咲-saki-麻雀解説 第1話 2


前回からの続きなんで未読の方は「咲-saki-解説 第1話 1」をドゾー。

あと、ネタバレもしてるのでご注意ください

さて、雨の音に気づいて麻雀部の部長さんが起きてくるわけじゃな。その時の咲ちゃんの手配を見てこうつぶやくわけじゃよ。

きれいな手はってるじゃない。タンピンサンショク 最低でも7700点か・・・

    (咲の手牌)

『はっている』とは、テンパイしている、つまり、あがりの一歩手前まで来てる状態を意味するんじゃな。(2・5)が来れば最後の3枚1組が完成する。誰かが当たり牌を捨てる「ロン」か、自分であたり牌を引いてくる「ツモ」で終わりという状況じゃよ。

タンピンサンショクじゃが、これは3つ麻雀役を意味する略語なんじゃな。

・タンヤオ

・平和(ピンフ)

・三色同順(サンショクドウジュン)

前回もやりましたが「サンショク」はこの場合は「三色同順(サンショックドウジュン)」を意味しますネ。

  

違う数字の種類で「678」のように同じ順番で集めます。

ちなみに、同じ「サンショク」という場合でも

  

このように、3枚同じ牌を集める「三色同刻(サンショクドウコウ)」を意味するケースもありますが、この場面では「三色同順」の方です。同じ三色でも「三色同刻」の方が、はるかに難しいですね。

それから、さっきも出たけど「タンヤオ」ね。

これは数字の2~8だけで作る役よねー。

漢字の書かれた牌と、数字の1と9を使わない。

(数字の1と9)+(漢字の牌)

それから、平和(ピンフ)という新しい役が登場する。短く言うと「ピン」じゃな。

これが麻雀の基本的な役なんじゃが、条件がややこしいんじゃな。

これは麻雀ルール・麻雀入門の最後「基本役としてのピンフ」で紹介しておるよ。

まあ乱暴に言ってしまうと手の中に

 や  のように同じ牌3枚の組(刻子/コーツ)がない場合、

つまり全部が

 や  のように数字の3連続(順子/シュンツ)という条件なんじゃな。

あと、プラスアルファで少し条件があるんじゃが、今回の咲ちゃんの手は平和(ピンフ)の条件満たしておるよ。

この局で咲が最終的にあがった形です。

     ロン

部長さんが不思議に思うのもわからんでもないわな。

 と  を入れ替えていることで、「三色同順」も「タンヤオ」も消えてしまってるわけじゃよ。7700点の手が、ピンフのみの1000点まで落ちる。

さて、ここから咲ちゃんの打ち方の謎に迫るわけじゃが、こんな会話になる。

「宮永さんのスコアは三連続プラマイゼロ・・・ まさかそれが故意だとでもいうんですか?」

「んなバカな、たまたまっしょ」

「そうだじょー、麻雀は運の要素が大きいからプロでもトップ率3割いけば強いほう。それをプラマイゼロなんて、普通に勝つより難しいじぇ」

「しかも、3回連続って不可能ってかい? でも圧倒的力量差があったとしたら?」

私も知らなかったんだけど、プロでも1位になるのは3割ぐらいなのね。

確かにこのセリフにあるように麻雀の成績を比べる場合に、10回ぐらいの回数では、運の要素が強すぎてあんまり意味がないんじゃよな。

野球に例えると開幕戦から1,2試合好調で10打数8安打で、打率8割、イチローよりスゲーっていうようなもんじゃよ。イチローがすごいのは、年間で700打席ぐらい立ってその中で打率を3割残している部分じゃろう。

参考までに、かつてインターネット雀荘「東風荘」にその人ありと言われ、今もなお数多いネット雀士の中でも「最強」の声もある氷室氏という人物の成績を紹介しておこう。

氷室さんの成績ですねー。場所は東風荘の「超上級ランキング卓」です。

短期815試合では

1位270回、2位210回、3位186回、4位149回

トップ率 0.331 ラス率0.182

長期3402試合では、

1位1055回、2位860回、3位805回 4位682回

トップ率 : 0.310 ラス率:0.200

1000試合以上の成績、これでかなり驚異的な数字なんじゃな。

ただし、メジャーリーグの打率3割と草野球での打率3割を比較しても意味がないように、どこでやるか?ってのも重要じゃな。

氷室氏が初心者相手に1000試合やれば、トップ率はもっとあがるじゃろうし、逆にもっと強い相手の中で試合すれば、トップ率は下がるはずじゃな。

この数字でいけば、どんなに強い人でも計算すると、10回試合すれば、2回ぐらいは最下位になっちゃうのね。

麻雀大会なんかでは、せいぜい5,6回の勝負じゃと思うので、誰が勝っても不思議ではないんじゃよな。実力差があれば100回試合をして100回負けることになる将棋のようなゲームと違い、麻雀は運の要素もあるので、相手がどれだけ強くても少ない試合なら初心者が勝ち越すこともある。

じゃあ、この3回連続プラマイ0を狙うってのはどうなのかしら? 現実の世界ではできるのかしらね?

それに関してなんじゃが、麻雀ライターの福地君に質問してみたわけじゃよ。

福地さんって、月刊ネットマージャンで「カンチャン待ち麻雀人生相談」を連載している人よね。ふらっと現れては、迷える雀士を正しい道に導くっていう・・・。

アカギ悪魔の戦術 (近代麻雀コミックス) 教育格差絶望社会 (洋泉社ペーパーブックス) 福地誠 東京大学教育学部卒。雑誌「近代麻雀」の編集に関わった後、フリーライターへ。麻雀関連の著書も多く、現在も近代麻雀に連載を持つ。近年は教育問題のライターとしても注目されている。

プロ級の腕を持ちながらも、麻雀プロのように組織に属することを嫌い、雑誌「近代麻雀」の編集に関わった後に、野に下って、人々の麻雀文化や戦術を観察し続ける。そして日本の教育制度の未来を憂いている麻雀ライター!それが福地誠先生です。

現在も雑誌、近代麻雀にてコラムを連載中。コンビニで見かけたら、立ち読みしてくださいね! 「アカギ悪魔の戦術」や「天 逆転発想の秘術」など麻雀漫画を題材にした戦術など麻雀関係の著書も多数!

実際、3回連続プラマイゼロを狙えるのか? 相手との力量差があれば可能なんか?って話なんじゃが、こんな答えが返ってきたぞぃ。

伝説の麻雀ライター福地誠先生に質問です。

Q1 福地先生クラスならば、3回連続でプラマイ0を狙ってできますか?

絶対に無理ですね。

Q2 相手との力量差があったら可能でしょうか?

相手が動物園の猿レベルなら可能ですけど、小学生レベルになったらもう無理ですね。つまり、ルールを知ってる相手には不可能です。

身も蓋もないシンプルな答えですねー。

けど、福地さんってそこそこ強いけど、プロではないんでしょ? トップクラスのプロならどうなのかしらね?

そういう疑問もあるかと思い、今度は日本プロ麻雀協会のトッププロ、智将・須田良規プロに同じ質問をしてみたわけじゃよ。

東大を出たけれど』の原作者の方よね?

須田プロは東京大学を卒業した後、雀荘でアルバイトをし、麻雀プロになったという異色の経歴の持ち主なんじゃな。

東大を出たけれど (近代麻雀コミックス) 東大を出たけれど 2 (2) (近代麻雀コミックス)
原作:須田良規 漫画:井田ヒロト
東大を卒業しながら雀荘で働くことを選んだ須田氏自身の体験をもとに展開するストーリー。派手さが持ち上げられる麻雀漫画の中で、現実に即したストーリーが受けヒット中。

雑誌近代麻雀で自身の体験を元にしたエッセイ「東大を出たけれど」を連載しているし、井田ヒロトさん作画で漫画にもなっておる。

咲で麻雀そのものに興味を持った方はぜひ読んで見るといいじゃろう。萌えとかそういうのではないが、悲哀に満ちたストーリーは、なんていうか文学的なんじゃな。

奥村先輩は負けないくらい萌えキャラ! 咲とは毛色が違いますが、面白いですねー。

質問してみると、麻雀漫画原作者らしい答えが返ってきたぞぃ。

日本プロ麻雀協会 須田良規プロにお聞きします。

Q:3回連続でプラマイ0を狙ってできますか?相手との力量差があったら可能でしょうか?

あー咲ですか。

答えだけ先に言うなら、偶然に頼らない限り1回も出来ないでしょうね。

だいたい咲という漫画は、萌え要素において他の追随を許さない完成度を誇っていますが、最初のその設定だけは微妙だったと思うんですけどね・・・。

まあ好意的に解釈すれば、相手の手牌を見透かしたり自分のツモ牌を操ったりする超常的雀力があることの証ではあるのですが、こと麻雀漫画の能力としては地味過ぎてその後は生かしにくいのではないでしょうか。

むしろ、「リンシャンで必ずツモる」という単純かつ荒唐無稽な能力の方がよっぽど使いやすいのではないかと思いました。

ちょっとそこまで詳しく読んでいないので分かりませんけどね。

あ、嘘です。結構読んでます。

麻雀のストーリー書いたりする人には参考になりますね。

ものすごいシュートな発言。お忙しい中、ありがとうございました!

麻雀漫画ってやっぱり普通に打ってたらストーリーに変化がないから、どうしても現実離れした展開になるわよねー。アカギとかも、実際にあんな打ち方できないけど、逆にそれが面白いってわけだし。

どうしても超能力合戦みたいな展開や、血を奪い合ったりみたいな展開になるわけじゃが、それが面白みにもなってるわけじゃな。逆に「東大を出たけれど」なんかは、現実の世界の範疇の中でストーリー展開しているわけじゃし、麻雀漫画の楽しみ方にもいろいろあるわな。

実際、ネットでもゲームできるので「3連続プラマイゼロ」ってのを狙ってみたら、いかに難しいか?ってのがわかるじゃろうし、逆にいかに咲ちゃんのやってることがすごいのかってのもわかるじゃろうし。

じゃあ、やっぱりトッププロでも無理なんだから、この世界では3連続プラマイゼロなんてできる人はいないってことよね。

うーん、できるかどうかわからんが、3連続プラマイゼロをひょっとしたら実現できる人間の心当たりはある。ワシの思いつく限りでは、この世界に3人ぐらいじゃろう。

3人もいるの?科学する麻雀のとつげき東北さん?

いや、違う。科学する麻雀がヒットし、ネット麻雀界のカリスマと呼ばれるとつげき東北君でも、さすがに3連続プラマイゼロは無理じゃろう。

可能性がある一人目としては、おそらく佐々木寿人

フリー雀荘で1000万円貯めた男としてなりものいりでプロデビュー。現在は日本プロ麻雀連盟に所属するプロ雀士ですね。相手が考える暇もないくらいの圧倒的スピードの打牌、ポンやチーを駆使して、果敢に攻撃してくる超攻撃型の雀風が特徴の雀士ですね。

確かに、佐々木寿人ならひょっとしてって感じはあるわね。

二人目は?

二人目は、先にも名前が出た東風荘の氷室氏も可能性はあるかもしれんな。

最近、表舞台にはあまり出てこんが「最強」の称号が示すように、トッププロをしのぐと噂される実力を持ってすれば、三連続プラマイゼロも可能かもしれん。ただし、年々麻雀の戦術も変化しているので、彼の強さがただの都市伝説なのか? あるいは本物であるかは、彼自身が証明することになるじゃろう。

最後の一人は?

最後の一人は、その秘めた膨大な才能と華麗な麻雀から、智将・須田良規プロをして「天才」とまで呼ばしめた、日本プロ麻雀協会の田中太陽プロじゃろうな。

この3人なら三連続プラマイゼロという漫画チックな技も可能性はある。

田中太陽プロって、プロでも下のリーグの人じゃないの?

おそらく彼はムラッ気が強いんじゃよ。リーグ戦に真剣に取り組めないんじゃないか。

魔王  秋山成勲 二つの祖国を持つ男 (kamipro books) kamipro No.131 (エンターブレインムック) 田中太陽(たなか たいよう) 日本プロ麻雀協会所属のプロ雀士。プロ雀士としてMJ、雀ナビなどに参戦する傍ら、雑誌Kamiproにてスポーツライターをつとめる。2009年には格闘家秋山成勲を題材にした著作「魔王」を上梓している。

逆に、こんなエピソードがある。麻雀プロはネットマージャンに参戦することを嫌がるんじゃな。賞金は出ないし、ヘタなことやったら2chとかで叩かれるじゃろう。そんな状況下で、田中太陽プロは堂々と実名を公開して単身でネット麻雀「天鳳」に乗り込んだんじゃな。そこで、瞬く間に八段という地位まで登りつめ、自分の役目を終えたと知ると、とっとと消えてしまった。

ひょっとしたら、こういう天邪鬼さやムラッ気が上層部の人に疎んじられている原因かもしれん。

日本プロ麻雀協会の会合で、代表の五十嵐プロと同じテーブルに座っていて、みんなが全員に挨拶する中で、田中太陽プロには誰一人、声をかけることができなかったというエピソードもありますね。

おそらく、その時、発していた天才のオーラのようなものに、新人の女流プロレベルでは誰一人近寄れなかったんじゃろうと思う。

彼のような才人が、本気になった場合には咲ちゃんのような「三連続プラマイゼロ」みたいな技も可能かもしれんな。

咲の世界にもいっぱい能力持った人がでてくるけど、現実の麻雀世界にもいろいろな人がいるのねー

さて、第1話の最後のシーンなんじゃが、点数計算もあって、やってることはすごいが、ちとややこしいんじゃな。なんで、次回に続くぞぃ!




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