咲-saki-麻雀解説 第3話「対立」2/3

今回も確実にネタバレしてます!

少し今回の話で戦術的なことを解説しておこう。

東一局で親の原村さんからリーチが入るんじゃが、そこでの片岡さんの判断を見ておこう。

 (リーチ!)

片岡さんの手牌

     

親のリーチに対してを捨てて勝負を挑んだわけじゃが、結果としては残念ながら当たられてしまった。しかしながら、無謀ではないと思うし、今回は当たられてしまったが、この状況から比較的安全な牌であるという判断も可能なんじゃな。

そのへんを解説していく。

基本戦略「筋(すじ)」の考え方

まずは麻雀戦術の基本的な考えである「筋(すじ)」を紹介しておこう。

これはまず麻雀は「両面待ち(リャンメンまち)」が有利という前提がある。

どちらもあと1つで完成の状況です。

    
シャンポン待ち(シャボ待ち)

    
両面待ち(シャボ待ち)

当たりの牌はともにですが、両面待ちであるほうが有利ですね。

麻雀は同じ牌が4枚しかないから

  

この場合は合計8枚の当たり牌がどこに存在しているってことよね。

そうじゃよな。

ただし、上段のシャンポン待ちの場合は、残り8枚の当たり牌のうち、半分にあたる4枚をすでに自分が持ってしまっているという点が異なる。

逆に下段の両面待ちは1枚も持っていない。同じの当たり牌でも、状況としてはけっこう異なるんじゃな。

この意味で麻雀は基本的に

 とか  とか  のように

両面で受けれる形に持っていくと、確率的にも効率が最もよくて3枚1組のグループができやすいんじゃな。両サイドでの受け入れが可能なんで、効率的にいいんじゃよ。

リーチをかける時でも、序盤で両面待ちでのリーチをかけると6割ぐらいの割合であがれるというデータが出ておるよ。

逆に当たり牌が1種類しかないような

     カンチャン待ち

     タンキ待ち

などは、両面待ちに比べて不利ということじゃな。難しく考えんでも、要するに「当たり牌が1種類」の状況と、「当たり牌が2種類」の状況では、どっちがあがりやすいのか? という単純な問題と考えてもいい。

相手が両面待ちであるという前提があると、そこから「スジ」の考え方が成り立ちますね。

原村さんの捨てた牌をもう一度、見てみよう。

 

ここから原村さんが両面待ちであるという前提をくわえると、が捨てられているってことは

    

    

という両面待ちである可能性はないって判断ができるんじゃよな。

つまりが原村さんが捨てた牌で安全ってことなんで、これは確実にロンされることはない。

くわえて、「すじ」の牌であるも安全じゃないのか?!

という推測が成り立つ。これが「スジ」という考え方の基本じゃな。

一般的にスジは

--(1-4-7)  

--(2-5-8)

--(3-6-9)

という考え方ですね。

相手の捨てた牌に例えば

があった場合には、相手が両面待ちであると仮定するなら

    

    

この2つは可能性としては消える。

つまりも安全度としては高いという考え方が成り立つ。

今回、片岡さんが捨てたのは、原村さんの捨てた牌のスジにあたるじゃから、比較的、安全であると判断した可能性はあるわな。

それと、もう1つある。

壁の考え方

まだあるの?

もう1つは「壁(かべ)」と呼ばれる考え方じゃな。これは「ノーチャンス」ともいう。スジと似たような考え方じゃが、少し違う。

今の片岡さんの手牌はこんな感じじゃな。

     

例えば、この状況で他の誰か、京太郎君でも染谷さんでもいいがを1枚捨てていたとしよう。要するにの所在が4枚ともすべて把握できるような状況じゃった。自分で4枚持ってもいいし、誰かがカンしていたとしてもいい。とにかく、4枚すべてのある場所がはっきりとわかる。

ここで、先ほどの両面待ちであるという前提を加えると

    

という両面待ちは存在していないことになる。が4枚明らかになっている以上は、上の両面待ちは成立しない。

つまりが安全であるという考えが成り立つんじゃよ。

が4枚見えている場合ですと

    

    

この2つの両面待ちが可能性として消えます。なのでが比較的、安全であるという判断が成り立ちますね。

ただし、スジと違ってなどは危ないですよ。

    

という可能性は十分に考えられますからね!

今回の片岡さんの手は

     

を3枚持っているわけじゃよ。

あとの1枚は?

あとの1枚はどこかわからん。

こういう状況を壁/ノーチャンスに対して少し安全度は落ちる「ワンチャンス」と呼ぶんじゃな。

最後のを原村さんが持っている可能性はもちろんあるが、まだ山の中に眠っていたり、残り二人がすでに持っている可能性ももちろんある。

当たるとしたらワンチャンスだけなので、ワンチャンスというんじゃな。

4枚すべてが見えている壁/ノーチャンスの状況に比べると危険じゃが、それでも、普通にスジでも壁でもないド真ん中の牌を切るよりは安全度は高いわな。

片岡さんは、原村さんの捨てた牌と自分の持っている牌から「スジ」と「ワンチャンス」の状況で、わりと安全と思ってを捨てたってことね。

残念じゃが

  

この形で当たられてしまった。変則の待ちじゃが

 のどれが来てもOKの、かなり広い良い待ちじゃよな。

残念ながらスジや壁は相手が両面待ちである場合にだけ有効なんで、こういう形で待たれている場合には意味がないんじゃよな。もちろん、相手が両面待ちである傾向が高いという前提なんで有効度は高い戦術なんじゃが、どうしても今回のようにそうでない例外の場合もある。

片岡さんも仮にがセーフだったら

    

の当たり牌で勝負できるのよね。

この状況で親に勝負を挑んだのは、意見わかれる要素はあるかと思うが、片岡さんもセーフならの良い待ちで勝負ができる。

他にスジや壁が有効な牌もないし、ワシもこの中ではが安全と思うわな。

さすがにのようなど真ん中を捨てるなら話は別じゃが、は端っこじゃし、まあOKじゃないかと思う。

じゃあ捨てるのはOKなの?

この状況で何を捨てるのがベストかってのを麻雀ライターの福地君に質問してみたんじゃよ。彼は近代麻雀という雑誌で「頭がいい人、悪い人の麻雀」というコラムを連載しているので、この手の問題はスペシャリストなんじゃな。

この状況でを捨てるか?って質問なんじゃが、こんな答えがかえってきた。

5000%切りますね。

それしか切るもんないですし。

これで当たったら、読みがどうとかって話じゃなくて、その日の運勢とかそーゆー話ですね~。

確かに他に捨てる牌がないんじゃよな。自分があがることをあきらめて安全な牌を捨てるって「ベタオリ」という選択は麻雀にはあるんじゃが、この状況ではベタオリしたくても捨てる牌がないんじゃよな。

むしろ、この状況ではが一番安全と判断してもいいと思う。

合理的に説明できてベストな選択をして振り込んでしまっても麻雀では「ミス」とは言わないわな。運が悪かったという感じ。

けど、18000点の失点は痛いわよねー。

う~ん、麻雀を長くやってたら、ものすごく不運な日もあるし、上の状況ならどれだけ上手い人でも、片岡さんのように振り込んでしまうじゃろう。

むしろ、結果に一喜一憂するよりは、手順として本当に正しかったのか? 他に可能性はなかったのか? という部分を考えるほうが大切じゃな。

麻雀は少なからず偶然に左右されるゲームじゃから、仮に最善の正しい手順でも、勝てないケースもあるじゃろう。ただし、正しい手順で打っていれば、それは長期的な成績で見ると結果に反映してくるから、そっちを大切にしたらいいと思う。

さて、切りの良いところで次回に続くぞぃ!


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