2013年9月

3日(火)
 林玲子先生が亡くなられましたね。『江戸問屋仲間の研究』が代表作でしょうが、僕の指導教官だった谷本先生との繋がりとしては、醤油醸造業を対象とした江戸地廻り経済圏の研究の方が身近です。時代を代表するほどではない個別の商品に着目しながら、ドラスティックな時代像を描いた林玲子先生の手腕には勉強させられるところも多かったです。御冥福をお祈りいたします。

 ところで、妹夫妻が名古屋市の天白区に住んでいる関係もありまして、名古屋を通る時には時々顔を出すのですが、姪っ子にイチゴジュースを頼まれてしまいました。福岡のあまおうがお気に入りという、なかなか舌の肥えた姪っ子なのですが、いかんせんこの季節に、あまおうジュースの良いのはなかなか入手できませんでして、あまおう豆乳っていうのが近くに売っていたので、夏場はそれで我慢してもらおうかなぁっと思っているところです。妹に豆乳は大丈夫か聞いたところ、飲ませたことは無いから分からないとの事。一口飲んだ口あたりはあまおうで、後味が豆乳なのでどうなることでしょうか。。。

6日(金)
 アラフォーにもなって来ますと、20年近くも前の大学時代の話とかパッと思い出せないようなことも時々発生します。尚更、色々な大学時代の話をカミさんにしたのかしていないのかさえも忘れてしまっていたりするのですが、カミさんの方は覚えていたりしてビックリします。大学時代の合宿の場所やら、誰が行ったやらなんていう話、こちらは話の流れで適当にしただけでしょうに、よく人の話を聞いて覚えているなぁっと関心頻りです。僕なんかよりも僕の友人の動向を詳しく知っていたりしまして、やはりこういうのは得手不得手っていうのはありますよね。

 話は変わりますが、記録資料館に石炭産業の労働組合活動に従事した人達のヒアリングがある事を以前どこかで書いたかと思いますが、その中でも、衆議院議員まで務め上げた今村等の分について、反訳文の作成業務を今年はすることとなりました。今村等は1979年に死去していますので、記録資料館にある1973年から1978年にかけて行ったヒアリングというのは、まさに晩年の回顧談です。現在では、各方面の人物に対する聞き取り資料というものが大量に作成されていますが、カセットテープが一般用に発売され、ようやくと市井の人々が自分の声を残すようになった時代の録音記録です。

 今回反訳文を作成する録音音声は、記録資料館産業経済資料部門の前身である石炭研究資料センターでの学術目的の使用、つまりは現記録資料館内で見聞きすることのみを想定した録音です。そのため惜しむらくは、著作権の問題もありますのでネット上などで公開することは勿論のこと、紀要等で刊行することもなかなか困難でして、反訳文が完成したとしても、わざわざ記録資料館まで足を運んでいただかないと見ていただけません。

 著作権については、現在の法に基づきますと、個人の場合には基本的には没後50年間は保護されていますので、今回の今村等だと2029年まではそのような取り扱いとなります。ちなみに、法人などが著作権を持っていますと、刊行日や作成日から50年間の保護期間になりますけど、回顧談のヒアリング資料については当然前者が適用されるのです。

 著作権については業務上色々と調べているのですが、著作権に関する法は時代とともに結構変わっていっていまして、どの時代の資料なのかによって、それぞれ著作権が保護される期間が変わってくるといった状態です。また、それが文字なのか写真なのかなど、資料の性質によっても著作権が保護される期間は異なってきます。ですから、歴史的な資料を扱っている人間としましては、復刻して公開して良い物といけない物が混在していまして、ケースバイケースの対応を迫られますので、特に戦後の資料については注意が必要です。

13日(金)
 2020年の東京オリンピックが決定したということで、日本経済にも良い影響を与えそうです。既に株価では建設株などを中心にして値上がっていますが、アベノミクスを推し進めていく効果があることでしょう。7年後に向けてインフラ整備もより進むでしょうから、西の端の福岡から楽しく眺めています。福岡から東京へのアクセスという点では、空港が何とかならないことにはどうしようもないので、7年たっても今と同じで大して変わらないような気がします。東京の空港がもうちょっと何とかなれば、福岡から東京へも行きやすいのですが、東京のインフラの一番のネックは空港ですよね。そこが何とかなれば、もうちょっと東京も行きやすいのに残念で仕方がありません。

 今回は下馬評も高かったマドリードが、サマランチJrの失言やら何やらで勝手に崩壊していったのもありますが、東京のプレゼンが良かったのも勝因でしょうか。マドリードやイスタンブールが街並に焦点を当てつつ、美しい街への誘致を行ったのに対して、東京は街ではなくそこに集う人々へと焦点を当てたのが良かったようです。大空襲によって素晴らしい建築群を失った東京としては、戦後の高度経済成長後のビル群や空襲の焼け残りや再建された建物なんかより、東京に集っている、そしてこれから集うことになる、さらには映像を通して遠隔地でオリンピックに触れる、様々な人の顔が魅力的でした。差別化に大成功でしょう。

 そして滝川クリステルや安倍首相らのスピーチを見ていて気になったので、1940年と1964年の東京オリンピック招致についてググったりしていたのですが、1940年の時の嘉納治五郎、1964年の時の平沢和重と、オリンピックはいいエピソードに溢れています。平沢和重が嘉納治五郎の最期を氷川丸の船上で共に過ごした奇縁などは、何とも言い難いものがあります。平沢和重が、他の都市のプレゼンが長引いたのを受けて、15分で簡略にプレゼンを終わらせたのもいい。2020年の東京オリンピックに向けても、また様々なエピソードが生まれていくんだろうなと楽しみにしています。

24日(火)
 大学内の銀杏も色づきはじめまして、ゆっくりと秋へと移り変わっていっています。夏バテになることも無く、いつものように健康優良のままに夏を終えてしまいましたが、秋になってくれば秋になってきたで、食欲の秋というフレーズに心が躍る毎日です。とはいいましても、やはり年齢に従って脂っこいものが苦手になってきまして、昔は8ピースくらい一気に食べていたケンタッキーフライドチキンも、最近は4ピースくらい食べると満足してしまう状態です。

 食の嗜好で昔と比べて大きく変わったことといえば、漬物を食べる分量が増えている点でしょうか。福岡へ来て高菜漬け、しかも辛子高菜を知ってしまったのも大きな要因ですが、白米を食べるのに辛子高菜をはじめとして漬物がたくさんあるよう、家の冷蔵庫には色々な漬物のストックを作ったりしています。福岡土産としては辛子明太子が好まれていますが、魚卵である明太子は尿酸値などにも影響を与えますから、世の出張族には辛子高菜をお勧めしたいところです。

 もともと京漬物が大好きで、京都へ行く時だけではなく、新幹線で実家から福岡へと戻る時などは、新幹線を大阪駅のホームで途中下車をして漬物を買ったりしていたのですが、福岡を初めとした北部九州も色々な漬物がありまして満足です。長崎あたりの生姜の漬物も美味しいですよね。そんな漬物好きとしましては、来月に経営史学会で報告するため京都へ行きますので、新幹線のホームで買えるだけではない京漬物を買い込んで戻らなければと思っているところです。京の漬物は、賞味期限の短いものも多いですから、買い過ぎないように調整するのもまた頭の使いどころです。

27日(金)
 そろそろ後期も始まりつつあります。九大の方の授業があるとともに、西南学院大学から非常勤を週2コマ頼まれていまして、そちらも合わせて色々と準備をしております。といいましても、西南学院大学の日本経済論の授業も、彼是、もう6年目でして過去の授業ノートのブラッシュアップで対応できるので、ほぼ週2コマ分の時間だけかかるだけなので楽なもんです。6年前はレジュメ等も準備する余裕が無く、学生さんたちには迷惑をかけていましたが、昨今は授業アンケートでも学生たちから叱られることも少なくなったので、暫くはこのスタイルで続けようと思っているのでした。

 ところで本務校である九州大学のほうですが、僕が担当しております大学院の比較社会文化学府が、2014年度から組織替えをして〈地球社会統合科学府〉へと再出発します。元々 文理融合型の大学院だったのですが、より文理融合型と分かりやすい名称になっているということです。僕はその中の〈社会多様性共存コース〉っていうところで、〈経済多様性論〉っていうのを担当することとなります。日本経済論のようにオーソドックスな科目ではないので、少々それにも頭を悩まさなければなぁっという事を考えている次第です。