2019年2月

4日(月)
 麻生財務大臣が少子高齢化っていうのは、高齢化の問題じゃなくて少子化の方に問題があるという話をしていますが、「産まなかった方が問題だ」と、また物議を醸し出しそうな表現方法をしています。含意は同意ですけどね。表現方法の問題はさて置くとして、少子化が日本社会の抱えている問題だというのは間違いないところでして、その対策っていうのは喫緊の課題です。

 政府の財政支出の問題なのか、家族のあり方が急速に核家族へと移行したためなのか、女性の社会進出に対応した保育環境が無いからなのか、地域社会の変化といった要因なのか、自分のためだけに金を使いたいエゴイストが増えたからなのか、晩婚化の影響なのか、賃金の低下という問題なのか、可能性は尽きません。

 保育園だとか、教育費の無償化・低廉化だとか、国が財政的に行なえる方向性っていうのはどうしても限界があります。しかしその枠内で、本当に少子化対策が出来るのかっていうのは常々疑問なんですよね。カネの話で解決する少子化ならばまだマシでして、病巣はそういうところには無いような気がします。

 本来的な少子化の原因って、戦後社会における子育て(家庭と社会の双方)の失敗が、その次の世代を生み出さない事に出ているんじゃないでしょうかね。中途半端な知識の中で人生のイメージを想定し、その想定したイメージ通りに人生がいかないと行き詰ってしまう。学校や仕事に対応できない引き籠りがかつて話題になりましたが、社会に出た人たちに訪れる結婚や出産育児についてのするしないも、その延長線上にあるような気がします。

 人生のパターンなんて無限大なんだから、その無限大のパターンに対応できる人間を作りあげてこなかった戦後日本社会のツケを払わされているような気がします。毒親への注目なんていうのもその1つでしょう。周囲が、こういう人生じゃなければ駄目だと枠を当てはめたら、そこから外れた人達は、焦りや自己否定で、それぞれの場面で前に進めなくなりますよ。

 どんなパターンの人生を歩んでいようとも、それはそれで面白いから良いじゃないかって思うんですよね。仕事だって、結婚だって、出産だって、様々なパターンがあってバリエーション豊富で十分なはずですから、何歳で何をしろとか、何歳くらいで○○の状況にあれとか、何をしたら次は何をしろとか、そういう型にはまった人生アドバイスが一番不要です。というか害悪です。

 若い世代が行きづらさを感じない社会になったら、自然と出生率は回復すると思うのですが、果して日本社会がそんな素晴らしい国になるのかどうか。国が旗を振るべきことは、家庭や社会における若者の居心地の良さの提供(わがままの容認ではない)でしょうし、その長期的な対策の先に、出生率の回復があるような気がします。

 まぁ、短期的には財務大臣が懸念する財政問題は解消しそうにないですね。

7日(木)
 ノルウェーといえばサーモンの養殖で有名ですから、てっきり鯖も養殖をしているとばかり思い込んでいました。ところがどうやら、鯖については北海やら北大西洋やらの天然鯖だったようでして、乱獲による資源問題が懸念されているようです。日本が大量の鯖を輸入してしまったからでしょうか。

 塩焼きとかにした際には、ノルウェーの鯖でも日本近海の鯖でも、まぁほぼ差は無いわけですから、どうしてもノルウェー鯖への依存度っていうのは高くなってしまいますよね。うちで鯖の炊き込みご飯をする時とか、さらには鯖の味噌煮なんかをする時でも、けっこうノルウェー鯖を利用したりしています。そういう意味で、ノルウェー鯖の漁獲量が減らされることは、我が家の食卓的にも大きな影響があります。

 長崎あたりだと鯖の養殖もけっこうしていまして、ノルウェー鯖はこれから養殖へと向かっていくのでしょうか。サーモンと比べて鯖は高値になりづらいですから、ノルウェーがどうなって行くのか目が離せませんねぇ・・・などと、3日連続で近海ものの鯖の刺身を食べながら思ったのでした。

14日(木)
 『明治最大の政変劇の内幕』の中で、郷中教育と衆道のことなども書いた関係で、LGBTについての話題をふられたりします。本書では別に大きな論点ではないのですが、LGBTの問題というのが極めて現代的なトピックであるために、気になる人もいるのでしょうね。

 昨今のLGBTの議論というのは、先天的な性的な問題として議論されていますが、郷中教育における衆道の関係性というのは、後天的な同性愛関係が大半でしょう。だからこそ問題は複雑なのですが、昨今のLGBTの議論では、先天的なものと後天的なものがゴチャ混ぜに議論されているような気がします。

 その延長線上に、LGBTの結婚にまつわる憲法論議や権利問題などもあるような気がします。LGBTの権利をヘテロと同等に求める議論では、LGBTは先天的であることが大前提になっています。しかし、世の中には後天的・環境的な同性愛も存在しているために、わがままだとか、性的な趣味だろうという議論も出てくるのです。

 同性愛者の結婚を認めるか否かで、先天的なLGBTの人達の行動パターンが変わることはありえません。しかしながら郷中教育でみられたのと同じような衆道的な同性愛や、バイセクシャルの場合には、法によって行動パターンが変わることも有り得ます。その辺が、議論の難しいところでしょうね。

 LGBTを、明確にLやGが先天的か後天的か、またLやGなのかBなのか、それを確かめようも証明しようも無いでしょうし、なかなか難しい問題ですよね。しかも先日の議論と結びつきますが、人口減少社会になってしまっているために尚更です。

18日(月)
 電子書籍はいくつかありますが、個人的には紀伊国屋書店のKinoppyが一番優れているんじゃないかと思います。画面の感じが本に近く、他の電子書籍よりは、もともと紙の本に馴染んできた人間には読みやすく作られています。

 九大のキャンパス移転に伴ないまして、浪人生以来の通勤・通学時間が出来ていますので、その時間の活用方法にもなっています。最初は良く分からなかったのですが、パソコンでも携帯電話でもKinoppyを入れることができまして、パソコン画面で読書用の本を選びながら、携帯電話で読者はするという、なんだか近未来に住んでいる気分になります。

 多治見駅から千種駅までが30分強でしたが、いま電車に乗っている時間も30分〜40分ほどですから、まぁ読書の時間としてはなかなか優れていますね。逆に言うと、大学、大学院、そして就職してからも、だいたい職住接近で電車とは縁遠い生活をしてきたのですが、再び電車に乗る日々に戻ってみると、中学生や高校生の頃を思い出してけっこう楽しいものです。中学時代や高校時代の僕に、携帯電話で電子書籍を読んでいるなんていう話をしたら、いったいどんな驚いた顔をするのだろうかと思いますしね。

 しかも、名古屋近隣の電車の混み具合と比べてみて、福岡は電車が空き過ぎていて心配になるくらいでして、余裕をもって電車に乗れるのが良いところです。福岡市の人口が増加しているにも関わらず、それでも電車に乗っている人口が少ないっていうのは、地下鉄やJRの苦労が偲ばれますが。。。

21日(木)
 まだ2月だっていうのに、すっかり暖かくなって春の陽気です。そのため菜の花をはじめとして、スーパーマーケットでは春の味覚に溢れていまして、カミさんに頼んで春パスタ。大分の菜の花に、宮崎のズッキーニと黒豚をあわせ、ペペロンチーノ風にして食べると絶品です。速水もこみちに倣って追いオリーブオイルをかけると更に美味しくなります。炒める時のオリーブオイルよりも、ワンランク上のオリーブオイルで追いオリーブオイルをするのがポイント。

 いやぁ、速水もこみちがいなかったら追いオリーブオイルという発想は無かったのですが、これが本当に美味しい。だいたい、500mlで2,000円〜3,000円のクラスで、ある程度は味見をして自分の好みに合ったものが一番だと思いますが、こういうオリーブオイルに出会うと、何でもかんでも追いオリーブオイルがしたくなります。

 もちろん、高級品を突き詰めていくとキリは無いのですが、一般的に手が出せて、そして飲んでも美味しいオリーブオイルと言うとこの価格帯だと思います。ただ同じ価格帯でも、味覚の合う合わないはありますから、味見をする事は必須でしょう。2千円も3千円も払って、自分の舌に合わなかった時の落胆度合たるや、もう絶望感でいっぱいです。

 僕の好きなオリーブオイルは、若干の青リンゴの風味がするような爽やかなものでして、そういうのを探して選んでいます。春になってくると、淡い味わいの料理が増えてきますから、追いオリーブオイルが活躍する機会も増えるのです。