鼻歌にコードを付けよう

実践編(1)

 曲を作って、コードを付ける。そのコード進行には絶対にこうしなければいけないというような決まりはない。しかし、「こうしたほうがいいよ」と言うような、セオリーとか経験則みたいなものはたくさんある。一般に名曲と言われるものや、気持ちよく聞ける曲、ヒット曲などは理論的に納得できる手法が使われているものだ。
 ここでは、おとの「秋風の街」と言う曲のエンディングのメロディーを使って、簡単なコード・進行の理論を当てはめてみる事にしよう。
 この曲を、聞いたことのない方は、聞いてみて下さい。

 

ダイアトニック・コードでのアプローチ

楽譜をクリックすると音がでます。
最も基本的なパターン

 「秋風の街」のオリジナル・キーはEメジャーだが、ここからの楽譜はCメジャーに移調したもので解説する。

 まずは、主要3和音だけを使った基本的なパターン。サブドミナントのFmaj7でぐっと盛り上げ、ドミナントG7の緊張を保ちつつトニックのCに解決してホッとする。あまりに、恥ずかしいくらいの基本中の基本パターンである。最近はあまり使われないパターンだが、コード進行のなんたるかを理解する上で、重要な意味をもつものである。
 7〜8小節のように、ドミナント・モーションを使って終わる形の事を”ドミナント終止”といい、最後のトニックのルートがトップ・ノート(一番高い音)に来る場合を”完全終止”と呼ぶ。この曲の場合、メロディーがトップ・ノートなので、完全終止になっている。また、4〜5小節もドミナント・モーションになっているが、ここはフレーズの最後をドミナントで緊張しつつ、次のフレーズの頭でトニックのCに解決させている。
 ここでは、バッキングのボイシングにも配慮が必要である。今回は、コード転回形を使って、スムーズに流れるように配慮した。コードの転回は、コードがスムーズに流れるように使うことが重要である。もう一つ、あえて3小節のFmaj7のトップノートにFを入れたが、これはよくない例である。メロディーとバッキングのトップ・ノートが同じなので埋もれてしまう可能性がある。しかし、これを入れないとバッキングのトップノートEとメロディーFが近いので歌いづらくなる場合もある。以上の2点を考えながら、いろいろとコードを回転させて行くのも楽しい。

 今回、付けたコードは1〜2小節にCが2つ並んでいるところにちょっと違和感があるだろう。次は、その辺を解決していこう。

 

少し代理コードを使ってみる

 代理コードを使うことにした。ここで、もう一度代理コードの復習をしておこう。

 何々、Cの代わりにEm7かAm7が使える。それではAmを使ってみよう。少し落ち着いたかな?
 実はこの曲、最終的なコードはこれなのだが、ここで終わってしまっては面白くない。次回は、もっと代理コードを使ってみよう。

 実は4〜5小節もドミナント・モーションであり、ルートは強進行である。最初のフレーズ終わりの小節(4小節目)に来てもドミナントのままで解決しないで、次のフレーズの頭(5小節)にスムーズにつながっている。

 

適当に代理コードを使ってみる

Cメジャーの場合の代理コード
  トニック   :Cmaj7  代理コードとしてEm7とAm7が使用できる。
  サブドミナント:Fmaj7  代理コードとしてDm7が使用できる。
  ドミナント  :G7    代理コードとしてBm7(b5)が使用できる。

 Cの代わりにAmを使った箇所をEm7にしてみた。これは、結構いけるではないか。何と、ベース音がドミナントに向かってE→F→Gの進行になった。こういった進行は、安心感がある。

 代理コードを適当に使ってみた。この方がいけるかも知れない。

 

”いち・ろく・にい・ごう”の定番のコード進行

 さて、前のページで5度圏について触れた。その時、ベース音が完全5度下への進行、または完全上への進行が一番安定して聞こえることを解説した。

 トニック(C)に戻るために一番安定して聞こえる響きは、E→A→D→G→Cである。これと、代理コードを考えてみよう。結果が”いち・ろく・にい・ごう”の定番のコード進行の楽譜である。
 まず注目したい点は、Dm7→G7(→C)の箇所で、ルートが強進行になっているので、Fmaj7→G7よりもドミナントを導くサブドミナントの役目としては効果的である。これは、”ツー・ファイブ・モーション”と呼ばれる。さらに上で、Em7に変えたところをAm7に戻してみよう。この場合のAm7は、単なるCの代理コードではなく、強進行によりDm7を導くために使われたのだ。I→VIm7→IIm7→V7の王道のコード進行が生まれた。

”いち・ろく・にい・ごう”の定番のコード進行の完成である。

 色々いじってると、ツー・ファイブ・モーションが生まれ、”いち・ろく・にい・ごう”の定番のコード進行が出来てしまった。

 

偽終止

 代理コードの中で、Am7はCの代理コードとなると言った。そこで、最後の小節のCをAm7に変えてみた。そうすると、完全終止形が無くなり、曲が次へと続いていく感じになる。これを「偽終止」と言う。おとは、拓郎さんの影響で、偽終止をよく使うのだが、この曲に合うかどうかは???かな。もちろん、Cから始まる、始めなければいけない、何も考えずにCから始めよう、などを一掃するために、Am7から始めてみるのも良いだろう。

 

分数コードを使ってみる

 さて、代理コードを使ったパターンの最後に、分数コードを使ってみよう。ここでは、2つの注目点がある。一つ目は、コードの回転形を使った物の一つ、である「ベースの順次進行」と言うものだ。順次進行とは、ある音がスケール上の隣り合った音へ順番に上がっていったり、下がっていくこと。その音がベースの場合は、代表的なルート・モーションとなる。この例では、トニックのC〜ドミナントのG7に向かって、ドシラソと下がるパターンだ。
 二つ目の注目点は、7小節2拍目はG7にすると強進行が生まれ、強いドミナント・モーションが生まれるのだが、ここを逢えてDm7/Gに変えてみた。このコードはG7(9)sus4と同じ構成音を持っているため、強いドミナント・モーションが起こらない。サス・フォーはメジャーとマイナーとメジャー、またはドミナントとサブドミナントの中間的な音色を持っているからだ。

 いかにも「終わるぞ!」と言いたげなドミナント・モーションを使うより、このIIm7(on V)を使った方が上品な感じが出せる。

  



HOMEはおとのサイトのMIDIのMENUに戻ります。

Copyright (C) 2004 Kawahagi-3-Cycle