Y他人の顔

 

作品紹介

薬品事故によって‘顔’をなくしたぼく。

包帯越しに見る、欠落した光景。

‘顔’に囚われれば、囚われるほど、

そして、‘顔’を知れば知るほど、

ぼくは、他者との通路を見失ってしまうのだ。

そして、他者との通路を取り戻すべく

作成した‘他人の顔’でぼくは、

もっとも近く、遠い隣人、

‘妻’を誘惑する…。

 

元来、雑誌の連載が、初版。

それに対して、正に「消しゴムでかく」安部は、

連載という形式が、自分のスタイルにあわない

ことをこの時点で、はじめて気づいたと、言っている。

結局、連載のものとはかけ離れた、比類なき完成度

を単行本はみることとなる。

医学の素養とともに、リアルな造語(=密会の‘人間関係中枢’

のような)の創造も、この作品に遡って発見することができる。