現在今年のインフルエンザが遅い流行を続けています。今年は皆さん御存知のように「タミフル」をめぐる問題で大きな混乱が起きています。外来においてもタミフルに対する不安の声は聞かれます。もう既にインフルエンザの流行よりタミフルの副反応の方が大きな問題になっている感があります。私としても(誰も絶対確実な事は言えない筈なのですが。歴史の浅い薬ですから・・・。)ひとまず自分の考えを述べたいと思います。

 先ず、大前提として、タミフルは特効薬ではありません。何故ならインフルエンザウィルスを滅失する薬ではないからです。ウィルスの活動に必要な酵素を阻害する事で、ウィルスの活動を抑制し、その間に体の免疫機能で抗体を産製し治るという事で、簡単に言えば体が武器を作るまでの間、ウィルスを取り押さえているという、いわば反則技のような薬だと思います。それに対して抗生物質は初めから菌を殺したり、大人しくさせたりする「特効薬」と言えます(勿論抗生物質ではインフルエンザウィルスを退治出来ません。)   ただし、タミフルそれ自体は画期的な薬だと、私は思います。まがりなりにもインフルエンザウィルスを大人しくさせる事が出来るのですから。最近の新聞、雑誌に「1日程度発熱を短縮し・・・・」と書いてあるのを見ると、自分は「そうじゃないでしょ!もっと画期的に症状が楽になるってみんな喜んでいた筈じゃあないか!」とタミフルを擁護したくなります。4年ほど前、タミフルが大不足に陥ったとき、多くの人がタミフルを探し求めました。話がそれました。今回の事に軌道を修正します。

 タミフルを服用しなくても、数日の辛抱で治癒します。第一、21日の厚生労働省通達で、10歳以上の未成年には事実上タミフルを使えなくなりました。年齢制限の根拠に何ともやりきれないものを感じますが、厚生労働省に多くを期待するのは無理だと思うのでまあこんなものでしょう。「タミフルを服用しなくて大丈夫か?」という問いに対しては「まず大丈夫」と言ってよいと思われます。ただし絶対ではありません。脳症などの大きな合併症はタミフルを飲んでいれば回避される訳ではないのです。不安はあるでしょうが、患者の自然治癒力を信じ、落ち着いて看護する心の余裕も必要だと思います。

 タミフルの副反応としての異常行動についてどう思うか。と聞かれれば「今はまだ分からない、というより知らない。」としか答えようがありません。不眠や譫妄などは報告をうけていますが、これとて、本当に副反応かどうかは科学的検証が必要であり、その検証は極めて困難でしょう。「うちの子がそんな事した事は今までに1度もない。」といっても副反応だと決め付ける事は出来ません。1.熱による熱譫妄か2、インフルエンザ脳症及び3.タミフル副反応の3つあるいはそれ以上の要因についての検証が必要です。とにかくタミフルを投与された患者は病人であり発熱している、という事実は忘れてはならないと思います。

 今後の対応について、原則10歳以上の未成年者は、厚生労働省通達により、原則タミフルなしで様子を見る事になりそうです。当院は以前からもう1つのインフルエンザ治療薬「リレンザ」を多数処方していますが、この騒ぎでもう底をつく寸前です。御希望があれば、在庫さえあれば処方するにやぶさかではありません。ただし、前述したように心に余裕をもって下さい。そして、薬がないなら病院を受診するだけ無駄、と御考えの方には、医者の仕事の大半は「様子をみていて大丈夫なのか、そうではないのか」の判断にあるので無意味ではありません。とお答えします。ただし他の病気で医院を受診してインフルエンザをもらって帰る事はないか?と聞かれたら「可能性はあります。」と答えざるを得ません。

 現実問題として、もう既に卒業式、終業式が大分済んでおり、まもなく今年のインフルエンザは収束します。
急いで書いたため、不適切な部分があったかもしれません。気づいたら後で書きなおします。

3月21日に記載しました。2007年度のインフルエンザの流行は4月5日現在終息に向かっています。

その後5月12日に最後の1人を診断し、今年の遅い流行も終わったようです。
                                                     5月中旬記す。