麻雀観

たまに話題になるので「麻雀観」みたいなところについても話しておこう。

麻雀観? 麻雀をどう考えるのかってこと?

「麻雀はこうあるべき!」みたいな考え方じゃな。

野球でも一昔前は豪快にホームラン打って、先発ピッチャーは9回まで投げるのがカッコイイみたいな考え方もあったが、最近は「スモールベースボール」なる言葉も生まれて、バントや盗塁などの技を使い地道に点数を稼ぐスタイルが評価されたりもする。

そんなスモールベースボールもある人からすれば「せこい野球」などと非難されたりするわけじゃな。

麻雀もそれなりの歴史があるので、古くからやっている人には特に「麻雀はこうあるべき」」という独自の考え方が根強いわけじゃよ。

相撲でも横綱はこう勝たなきゃいけない! みたいなのはあるわよねー。ただ勝てばいいってわけじゃないみたいな!

特に古くからやっている人は美意識なんかが強い。

逆にネットで麻雀始めた人なんかは、麻雀は純粋なゲームだから、純粋に勝てばいいって話になっとるかもしれん。
そういった麻雀観の代表的なものを紹介すると「迷惑をかけない」とか「責任をとる」とかいう言葉が用いられるわな。

例えば「ドラ」を相手にポンさせるような行為を「迷惑な行為」と言ったり、実際にやってしまったら、責任をとって自分が勝負しにいったりとかじゃな。

ドラをポンさせてしまう行為は迷惑なの?

う~ん、これもその人の麻雀観によるかもしれんな。

ドラがいらない、自分があがるためにドラが必要ないという理由で捨てたんじゃから、それを迷惑と言われても困るかもしれんし。

「相手に迷惑をかける」ってのも、麻雀は純粋に相手を蹴落として自分が勝つためにやってるならば、相手に迷惑かけてなんぼのもんだろうという話にもなるじゃろう。

いくつか著名な方の発言も引用してみよう。

麻雀本を斬る!麻雀ゲームを斬る!」さんからの孫引きになるが、石崎 洋プロの「ポン」「チー」などの鳴きに特化した「プロ麻雀魂〈其の4〉韋駄天」という本があるが、その中にこんなことが書かれている。

引用元:プロ麻雀魂〈其の4〉韋駄天

鳴きの最大の目的は、相手よりも早くアガることである。その為に、守りを放棄していると言ってもいい。極端な話、いったん鳴き出したら、アガリきるか、打ち込むかのどちらかである。そういう認識でいた方が、正しいと思っていただきたい。仕掛けに放銃はつきものなのだ。したがって、仕掛けた以上はより確実にアガリきりたい。

石崎洋/いしざきひろし
日本プロ麻雀連盟所属のベテラン雀士。早い仕掛けであがりきる雀風から「韋駄天」の異名を持つ

ポンして仕掛けていったら、あがるか? 相手に振り込むか? のどっちかにしろって話なのかしら?

どうなんじゃろうな。否定的にいえば、ポンした場合でも、自分に不利だと思ったら逃げたらいいわけじゃし、別にそれは自由じゃないのかと思ったりもする。あるいは、石崎プロの言うように、仕掛けるってことは、ある意味で玉砕戦法みたいなところがあるのかもしれんしな。

もうひとつ、とつげき東北君と、麻将連合のスーパーデジタルの異名を持つ小林剛プロの書いた「麻雀@ 5号[雑誌]」のコラムより紹介しよう。彼らは「迷惑をかける」とか、そういう考え方がないし、純粋にゲームとしてどうやって相手に勝つかを基本としている。

引用元:麻雀@ 5号 ホンマにええんか?

「もう少しがんばればいい手になるのに」「そんな絵合わせ麻雀で面白いのか?」「東1局から1鳴きして1000点かよ。せこいなあ」 麻雀をしていれば、こんな声を聞いたことがある人は多いだろう。これらすべて「麻雀の基本は、メンゼンで高い手を作り、リーチをかけること。鳴きは非常手段」という考え方からきているのではないだろうか。

コラムではこの後、こういった従来の考え方に疑問を投げかけておるわけじゃな。

小林剛/こばやしごう
麻将連合所属のプロ雀士。スーパーデジタルの異名を持つ、雑誌などの連載が多数。今日で最強の呼び声も高い若手プロ。

確かにあるわねー。基本はメンゼンでリーチするって感じ。なるべく高い点数を狙うとか。

これは価値観が分かれているわけじゃよ。「東大を出たけれど 」の原作でも有名な須田良規プロも「メンゼンにこだわらない」と言っているし、その場その場で自在に適した選択をすると言ってるわけじゃな。

他にも麻雀に「ツキ」とか「流れ」を持ち込むか? で、その人の立場が分かれたりする。

須田良規/すだよしき

日本プロ麻雀協会所属のプロ雀士。近代麻雀にエッセイ「東大を出たけれど」を連載。同名で漫画化もされた。人望も厚く賛同者も多い。

デジタルとオカルトよねー。

先に「麻雀のイカサマ」のページで紹介した「小手返し」という技がある。

これも麻雀ライターの福地君に聞いてみたんじゃが、確かに、一昔前は技術として存在してたらしいんじゃな。早業でツモした牌を、自分の手の中に入れてしまう。

ただし、これを麻雀の技術として認めるのか? って部分が、けっこう麻雀観が分かれる要素じゃと思う。

どういうこと?

うーん、小手返しが上手いってのは、つまり「手先が器用」って話になるじゃろう。この手先の器用さを「麻雀の強さ」の範疇に含めるかどうか? って話になる。

これについては、天才の異名を持つ日本プロ麻雀協会の田中太陽プロが雀賢荘のメールマガジンの中で『麻雀の強さの範疇は?』というコラムを書かれているので参考にするといいかもしれん。

そういうわけで、どれが正しいのか?

ってのはワシにはよくわからんが、いろいろな人の意見を読んで見るとええじゃろう。

田中太陽/たなかたいよう

日本プロ麻雀協会所属のプロ雀士。ネット上では「筋肉拳バンボロ」のIDで活躍中。才能溢れる姿は「天才」と称される才人。ネット配信などの活動も行っている。





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