初心者のための咲-saki-麻雀解説 第9話「開眼」 2

井上さんのポンがありなのかどうかって話よね。
染谷まこ「なんでそこでをポン」
竹井久「流れを変えるとかじゃないの?」

これわなー、けっこう変則手じゃよ。これを今回は検証してみよう。ここからポンするかどうか?って話になる。

    

実際、井上さんがをポンするわけなんじゃが、普通に考えたらやらないポンじゃろうな。「なぜやらないのか?」という部分で、考えてみたい。

・ポンすると役がなくなりそう
ポンやチーをするとリーチができなくなるんじゃな。ここからをポンすると、役がないのでそろったのはいいが、あがれない可能性がある。初心者にありがちなのは、ゲームなんかで「ポンしますか?」「チーしますか?」と聞かれるので、とりあえずポンしてみる。けど、役がないのであがれませんというパターンじゃな。

ここからポンした後に役をつくらないといけない!

現実的に考えるならを3枚集めての「役牌」なんじゃが、まだ3枚集めて確定しているわけではないので、けっこう不安定じゃよな。

もしくは、かなり強引に考えてここから

  の三色同順とか? いや、まあ無理があるじゃろう・・・。

・手が進んでない

むしろ、こっちのほうが問題じゃよな。

を1枚相手からポンでもらって、後で自分で1枚捨ててたら、実質それは意味ないじゃろう。

先に説明したように、麻雀は ・・・三向聴→二向聴→一向聴(イーシャンテン)→テンパイ→あがり と手を進めて行く。ポン、チーは相手からもらうことで、この手を進めるスピードをあげるんじゃな。で、昔から麻雀では「シャンテン数」が変らないポン、チーは悪手といわれるんじゃなー。手が前進していないポンやチーは、意味がないって話なんじゃ。

今回の井上さんのケースはポンしたが、一向聴は一向聴のままで、手が進んでない。なら、別にやらなくてもいいでないのってのが常識的な考えになると思う。

ポンやチーするってことは、ツモをする権利を1回放棄していることになるので、それに見合ったものがないとやる意味ないじゃろうって感じになるのか。
ポンすることで流れを変えたってことじゃないの? 亜空間殺法?
流れを変える(笑)
前回、チラっと触れたが「亜空間殺法」について、もう一度考えてみよう。

これはもうお亡くなりになられたが、安藤満プロが考案したもので、言葉で説明すると「わざとムチャクチャな鳴き(ポン、チー、カン)をすることで、ツモや運の流れを変えたりする」ってことになっとる。

昔から麻雀は「運」「ツキ」をコントロールするみたいな発想があって「好調な人からポンをすると、その人から運を奪い取る」みたいな話があったんじゃな。

が、今の時代になって、さすがにこういうのは非科学的な発想ということで、否定される傾向にある。

現実的にこのポンに意味を見出すならばポンをすると、ポンをした次の人からツモするので「順番ずらし」「順番とばし」の効果はあるかもしれん。人によっては順番飛ばされる結果になる。

というわけで、これは専門家である伝説の麻雀ライター福地君に、このをポンするかどうか、質問してみたわけじゃよ。こんな回答をいただいた。
普通だったら、ここからポンはあり得ません。

まさに、流れを変える鳴き、あるいはツモをずらす鳴きですね。
故・安藤満プロの亜空間殺法でも、このは鳴かないと思います(笑)。


福地誠(談)
え? 安藤プロでも鳴かないってことは、亜空間殺法じゃないってこと?
実のところ、わしも亜空間殺法がどういうものか詳しくはしらん・・・。
不思議に思って、もう少し詳しく聞いてみた。
質問:安藤プロでも鳴かないと思われた根拠はありますか? 安藤プロの打ち方から判断すると、こういうポンは亜空間ではないんですか? 亜空間殺法は「わざと無茶無茶な鳴きをする」という認識では間違いなんでしょうか?

回答:

わざと無茶な鳴きをするって認識はあってますが、その中にもいくつか法則があるのですね。

・ツカないときに流れを変える打法である
・チーからではなく、ポン(orカン)から入る
・上家(左側)からは鳴かず、対面(正面)か下家(右側)から鳴く
・普通の鳴きではなく、不自然な鳴きをする
・見えない役を狙う
・とはいえ、ただの役なしになっても困るので、折り合いがある

てな感じですかね〜。

アンコで持ってる牌をポンして、後でカンするという打ち方は、安藤さんはたぶんしないんじゃないですかね。鳴くなら、いきなりカンすると思います。


福地誠(談)
難しいわな・・・。

この法則から考えるに、亜空間でいくならば、ポンではなくカンから入るとか、ここから、カンした後にあがる咲ちゃんの必殺技「リンシャンカイホウ」を狙いに行くとか、ちょっと常識では考えられないような入り方をするのが、どうも亜空間殺法っぽい。

今の井上さんは別に「ツイてない」ってほどでもないので、本来の趣旨とはやや異なるって感じもする。
ツカない時に流れを変えるのねー。
原村さんも言ってますが、こんなの偶然ですから。

今回はたまたま、この変なポンのおかげで片岡さんに行くはずだったが流れてしまい、最終的にで井上さんはあがっていますが、失敗したら意味不明なポンのおかげであがれないケースもあったんです。

牌をつんでいる山が全部見えているならば可能ですが、見えてたらそれはもう麻雀というゲームではないんです。
まあ、いろいろ意見はあるわな。

これは現実の世界で例えるとじゃなー、その昔、『101回目のプロポーズ』という武田鉄也と浅野温子のドラマがあった。武田鉄也は中年の不細工なさえない男なんで、浅野温子のような美人にまともにプロポーズしたら、ふられるのは確実にわかっておる。

そこで武田鉄也はトラックの前に飛び出したり、大金を競馬に突っ込んだりで、通常では考えられないアプローチで浅野温子に迫る。この予想外の行動が結果的に亜空間殺法ぎみに、通常では絶対にふられていたはずの浅野温子の心をゆさぶったんじゃな。

どうしようもない時に、予想外の行動で活路を見出すというのが亜空間殺法じゃろう。
なにその例え話?
あんまり意味はない。古い例え話で本当に申し訳ない。

ついでに、今回のような一向聴→一向聴のような、手の進まないポンやチーは麻雀では古くから悪手であると言われておると先にも言ったが、今でもそうなのか?ってのも質問してみた。
以前は、シャンテン数の変わらない鳴きすべてをタブー視していて、そこには精神論的なものも入ってました。

でも今はドライになってきて、シャンテン数は変わらなくても、受け入れが増えるならいーんじゃないのって感じになってきてますね。


福地誠(談)
手は進まなくても、待ち受けが広くなるようなポンやチーはいいんじゃないかって話じゃな。
受け入れが増えるってどういことかしら?
例えばじゃな

 

みたいに持っていると、どうしてもをドンピシャでほしい・・・。

けど、をチーすると となって を捨てる。

が残るので、今度は+で待てるので、受け入れ可能な有効牌が増えるんじゃな。こういうのは手は進んでないけど、別にいいって話じゃ。

もう一度言っておくが、安藤プロは強豪として知られておったし、普通に打っても強いが、何か考えに考えて行き着いた先のことなんで、表面だけをまねするのはあまりよくはないと思う。それに麻雀プロとしてのエンターテイメント性などもあると思うので、実際にやるかどうかってのは、まあ別問題かもしれん。
素人にはオススメできないですねー。
ツモ順飛ばしとかは、終盤の間際でやることもあるので、覚えておくといいかもしれん。最後にリーチかかっている人にツモをまわしたくないので、カンをしたりポンしたりというのは、技としてはあるよ。

安藤満の麻雀 秘伝・亜空間殺法 (MYCOM麻雀文庫)
安藤 満
4839913293

亜空間に興味のある人は古本屋とかで見かけたらゲットするといいと思う。が、やはり初心者にはおすすめはできないのが正直なところ。

あと、福地君がコラムを書いてくれたので宣伝しておく!


初心者のための咲-Saki-麻雀解説 第7話 4
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