咲-saki-麻雀解説 第2話「勝負」1/3
2話以降は未定じゃったが、メルにせかされたので、やらせていただくことにした。結果的に多くの人に見ていただけるというのは、非常に光栄なことじゃな。
れいによって、ネタバレしてる部分もあるのでご注意を。
そんな長くもならんし、せいぜい、気になった部分や、初登場の麻雀役などの紹介じゃな。せめて前後編ぐらいにはまとめたい・・・。
ところで、なんで、そうせかす? 何かあったの?
デジタル麻雀VSオカルト麻雀
私たち、大阪の谷町九丁目で麻雀講座をやってるじゃない。それで、大阪って咲の放送が関東より遅れてるわよね。
第1回目の放送は4月10日。
これって、雀聖・阿佐田哲也さんの命日と同じだって気づいたのよ!しかも、今年は没後20年っていうし。そのタイミングで「咲-Saki-」っていう新しい時代の麻雀アニメがはじまって、そして、大阪での記念すべき1回目の放送日が重なった!私たちは大阪にいる!
「麻雀覚えたがってる人が今の世の中にもたくさんいるんだね。君みたいなかわいい女の子が麻雀うってるじゃないかだったら、もっと麻雀の楽しみ方を教えてやりなよ」
そんな阿佐田さんの声が聞こえたような気がしたのよ!
だからこそ、できることをやってみようと思ってせかしたのよ。
きっと運命みたいなものよねー。
いやー、単なる偶然っすよ。偶然っすねー。
春の新番組のスタート時期だったてのと、大阪が東京に比べてド田舎だったってだけです。
しかもですよ、声とか聞こえ出した本当にヤバイですよ。健康状態を心配してください。
麻雀で聞こえていい声は「捨て牌3種の声」までがギリセーフです。それ以外の声が聞こえたらアウトです。
冷たいこというわねー。
ここまで偶然が重なったら、もう奇跡じゃないの。きっと運命みたいなものが、このサイトにはあるよ!
麻雀でもそういうこと言う人いますよね。
「俺に流れがきている」とか、「この役満はあがる宿命がある!」とか、オカルトなことを言う人。「相手に振り込むとツキが落ちる」とか、ツイてる人からポンをすると、相手のツキを奪うとか。奪い合うのは点数だけです。言い出したらキリありません。
今回もたまたま連勝が続く咲に、原村さんも言ってるじゃないですか。
そんなものは一時の運。単なる偶然ですよー。私には偶然はいらない。
言葉を補足させていただきますと、偶然は偶然でいいですよ。誰だってやってれば連勝する場合もあります。ただし、偶然は偶然であって、それ以上のものを持ち込むのはやめましょう。運命とか牌の導きとか流れとかツキとか。
ケンカはしないように、だいたいこの手の論争は泥沼になるんで・・・。
まあ、双方の言わんとすることはよくわかるわな。
麻雀ではこの手の論争は「デジタル/オカルト」という風にいわれ、いまでもネット上で激論が繰りひろげられとる。オカルトは牌の流れを読んだり、ツキを操ったりする戦術じゃな。これは昭和の時代に全盛を迎えとったんじゃよ。阿佐田哲也さんの功績とは別に戦術や基本的なスタンスは、今の時代から見るとオカルトに分類されるじゃろうな。
古くからやってる人は、こういう考え方の人もわりと多いわな。
こんな文章が残っておるよ。
麻雀を点棒のやり取りだとしか思えない人は永遠に弱者である。麻雀は運のやりとりなのだ。点棒の流通は誰の目にも見える。が、運の流通は見えにくい。だから多くの人が無視する
阿佐田哲也 ~Aクラス麻雀 (双葉文庫)より~
反対に、麻雀にこういう考え方を持ち込まないのは「デジタル」といわれとる。咲のアニメではまだ少ししか見えんが、原作を踏まえた上でいえば、キャラクターとしては、原村さんはいわゆる「デジタル雀士」という分類になるじゃろう。
咲ちゃんのように4連勝して、連勝の勢いがあるからといって、配られてくる牌が良くなったりはせんし、ツモがよくなったりもしない。配られてくる牌は、たんなる偶然であるって感じじゃよな。良い場合もあれば、悪い場合もあるが、精神力や不思議な力で操ったりはしない。
確率や期待値といった考えを念頭に、最大限に効率よく麻雀を打つスタイルがデジタル雀士じゃよ。特にインターネットのデータ麻雀に慣れている人は、こういう考えに行き着く傾向がある。
ネット麻雀のカリスマ、科学する麻雀のとつげき東北さんだって『偶然』を『必然』と強弁するのは欺瞞だって言ってましたよ。
彼らがただの「偶然」をそうとは認めず、さまざまな概念(「ヒキ」「勢い」「鋭い読み」など)を駆使し、ときには嘘をついてまで「必然」であると説明しようとあがいていたことを。世の中には「それは偶然である」という説明以上に正しい説明ができないものがいくらでも存在する。
とつげき東北 -科学する麻雀 (講談社現代新書) より-
さすがですよー。
ディズニーランドに一人で行ってカメラまわしたり、カラオケに一人で行ってXの「紅」を絶叫する様をニコニコにアップされちゃう人は、言うことが違いますよ!凸さんカッコイイ!
咲の世界でいえば、キャラクターの性格はもちろんあると思うが、原村さんがそうであるように、麻雀に対する基本的な考え方や、「雀風」と呼ばれる打ち方の違いも、それぞれのキャラクターにあるはずなんじゃな。
そういった視点で見てみると、咲の世界がぐっと楽しくなるかもしれんよ。
麻雀シーンの解説
さて、解説しようか。
まず前回、紹介しきれなかったが、東一局、東二局といった場面の説明をしておこう。アニメのシーンでも、さりげなく表示されとるよな。
麻雀は基本的に親が順番に反時計回りにまわってくるんじゃな。っ
最初の親はサイコロで決めたりするんじゃが、これを「起家(ちーちゃ)」とか「出親(でおや)」とかいう風に言うんじゃな。最後に親がまわってくる人は「ラス親」とか言う。
ここから、
東一局 → 東二局 → 東三局 → 東四局と順番に親が回ってくる。
第1話で片岡さんが解説してたけど、この東四局で終わるのを「東風戦(とんぷうせん)」っていうのよね。
その通り。この後に、親が一周して
南一局 → 南二局 → 南三局 → 南四局 と続くのを「半荘戦(はんちゃんせん)」というんじゃな。
本当はこの後に西一局とか北一局とかあったんじゃが、現代の感覚でいえば長いので、半分という意味で「半荘戦」や「東風戦」が今は人気じゃな。
親が変る条件はルールによって微妙に違うんじゃが、一般的なものを紹介する。
まず、親が変る条件としては
・子の誰かがあがる
というのがありますね。親があがらなかった場合には、親交代で東一局→東二局へ移行します。
それから、ツモする牌がなくなる最後まで行った時、つまり、誰もあがらなかった時に
・親がテンパイしていない
テンパイとは「あがりの一歩手前」の状態じゃが、このテンパイをしていないと、親が流れる。あがりの手前でない状態は「ノーテン」というので、「テンパイ/ノーテン」はワンセットで覚えるといいかもしれん。
つまりっ
・親がテンパイしていない = 親がノーテン
という言い方もできるわな。
ルールによっては、誰もあがらなくて、親がノーテンであっても、残りの子3人全員がノーテンであった場合には、親続行のケースもあります。他にもバリエーションはあるので、その場で確認しておくといいですよー。
親があがって、親が続行することを「連荘(れんちゃん)」というんじゃが、これは一般的な言葉として普及しとるわな。「うわー、今月はバイトで8れんちゃんが2回もあるぜー」とか、パチンコでも「10れんちゃんしたぜー」とか言うわな。
親が続行して連荘した場合は、例えば東一局一本場となる。もう1回あがると、東一局二本場、さらに続くと東一局三本場となるんじゃな。
目印として、100点棒を出して、今が何本場なのかをわかりやすくする。これを「積み棒」というんじゃなが、アニメでもちゃんと積み棒でとるよ。あくまで目印なんで、この棒そのものはとられらりはせんよ。
今回の話で、東三局一本場で原村さんの親じゃったが、そこで片岡さんがリーチをかける。残念ながら、このリーチ宣言牌が原村さんの当たりじゃった。
通らばリーチ!通しません。
ピンピンロクの1本場で11900です。
ピンピンロクってのは、11600点の略語じゃよな。
プラスして、1本場につき、誰かがあがると300点づつプラスされるんじゃな。
なので、11900点となるわけじゃよ。
2本場だと600点プラス?
そう一本×300点。点数の申告を行う時に、好みで言い方はあると思うがこのようにピンピンロクの1本場、といえば+300点という意味になる。
1本場での申告の言い方をざっと見てみると
原村「8300です」(もともとは8000点)染谷「3000・6000の一本付けじゃー」(子が3000点 親が6000点支払い+100点づつ)
合算して言ったり、別々に言ったりとまあ、人それぞれ、言い方はあるわな。ロンの場合は一人で300点支払うし、ツモの場合は3人が100点づつ支払う。細かい点数なんじゃが、終盤になってくると100点差での攻防もあるので、ボディーブローのように効いてくるんじゃな。
4,5本場になれば、けっこう点数もかわってくるのね。
基本的に親が続く限り増えていくんじゃよ
阿佐田哲也さんの有名な小説に「東一局52本場」という短編小説があるが、親が52連荘したってことじゃな。
余談じゃが、この小説の最後は52連荘していた親の若者が負けるんじゃよ。なんで負けるかは興味があると読んでみたらいいじゃろう。
やっぱり、親が続く時とかって、勢いみたいな感じとかしないかしらね?
「なんだか、あがれそうな予感」みたいなの・・・
みんなはないのかしら? この前もネットのゲームで一時期、怖いくらい成績よかったりしたのよね・・・
それも偶然の範疇ですよ。
ベストスパン方式で集計したら誰だって成績のいい瞬間はあります。
ベストスパン方式とはですよ、連続するゲームの成績のうち最短のものをさしますね。ここで境界 (期間の端点) は周期的に処理します。具体的には各ゲームの成績が {Si}, 試合数重みが {Ai} (1≦i≦n, Ai∈(1.00, 1.05)) 獲得ポイントが Phead-to-head であるときSn+i := Si としてゲーム列末尾の後に先頭部分を補完し ΣmM := Σm≦i≦M Si (1 ≦ m < M ≦ 2n, M-m ≦ n, m ≦ n) として評価対象の各ゲームを定め、 ΣmM ≧ P-Phead-to-head となるような (m, M) に対する Σm≦i≦M Ai の最小値 を評価対象の試合数とするんです!!
なに言ってるのか、ぜんぜんわかんない。
いや、もうその話はいいよ。
というか、たぶん、その説明はいろいろ無理がある・・・。デジタルとかオカルトとか、そういう話はもう禁止にするので、それぞれ好きに麻雀やって、自分の気に入った打ち方でもすればいいんじゃよ。ゲーム中に電卓はじこうが、邪気眼を使おうが、まあルールの範囲ならOKじゃよ。
長くなってしまったので続きは次回!