のための練習になっているような気がします。その辺も含めて周知徹底されると、国民の側としても心構えというか、訓練というか、より明確になると思うんですけどね。

 しかしまぁ、九州大学からもアメリカやイギリスをはじめとして、新型インフルエンザの感染者を出している各国への、渡航の自粛を要請するメールが送られてきました。日本経済史なんかをやっている身には影響は小さいですが、該当諸国を対象とした研究をやっている人々とか、国際学会での報告などを予定していた人々にとっては、かなりの影響を与えることでしょう。たぶん、全国の大学で同様の対応は採られている、採られていくでしょうし、我々の業界においてもなかなか深刻な問題です。

 ところで、小沢一郎民主党党首が辞任表明しました。世間的には小沢代表にクリーンさを求めていた人が結構いたようで、それが個人的には意外に感じた2ヶ月間でしたが、辞任はGWで各議員が地元で意見収集してきた結果でしょうか。次の民主党代表は次期総理になる可能性も高い人物ということになりますし、いったい誰になるのか非常に関心が高まるところです。しかしここで下手をすると、小沢秘書逮捕による金権イメージどころではないダメージを喰らうことになるでしょうから、誰をどのように選ぶのかというところに注目です。菅直人、岡田克也、前原誠司といった元代表たちが返り咲くか、新たな別人物になるか、選挙はするのか等々、しばらくは目が離せませんねぇ。

14日(木)
 東北大学の准教授(既に辞職)が、博士課程の院生の博士論文提出を邪魔していて、そのために大学院生が自殺してしまったということでかなりの大きなニュースになっています。大学院での修士や、博士の育成が、大学レベルでも各部門レベルでも要求されている現状の中で、学位を出さない方向にハラスメントをしていたというのは、昨今の大学事情からみるとかなり時代錯誤的な行動です。ハラスメントという意味でも、学位という意味でも、30年くらいは時代感覚がズレているんじゃないかと思います。

 こういう問題はどこの大学でも同じなのですが、当事者や周囲の人に相談してはいけません。酷い場合には問題を顕在化させないための、いわゆるセカンドレイプが発生することが間々あります。ですから、自分の所属する大学院のなり、それでも埒が明かなければ、大学全体でもハラスメントの相談窓口っていうのは整備されています。それでも駄目なら、文部科学省に直接訴えるという手段だってあります。ですから、絶対に自殺などという選択肢はとらずに、ハラスメントの窓口へと駆け込んで貰いたいところです。

 ハラスメントが発生する場合には、お前には能力がないという洗脳をかけるような行為で接してくるので、被害者が自分にも責任があるのではと悩むことで、なかなか相談しづらい側面もあります。しかしだいたい、大学院生で十二分過ぎるほどの能力がある人材なんて、まず存在しません。教員になってからだって、自分の足りない部分を実感するのが普通です。ですから、欠けている部分を指摘しようと思えば、誰に対してだって、いくらだって圧力をかけることは出来ちゃいます。しかしそういうスタンスの教育は止めようというのが、昨今の大学教育の方向性です。

 指導の仕方が悪いならば、学生は直接、どんな指導をして欲しいか、教員と話しあうのも重要です。あまりにも無茶な要求は通らないでしょうが、例えそれであっても、高圧的な態度に教員側が出るようならば、学生がハラスメント委員会へと駆け込むことは、権利として持ち合わせています。また、無視をする、指導をしないという、ネグレクト型のハラスメントも存在します。強圧的な態度に出るのと同じように、ネグレクトをするのも同様に訴えて構いません。また、教員と学生間だけではなく、先輩と後輩の間でもハラスメントは成立します。大学院っていうのは、大学以上に専門性が高まることで、何をやっているのか理解できる人の範囲が狭まり、そのためにハラスメントを発生させやすい環境が存在するので、そこに属する者はより気を付けなければいけないと常々思っているところです。

17日(日)
 幹事長として小沢一郎と共に進退を決断すると話していた鳩山兄が、小沢一郎の引退を機に、小沢一郎のバックアップで新代表に就任しました。民主党としては、これ以上ない悪手を打ってしまったの、一語に尽きるのではないでしょうか。「小沢院政」「小沢傀儡」「小鳩」なんていう単語が並んでいますが、小沢一郎が代表の座に居続けた方が遥かに良かったと思わせる落着点です。田中角栄の後には三木武夫が出てきたように、竹下-宇野の後には海部俊樹が出てきたように、小沢一郎の後には岡田克也が来るのが定石だと見ていたのですが、いやいや全くなかなかな結末です。

 あれほど世論調査でも岡田克也を支持する声が高かったのにもかかわらず、わざわざそれを避けて、ブームを作る切っ掛けを失ってしまったのは、党首選期間の短さと相俟って、あまりにも悪手の連続でビックリします。これから選挙まで、鳩山新党首は、黒幕小沢一郎に対する批判を一身に受け続けなければならない事になってしまった訳でして、小沢一郎当人が批判を受ける以上に守りづらい守りになることでしょう。今度の総選挙で民主党が圧勝するムードは遥か後景に退き、自民と民主のどちらが勝つか分からない接戦ムードになって来ちゃいましたねぇ。岡田新代表なら、民主勝利で留まるだろうと思っていたのですが、小鳩新代表となると分かりませんねぇ。

22日(金)
 新型インフルエンザの拡大はもはや避けられない情勢となってきましたが、取り敢えずはマスクでもして気を紛らわすくらいしかできません。まぁ、一般の人はあまり重篤化する可能性は低そうなので、糖尿病などの持病がない限りには、平静に過ごすのが肝要ではないでしょうか。

 ところで、オバマ政権の駐日大使としてジョン=ルースという人物が決まったようです。いったい誰なんだ状態ですが、ブッシュJr政権の時に盟友のシーファー氏が駐日大使となったように、今回もオバマ大統領の資金集めの中核にいたという人物のようです。まぁ、日米関係にそれほど大きな懸案がない中では、駐日大使っていうのは、友人への論功行賞にもってこいのポストとなってしまっているようです。ちなみにイギリスも、民主党の協力し続けてきたシティグループのサスマン前会長が駐英大使ということで、日本とイギリスは、アメリカにとってそういう位置づけなんでしょう。

 前評判としてはハーバードのジョセフ=ナイ教授が当確ということで、ライシャワー元駐日大使以来の学者大使かとちょっと期待をしていたのですが、違ったみたいですねぇ。ライシャワーとは違い、アメリカ政府内でも活躍したジョセフ=ナイでしたら、かなりベストな人選として日本には良かったのですが、まぁ日米関係でトラブルが発生しない限りには、このままシーファー→ルース路線で行くことになるのでしょう。マンスフィールドだ、フォーリーだ、ベーカーだ、モンデールだと、高齢な重鎮政治家のあがりポストとかの方が華があって楽しいですが、まぁ大して問題もないからこんなもんなんでしょう。

26日(火)
 日歴から依頼を受けていた原稿を書き終えて送ってしまったので、ホッと一息といったところでしょうか。日本史研究とデータベースの特集を組むということで、日本経済史に関して執筆してしまいました。僕が適任だともあまり思えませんが、たぶん適任はどこ探してもいないでしょうから、頼まれるままに執筆してしまいました。記録資料館という組織に属していることもありますし、データベース関係の話題は常に色んなところで接していますからねぇ。

 そんなわけでデータベース関係の雑文を書きながら、経済史・経営史関係は政治史や外交史などと比べてそれが遅れているなぁっていうのが印象です。多分、追いつけ追い越せとなることはないでしょうから、このまま遅れ続けていくんだと思います。でも反対に考えれば、従来の研究手法が、一番遅くまで使い続けられるのが経済史・経営史なんじゃないかっていう気もします。まぁ、従来の手法を身につけてしまっている人間として、研究における参入障壁として喜ぶべきなのか、それとも新規参入をはかる学生や院生に身近ではないと悩むべきなのか、アンビバレントなところではあります。でもまぁ、部屋にいてインターネットだけで資料蒐集っていう手法から遠いだけで、体を使えば今まで通りなわけですけどね。

 あ、あと年度末付で刊行された(実際に印刷されたのは年度明けてからですが)、十七銀行っていう福銀の前身の一つに関しての論考が、リポジトリの方に登録されましたので、プロフィールのところからリンクを張っておきます。まぁやはり、地方の大学にいるっていうことは、その地方に関する研究をすることが求められる訳でして、これもその一環として少々手をつけてしまいました。群馬の方の某先輩には、宮地さんが銀行に関して書くとはねぇって、感心されたのか呆れられたのか分かりませんがコメントを頂きましたが、お暇な方は暇潰しにでも見てやってください。

27日(水)
 慶応の工学系にいった大先輩と一献となっていた時に、そういえば東海の昨年のサタデープログラムに呼ばれたよっていう話をしていて、超満員だったとご機嫌で話していました。ググったところ年2回かな?、で、14回目とのことですから(ちなみに先輩のは13回)、7年前からこんな試みをしていたんですねぇ。ゆとり教育のおかげで時間ができたからっていうことで、何かと批判の多い私学助成金の使い道の模索と相俟って、こんなプロジェクトをやっているみたいです。

 顔ぶれを見たところ、研究者から、政治家から、タレントから、小説家から、弁護士から、かなり幅広い人選でいろんな企画をしているみたいでして、これを学生たちがメンツを選んで、学生たちが声かけをしてっていうことで集めているらしく、なかなか感心してしまいます。先輩も、中学生が交渉に来たよと驚いていました。うちらの頃もバイタリティあふれる人材が多い学校でしたが、益々それに磨きがかかっているようで何よりです。ちなみに呼んで貰えるならば、手弁当で喜んで押しかけて行きますので、現役の東海生の方々よろしくお願いいたしますm(__)m

28日(木)
 そういえば先日、木村拓也主演の〈Mr.BRAIN〉を見ていたのですが、アメリカの〈CSI〉シリーズや〈BONES〉などがベースになっているんだろうなぁっていうのがアリアリと分かりまして、嫁さんの紹介で最近はこちらに嵌っている身としましては、いやはやまぁ・・・なんですね。水嶋ヒロとか、綾瀬はるかとか、木下由樹菜とか、爆笑問題の田中とか、ウルフルズのトータス松本とか、大地真央とか、香川照之とか、市川海老蔵とか、とにかくキャストは豪華ですし、ゲストも初回は広末涼子、ユースケサンタマリア、戸田恵子、高嶋政伸などなどの超豪華盤でして、今後もこの調子でゲストが続くらしく、役者のネームバリューでついつい見てはしまいますけどね。

 でも、〈CSI〉シリーズにしろ、〈BONES〉にしろ、アメリカの科学捜査者の良い点っていうのは、やはりそのリアリティにあるんですよね。凄い地味な成分検査とかの積み重ねがいいのであって、そこらの理系の研究室にいそうな面々が、人間的にチームワークが苦手なのになんとかチームワークを作り上げて、それで捜査のために情報を上げていくのが魅力的なわけです。それを同じ科学捜査でも、天才的な一人が何でもかんでも解決しちゃうんじゃ、科学捜査を舞台にしている意味があまりありませんね、はい。そういう天才の場合は、田村正和の〈古畑任三郎〉がそうであったように、刑事か探偵として活躍する方が多分楽しいです。

 アメリカで流行りの科学捜査物に、無理やり木村拓也という主役を位置付けたのがアリアリでして、同じ推理物でも個性が輝くのが普通なセッティングにすれば良かったのにと思われます。たぶん、キャスティングだけでもバカ高い予算をかけているでしょうし、別の題材にしていたらねぇっていうのが感想です。沢口靖子が主演で昔から〈科捜研の女〉をやっていますが、科学捜査物の推理ドラマという点から言うならば、あちらの方が数倍しっかりしています。キャスティングは超地味ですけどね。