2017年4月

8日(土)
 先日は、経済の藤井先生ご夫妻と一緒にダブルデートでして、長府あたりを散策してきました。長府へ行く前にですが、福岡へ来てから10年以上が経つにも関わらず、僕もカミさんも共に関門大橋を渡ったことが無いという事態に気付きまして、関門海峡を上から見下ろすことに感動しつつ、意外と関門大橋っていうのは短く渡れるなと、九州と本州との最も狭い場所の距離感を感じてきたのでした。

 その後、長州藩の支藩である長府藩の家老格の庭園である長府庭園を散策し、そのまま壇具川沿いに整備された散策コースへと向ったのでした。ふくの関観光会館の駐車場あたりが散策コースの出発地点でして、鎌倉時代創建で大内義長自刃の場所でもある功山寺ですとか、明治期に建てられて明治天皇も宿泊した長府毛利邸ですとか、乃木希典を祀っている乃木神社ですとか、観光コースとしてもかなり見所も多くお勧めエリアです。散策時間も2時間くらいです。

 その後に火の山へも行ったのですが、瀬戸内海と日本海と関門海峡を3方向に見下ろすことが出来るポイントでして、自分が何処の海を見ているのか忘れるくらいのパノラマは圧巻です。火の山という名称は、昔は狼煙を上げていたためのようですが、明治期には砲台が作られていたりして、その跡を見ることも出来ます。今は完全に市民の憩いの場となっていましたが、昔は要所だったんだなぁっということが各所に窺えます。

 ランチには瓦そばなるものをいただきました。これまた福岡に来て10年を数えながら、夫婦して知らなかったものですが、2人前からということで、カミさんとエイヤーで注文したのです。仲居さんが運んで来てくれたものは、大きな熱した瓦の上に、茶そばが乗せられ、さらに錦糸卵や牛肉、きざみ海苔も乗っていまして、紅葉オロシのツユでいただくという食べ物でした。恐る恐る食べて見ると、これが結構美味しい。焼そばとは違うけれど、チョッと焼そば的な、でも茶そばですし、それが結構いけたのでした。

 話は変わりますが今年は桜が遅く、ようやくとこの週末が桜満開です。桜満開が雨にかかってしまいまして、今年の福岡は青天の下で満開のお花見というのは、なかなか雲が悪かったようです。しかしながら、福岡で入学式に桜が満開から散り初め、落花盛んへという具合になる事はまず有り得ませんで、年長者に聞くと昔はそうだったらしいのですが、最近ではかなりレアですので、今年の入学生達はかなりラッキーなのです。

11日(火)
 先日、スーパーで買い物をしていたら霧島黒豚の美味しそうなスペアリブがありまして、夫婦して無性にそれに惹かれて購入したのですが、圧力鍋で肉を軟らかくしてその理由が判明しました。3月の沖縄調査の影響もありまして、軟骨ソーキだと無意識のうちに買い込んでいたのでしょう。しかしそんな軟骨ソーキですが、沖縄流の軟骨ソーキそばにすることなく、我が家では軟骨ソーキカレーとなったのでした。

 表面を炒めて肉汁が落ちないようにし、幾ばくかの香辛料と共に圧力鍋へ投入して軟らかくし、そこにジャガイモやらタマネギやらセロリやらブナシメジやらを加えて更に圧力鍋で軟らかくし、カミさんオリジナルブレンドのカレールーで軟骨ソーキカレーの出来上がりなのでした。ナツメグやらローズマリーがきいており、更には沖縄のウコンがいい色合いを出していまして、さすがカレー県民である鳥取流だと感心したのでした。ちなみに宮地も、生姜とニンニクをすり卸すという、指に臭いがつく程の偉大な貢献をしたのでした。

 ところで沖縄の話を引きずりますが、沖縄で何か予約とかをしようとする時に「ミヤチ」ですと伝えてもまず通じません。沖縄は宮城「ミヤギ」「ミヤキ」さんが何人もいるので、「ミヤチ」を「ミヤギ」と聞き間違えられてしまいます。「お宮の宮に、地球の地」と伝えた時にも、「あぁ、ミヤギさん」と言われましたし、漢字で「宮地」と書いたときにも「ミヤギさん」と呼ばれたのでした。そんなこんなを繰り返しているうちに、僕ももういいかなと思うようになっていまして、沖縄にいる時には「ミヤギ」ですと名乗り、何事も無くスムーズに運ぶようになったのでした。

 さて話は変わりますが、年度がかわったのでプロフィールを更新しておきました。論文やら、資料紹介やら、事典の項目執筆やら、色々と加えてあります。

18日(火)
 前に京都へ行った時に、タクシー運転手さんに初夏は下鴨神社の青紅葉がお勧めだといわれて行ったところ、紅葉は秋という先入観を打ち壊してくれる青紅葉の絶景でして、それ以来少々青紅葉に嵌ってしまっています。九州も紅葉の名所が多いのですが、青紅葉の美しさは全然評判になっていませんで、かなり勿体無いくらいに青紅葉をゆっくり見ることが出来るのではないかと、カミさんと青紅葉を求める散策へと出かけたのでした。

 色々と紅葉の名所はありますが、実は佐賀の基山にある大興善寺へ行ったことがありませんでして、これを機会に散策へと出かけてきました。JR九州の広告では良く見る大興善寺なのですが、基山駅への距離感も実はよく分からないまま出かけると、意外と博多駅から20分強という近さでしてチョッと驚き。久留米よりも鳥栖が近いということにも常々驚かされますが、基山は鳥栖よりも更に近くて感動です。

 基山の近さはいいとして、大興善寺の青紅葉は想像していた通りに感動ものでした。つつじ寺としても有名な大興善寺でして、4月末からGWにかけてはつつじが満開になるのですが、つつじが咲く直前の青紅葉が主役の庭園を堪能してきました。これから2-3週間くらいはつつじへと主役を譲り、青紅葉が再び主役へと帰ってくるのはGW後でしょうから、青紅葉が見たい立場からはベストタイミングだったのでした。

 契園(チギリエン)という広大なお庭が山肌に沿ってありまして、足腰が弱ったら楽しめないお庭なのですが、ここがとても素晴らしい。上方の観音様が居るところから、青紅葉を横に下に見晴らしていくのも素晴らしいし、弁天様が居るあたりから青紅葉をグッと仰ぎ見ていくさまも素晴らしい。新緑の中を降り注ぐ木漏れ日を、これでもかっていうくらい堪能できる迫力でして、自然の荒々しさが残っているのがまた良いのでした。つつじ祭りが終わった後にも、青い紅葉が出迎えてくれると思いますので、秋まで待たなくてもなかなかのお勧めスポットです。

24日(月)
 全く予期していない事というものは起こるものでして、先週に続いて基山へ行く用事が出来てしまったため、2週連続で大興善寺へと行って来ました。先週とはうって変わりまして、青もみじは脇役の座へと退き、つつじが主役のお庭でした。まだ3部ざき程だったのですが、山肌に植えられた5万本のつつじはなかなかの圧巻です。

 それと共に、今年は大興善寺の創立1300年祭ということで、明治の神仏分離の時に太宰府天満宮から移された観世音菩薩なども公開されていまして、それらも見てきたのです。菅公が観音様の生まれ変わりということで、もともと太宰府には観世音菩薩が祀られていたということも知りませんでしたが、それが県境を越えて基山に移されていたということも始めて知りまして、なかなかの良い体験でした。

 大興善寺は天台宗の古刹でして、1300年というのはかなり立派なものです。本堂は鎌倉期、不動明王像が平安時代などでして、旧仏教は本当に古いなぁっと実感です。うちは僕が臨済宗ですし、カミさんは曹洞宗でして、どちらも新仏教ですし、僕の母校の東海中高は浄土宗でこれもまた新仏教でして、旧仏教の天台宗というのはなかなか不思議です。

 83歳の御住職さんのお話を聞いてきたのですが、死後のためにお参りする阿弥陀様とは違って、天台宗は現世利益で観音様とのこと。それを踏まえて、確かに、契園の美しさを見ていると現世利益が良く分かるね、などとカミさんに話したところ、現世利益を得るために契園の山の勾配を登って足腰を鍛えることが出来るという返答が来まして、それってどこまでも曹洞宗的な発想なんじゃないかと思ったのでした。

30日(日)
 桜が遅かった今年は、ツツジだけではなく藤も例年より少々遅めでして、GWまで藤が見頃で残っているという情報に接してしまいました。そこで、例年だとなかなか見に行くタイミングが取れない、福岡を代表する藤棚の名所のひとつである中山の大藤へとカミさんと連れ立って行って参りました。

 柳川市にあるのですが、西鉄柳川駅よりもJR鹿児島本線の筑後船小屋駅からの方が近いので、初筑後船小屋駅も兼ねてJRルートで行ってきました。筑後船小屋駅は九州新幹線に新しく出来たのですが、それと並走している在来線側で、快速に揺られてだいたい1時間弱の旅程です。そして、筑後船小屋駅から思っていたよりも中山の大藤は近く、けっこう簡単に着いてしまいました。

 そしてやはり此処の藤棚は素晴らしく、薄紫色というか藤色というか、溢れんばかりの藤の花が藤棚から垂れ下がっている様子は見事です。かなり広大な藤棚なのですが、その藤の幹っていうのが意外と細くて、これだけの細い幹からグングンと枝が長く伸びていき、それを藤棚によって支えられながら広範囲に広がっていくのです。自然だけでもこれは実現できませんし、人の力だけでもこれは実現できません。まさに、自然と人の力とがいい感じにハーモニーを奏でていまして、広大な藤棚っていうのはなかなか凄いものです。

 そんな感じで藤棚を満喫したのですが、筑後船小屋駅から藤棚が予想よりも近かった関係もあり、時間の余裕がたっぷりと出来てしまいました。そこで、筑後船小屋駅の観光案内所で貰ったパンフレットを片手に、駅の反対側の散策にも出かけることとしました。

 まずは船小屋温泉郷にある船小屋鉱泉場を目指しました。鉄の含有量が多い天然炭酸が湧いていまして、薬師如来像が祀られる霊験あらたかな炭酸なのですが、ビックリする程に不味い。あまりの鉄臭さに驚いてしまうのですが、良薬は口に苦しということで500mlのペットボトルに詰め、なんとか半分くらいまで頑張ったのです。250mlも頑張ったんだから、何か体には良いはずです。

 続いて矢部川にかかる赤橋を渡り、みやま市側の長田鉱泉場へ移動です。こちらは癖のない天然炭酸でして、次から次へと大きなタンクを持った人達が水を汲みに来ています。船小屋温泉郷側の鉄炭酸を飲んだばかりなので、恐る恐る口にしてみたところ、こちらはとてもに美味しい。たぶん美味しいから良薬としての効能は少ないのでしょうが、ゴクゴク飲むにも酒を割るにも、こちらの天然炭酸の方が素人向きです。

 そんな感じで天然炭酸を2種類楽しんだ後は、赤橋から下へと降りられる階段を下って中ノ島公園へ。駅から芝生公園を歩いていた時から目に入っていたのですが、山のようにこんもりとした木々が生い茂っています。実はこれ、国の天然記念物の楠の巨木群でして、この楠の巨木から差し込む日差しを楽しむために降り立ったのでした。島をグルッと回ってもそれ程の時間はかからず、大木のパワーを存分に感じられる癒しスポットでした。

 そんなこんなでブラブラしていたら汗をけっこうかいたので、温泉郷のホテル樋口軒さんというところにノボリが立っていることをカミさんが見つけ、日帰り温泉へと向ったのでした。この樋口軒さんは、終戦後の昭和天皇の巡幸の際の宿泊所にもなった宿とのことでして、その特設コーナーなども設けられていましたが、半露天風呂の温泉もなかなかでした。ちょうど中ノ島公園の楠が遠景に見えまして、クスノキの新緑を見ながら汗を流すというのは乙なものです。炭酸成分が多いくらいで、温泉としてはかなり軽めですが、それでも湯上りはデトックス効果抜群になるのでした。

 汗も流したところで、恋ぼたるという物産館へと向かい、とても充実したGW初日を過ごしてしまったのでした。GW中の仕事が早く終わったら、連休中にまたブラっと何処かへ足を伸ばしたいものです。