京王線の付番について

 色々なサイトで京王線の番号解説が行なわれているが、ここでは私なりに分析してみたい。
本来なら現有形式だけでもいいのだが、過去の車両から見ていこう。

※本項は大学の機関誌に投稿したものを一部手直しの上で再掲したものです。

 2600系、2700系
 Mcが2600形、Tが2650形とサハに+50されている。この「付随車に+50」は昔の私鉄でよく見られた法則である。Mcの番号は新宿側が奇数、八王子側が偶数だった。これは2700系にも引き継がれる。2700系ではTcも登場したが、2750形がサハとして存在していたので2770形となった。ちなみに、2700系ではMcは新宿側=奇数、八王子側=偶数だが、Tcは新宿側=偶数、八王子側=奇数となるので注意。
 〔編成例〕   ←八王子
 2602-2651-2601   2781-2711  2712-2782

 2000系、2010系、2500系
 本線系初の高性能車となったこの形式は、八王子側Mcが2050形、新宿側Mcが2000形となる。大量生産を見越していたのか、それとも将来の2両ユニット化を考えてのことだったのかは定かではない(登場時は昇圧前で、ユニットを組んでいなかった)。いずれにせよ、主制御装置を持つM、Mcは基本形式、補機を搭載するM、Mcは+50という法則が誕生する。改良型の2010系も同様。
 4両編成で中間に組みこまれたサハは2500系という独立した系列である。このうち、CPを搭載した車両は2550形となったため、「サハであっても補機搭載は+50」が確立。
  〔編成例〕   ←八王子
 2051-2001   2061-2511-2561-2011

 ほぼ同時期に登場した井の頭線初の高性能車1000系(先代)も同様のナンバー体系だが、こちらは渋谷側Mcが1050形、吉祥寺側Mcが1000形である。

 3000系
 今までのMc-McユニットからM-Mユニットに変更。両端はTcとなる。基本デハは吉祥寺方のデハ3000。ユニットを組むのは渋谷方のデハ3050。クハについては、2000系で+500をサハとして使ったからか+700となるが、これには2700系の+50がサハ、+70がクハという付番が少なからず影響しているのでは、と個人的に思っている。吉祥寺方がクハ3700、渋谷方がクハ3750となった。以降、「渋谷方、八王子方先頭車は+50」が確立。後の5連化の際に1M車を増備したが、デハ3000形の3100番台ではなくデハ3100形と独立した形式である(妻面の銘番をみると分かる)。
 〔編成例〕   ←渋谷
 3751-3101-3051-3001-3701

 5000系、5100系
 3000系とほぼ同じ。基本デハが新宿方にくる。付属編成は5100系という独立した形式だが、実際には広義で5000系と称される。ちなみに5100系は登場時5070系と名乗っており、新宿方がMc5070、八王子方がTc5770だった。なぜMcが制御装置を搭載しているのに5020ではなかったか? 思うに、一つは7という数字に2700系を残した(最初の12本は2700系の機器流用)、もう一つは基本編成の八王子方がM5050-Tc5750だったので合わせた、のどちらかではなかろうか。5070系は改番でMc5100-Tc5850となり、3連では中間Mとしてデハ5150形が追加された。以後、「付属編成のクハは800番台」となる。
 〔編成例〕   ←八王子
 5751-5051-5001-5701  5851-5101  5873-5173-5123

 6000系
 この形式から、付属編成だろうとすべて6000系として統一されることとなる。M1は全てデハ6000形、Tc2は全てクハ6750形といった具合だ。
 登場時は6連は
 Tc6751-T6551-M6101-M6051-M6001-Tc6701
 Tが6550形となったのは、補機搭載と将来の電装化でM6100とユニットを組むことを見越してのことである。このパターンで12本が登場。7〜12Fは8連化の際に200番台のM-Mユニットを組みこんだ。
  ←八王子
 Tc6757-M6107-M6057-M6007-M6257-M6207-T6557-Tc6707
という編成だったが、のちに標準的な編成(現在の編成)に統一されている。
 残った1〜6Fは、Tを電装化(M6401〜)改造。新たにデハ6450形(Mc)とクハ6700形(6801〜)を新製し
 Mc6451-M6401-Tc6801+Tc6751-M6101-M6051-M6001-Tc6701
のように組んだ。これ以降、「付属編成のMcは400番台」となる。
 10連化用の増結車は、クハ6750形(6860〜)-デハ6400形(6410〜)となる。クハ6750形にパンタがついているが、これは回生ブレーキ使用時のパンタ離線防止対策ということだ。
 まとめると、6000系の形式は以下のようになる。
 デハ6000形(M1):6001〜 5連・8連のデハ
          6101〜 5連・8連のデハ
          6210〜 8連のデハ
          6401〜 3連のデハ
 デハ6050形(M2):6051〜 5連・8連のデハ
          6181〜 8連のデハ。30番台編成のみ
          6260〜 8連のデハ
 デハ6400形(Mc):6410〜 2連の新宿方デハ
 デハ6450形(Mc2):6451〜 3連の八王子方デハ
 サハ6550形(T2):6560〜 8連のサハ。10番台編成のみ
 クハ6700形(Tc1):6701〜 5連・8連の新宿方クハ
           6801〜 3連の新宿方クハ
 クハ6750形(Tc2):6751〜 5連・8連の八王子方クハ
           6860〜 2連の八王子方クハ。パンタあり

 ただし、例外がある。まずは6021Fと22F。両編成とも5連だったのを組替えて6連と4連にしたもので、以下のような組成になった。
 ← 八王子
 Tc6771-M6122-M6121-M6071-M6021-Tc6721 (2003年5月にM6122はM6171に改造)
 Tc6772-M6072-M6022-Tc6722
 それと6403F。抵抗制御車を全廃する際に、残った界磁チョッパ制御車だけで5連を組むために3本から1本を組成した。
 ← 八王子
 Mc6456-M6406-Tc6806  Mc6453-M6403-Tc6803  Tc6753-M6103-M6053-M6003-Tc6703
          ↓     ↓             ↓   ↓   ↓   ↓   ↓
          廃車    廃車            廃車  廃車 T6553 廃車  廃車
                     ↓
             Mc6456-M6406-T6553-M6403-Tc6803


 番台区分については京王6000系のトップページを参照。

 7000系
 
6000系と同じだが、登場時は5連。後に6連化されたが4M2Tとなったため、サハ6550だったところがデハ7150になる。6000系になかった付属の4連は中間電動車ユニットということで200番台となったため、同じ200番台のなかに基本用と付属用が混在することとなった。
 7000系の形式は以下の通り
 デハ7000形(M1):7001〜 6連・8連のデハ
          7021〜 10連のデハ。ビートプレスボディ
          7101〜 6連・8連のデハ
          7121〜 10連のデハ。ビートプレスボディ
          7201〜 4連のデハ。ビートプレスボディ
          7208〜 8連(界磁チョッパ編成)のデハ
          7221〜 10連のデハ。ビートプレスボディ
 デハ7050形(M2):7051〜 6連(界磁チョッパ編成)・8連のデハ
          7071〜 10連のデハ。ビートプレスボディ
          7151〜 6連・8連(VVVF編成)のデハ
          7172〜 10連のデハ。ビートプレスボディ
          7251〜 4連のデハ。ビートプレスボディ
          7262〜 8連(界磁チョッパ編成)のデハ
          7271〜 10連のデハ。ビートプレスボディ
 デハ7400形(Mc):7421〜 2連の新宿方デハ。ビートプレスボディ
 サハ7500形(T1):7506〜 8連(VVVF編成)のサハ。M7106〜の電装解除
          7521〜 10連のサハ。ビートプレスボディ
 サハ7550形(T2):7554〜 6連(VVVF編成)のサハ。M7054〜の電装解除
          7556〜 8連のサハ
          7571  10連(VVVF編成)のサハ。ビートプレスボディ。M7171の電装解除
          7572〜 10連のサハ。ビートプレスボディ
          7671  10連(VVVF編成)のサハ。ビートプレスボディ。T7571の改番
 クハ7700形(Tc1):7701〜 6連・8連の新宿方クハ
           7721〜 10連の新宿方クハ。ビートプレスボディ
           7801〜 4連の新宿方クハ。ビートプレスボディ
 クハ7750形(Tc2):7751〜 6連・8連の八王子方クハ
           7771〜 10連の八王子方クハ。ビートプレスボディ
           7851〜 4連の八王子方クハ。ビートプレスボディ
           7871〜 2連の八王子方クハ。パンタあり。ビートプレスボディ

 なお、2003年度から制御装置の更新(界磁チョッパ→VVVF)が行われるようになり、それに合わせて一部車両の電装解除が実施された。
 その結果、かなり複雑な改番も行われている。
 ← 八王子
 新製時 Tc7754-   M7104-M7054-M7004-Tc7704
                ↓
 6連化  Tc7754-M7154-M7104-M7054-M7004-Tc7704
                ↓
 VVVF化 Tc7754-M7154-M7104-T7554-M7004-Tc7704  M7054を電装解除

 ← 八王子
 新製時 Tc7756-   M7106-       M7056-M7006-Tc7706
                ↓
 6連化  Tc7756-M7156-M7106-       M7056-M7006-Tc7706
                ↓
 8連化  Tc7756-M7256-M7206-T7556-M7106-M7056-M7006-Tc7706  7100台ユニットを7200台に変更。新規に7550-7100を組み込み
                ↓
 VVVF化 Tc7756-M7156-M7106-T7556-T7506-M7056-M7006-Tc7706  M7106を電装解除。7200台ユニットを7100台に復帰

 ← 八王子
 新製時 Tc7771-M7271-M7221-T7571-   M7121-   M7071-M7021-Tc7721
                     ↓
 10連化 Tc7771-M7271-M7221-T7571-M7171-M7121-T7521-M7071-M7021-Tc7721
                     ↓
 VVVF化 Tc7771-M7271-M7221-T7671-T7571-M7121-T7521-M7071-M7021-Tc7721  M7171を電装解除しT7571に変更。T7571をT7561に改番
 

 8000系
 0番台は6+4編成なので7000系と同じ。8連は4M4Tとなったのでサハが中間に2両入るようになった。
 8000系の形式は以下の通り
 デハ8000形(M1):8001〜 6連・8連のデハ
          8101〜 6連・8連のデハ
          8201〜 4連のデハ
 デハ8050形(M2):8051〜 6連・8連のデハ
          8151〜 6連・8連のデハ
          8251〜 4連のデハ
 サハ8500形(T1):8521〜 8連のサハ
 サハ8550形(T2):8571〜 8連のサハ
 クハ8700形(Tc1):8701〜 6連・8連の新宿方クハ
           8801〜 4連の新宿方クハ
 クハ8750形(Tc2):8751〜 6連・8連の八王子方クハ
           8851〜 4連の八王子方クハ

 1000系
 
96年にデビューした1000系は、一見すると3M2Tのように見えるが、真ん中の1両はパンタ付きのサハであるので実際は2M3Tである。
 ←渋谷
 Tc1751-M1101-T1501-M1001-Tc1701
 
サハは、補機類をほとんど搭載していないこと(バッテリのみ)、パンタを搭載しM1相当であることから1550形ではなく1500形になったと思われる。
 1011F以降はMT比の見直しを行い、サハ1500形がデハ1050形となった。
 ←渋谷
 Tc1761-M1111-M1061-M1011-Tc1711

 9000系
 現時点での最新形式。0番台は8000系8連と同様の4M4Tだが、補機類がM2に集約されたのでTはブレーキ関係の機器しか搭載していない。それでもサハが9550形と9500形に分かれたのは、編成毎の末尾を揃えるのと、貫通扉の有無のためと思われる。
 2006年に都営乗り入れ対応の30番台車が10連で登場。5M5Tとなった。
 ←八王子
  0番台 Tc9751-M9151-M9101-T9551-T9501-M9051-M9001-Tc9701
 30番台 Tc9781-M9281-M9231-T9681-T9581-M9131-T9531-M9081-M9031-Tc9731

 

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修正:2003年5月