W第四間氷期

 

作品紹介

巨大な津波が発生。

大陸に向い、猛スピードで押し寄せはじめた…。

 

研究チームの中心人物であるはずの彼。

ところがことは、どうも彼ぬきで

進んでいる様である。

真相を追究し糾弾する手立てに、奔走する彼。

しかし、彼の思考のプロセスと限界を知り尽くす

コンピューターの、予測以上の結果を出せない

生みの親でもある彼は、コンピューターの指令に

よって、抹殺の危機にさらされる。

彼の残された選択は…。

 

昭和34年講談社から出版された、この作品は

マスメディアの憎悪と賞賛の渦のなかで、始めて

海外の知識人に、日本における現代文学の誕生を

知らしめた作品である。

また、SFの先駆けとなり、様々な若かりし巨匠

たちの‘パイオニア’‘道しるべ’となった。

当時、日本の資本で映画化が、すんでのところで

頓挫し、ハリウッドでの映画化の話は定期的に、

今日まで、検討され続けている。

今、日本の手で製作し、オスカーを手にするプロ

ットと構造を併せ持つ純正品は、この作品化にお

いて、他あるまい。

当時は、巨大な部屋におさまる機材で、ようやく計算

ができる程度のもので、先端技術者においても‘人工

知能’など絵空事でしかなかった、コンピューター技

術のレベル。

その時代の安部の想像の結果としての、創造物である

この作品が、いかに現在からみて、リアルを超え現実

そのものか…

このことを考えるに付け、安部の価値を痛感させられ

る。

人間の遺伝情報として、越え難く設定されている、人

間関係の処理。

養老猛は、“脳を包括する脳”を自ら実験的に模索し

つつ、“脳を包括する脳が管理する社会”に希望を見

出せず、脳自身が改変(成長)する可能性に期待する

と述べている。

この作品の価値の解読は、読者の能力を残酷なまでに

試す作品といえる。