海外におけるパイオニア 当サイトの目的

 

   

   安部公房は世界でただ一人、言語で現実を創造する

   ことを試みた、稀有な作家だ。

   「前衛文学の旗手」

   「世界最前衛作品」

   といった評価の真骨頂は、正にそこにある。

   そして小説群は、世界各国で翻訳され、常に新しい、

   若い読者を、繰り返し獲得し続けているところに、

   その魅力と普遍性を見ることができる。

   さらに、日本の他の作家達の翻訳が、資本主義国に

   に偏ってされているのに対し、安部のそれは、旧共

   産圏・中南米に至る、文字通り世界中で翻訳され、

   地域を越え読者を獲得し続けている。

   スウェーデン王立アカデミー委員は

   「大江健三郎がノーベル文学賞を取りましたが、も

   し安部公房が生きていたら、先に取っていたんじゃ

   ないですか」

   という島田雅彦氏の質問に、なんの躊躇もなく

   「もちろん、そうでしょう」

   と答えたとのこと、急逝が惜しまれる。

 

   東京大学医学部を卒業。

   着脱式チェーン「チェネジー」で、国産発明家エキ

   スポ銅賞を獲得。

   演劇集団「安部公房スタジオを率い演劇技法「安部

   システム」を確立。

   演劇の中では、自身の作曲を披露し、小説には自身

   の写真も発表した、既成のマルチタレントを越えた、

   真のルネスサンス人だ。         

   ところが、『安部公房』がワシントン・ポスト、ニ

   ューヨークタイムス、リベラシオンへの寄稿や、国

   際ペンクラブ、ユネスコ円卓会議等における講演等

   を通じ、小説家安部公房といった枠を超え、「現代

   を代表する、日本が生んだ世界の知性」と評されて

   いたことは、日本では、あまり紹介されていない。

   川端康成や三島由紀夫を、ローカル・ジャパンが生

   んだ、日本人作家達の先駆者と位置付けるなら、安

   部公房は、日本人として真の意味で、グローバル・

   ジャパンを代表する知性という評価を世界で勝ち得

   た、最初の日本人作家と言えるのだ。

   安部公房の前衛性は、世界文化にとっての前衛性で

   あり、安部公房の論文は、プロトタイプな発言と独

   自性をもって、世界のあらゆるジャンルの、先端に

   位置する知性達に、常に、拍手をもって迎えられ続

   けた。   

   晩年、海外のメディアは、作家としてではなく、

   「現代社会の混迷を解く鍵をもつ知性」の代表とし

   て、安部にコラムの掲載を依頼した。

   新潮社から刊行された二冊の本、「都市への回路」

   と「死に急ぐ鯨たち」は、当時発表された寄稿文や

   インタビューで構成された、貴重な資料である。

   今後その重責は、安部公房全集に引き継がれること

   になる。

   没後10年、安部公房の再評価を求める声が聞かれ

   だした。

   だが、正当な再評価は、巷が言うように小説家とし

   てだけでは、まったく、こと足りない。

   私が当サイトを公開した理由は、そこにある。

   したがって、他の安部サイトとは、まったく別なも

   のとなることを、了承いただきたい。

   (演劇における「安部システム」の体系的な研究も

   急務であるが、それは、その筋の弟子がいるはずで

   あるから、お任せしたい)

 

   さて、本題に入ろう。

   安部公房には、ライフワークがあった。

   動機は、満州における幼少期の体験に遡り、その探

   究は、亡くなられる直前まで続いた。

   そのライフワークは、安部公房が心血を注いだ、も

   うひとつの「安部システム」である。

   安部公房はそのシステムの骨格を提示し、詳細まで

   の完成できずに世を去ったが、作家安部公房の評価

   に比肩する、科学的発見及び成果がそこには確かに、

   ある。

   それらを、拙書

   「もうひとつの安部システム−師安部公房、その素

   顔と思想」本の泉社 1,700円

   にまとめ2002年9月出版したので、どうかご覧いただ

   ければ幸いだ。

 

       私は没前約8年弱、安部公房に師事した。

   このサイトで、安部公房という日本が生んだ知の巨

   人の“鉱脈”から、まだ、世に伝わっていない、も

   しくは研究者から見落とされている、あらたな“原

   石”を研磨し、積極的に紹介していきたい。

   若き、名もなき研究者のために。

    私自身もかつて、安部に、そうしていただいたように。   

   作家安部公房の再評価は、それらを含めてなされる

   時代が、そろそろ来ることを祈念して。

   

参考   海外での安部評価

第四間氷期

アメリカ、ソビエト、ハンガリーで出版。

他人の顔

アメリカ、デンマーク、ソビエト、チェコで出版。

砂の女

小説 23ヶ国で翻訳

フランス最優秀外国文学賞

映画カンヌ映画祭審査員特別賞

映画 サンフランシスコ映画祭外国映画部門銀賞

燃えつきた地図

ニューヨークタイムス 外国文学ベスト5に選ばれる

アメリカ、イギリス、ソビエト、スェーデンで出版。

アメリカ コロンビア大学 「名誉人文科学博士」称号(日本人作家初)

アメリカ芸術・科学アカデミー名誉会員

ワシントン・ポスト リベラシオンに寄稿 ニューヨークタイムスで安部特集

第十回国際発明家エキスポ'86(ニューヨーク)銅賞 (タイヤチェーンで) 
「友達」ニューヨーク上演・・・演劇(演出・ジョン・デュロン・・・他演出によりパリ等でも上演される
安部公房スタジオ「仔象は死んだ(イメージの展覧会)」アメリカ巡業公演・・・演劇

特にニューヨーク前衛演劇の砦「ラ・ママ」では通路、階段、ミキサー室まであふれ、ニューヨークタイムスに

「・・・今後、アメリカ演劇界にセンセーショナルな影響を与えるであろう」と絶賛される

1996.(没後)ニューヨークで安部芸術全貌表出を目指した、おおがかりな「安部公房記念祭」が開催された

 

これから、安部作品にふれる方のために