MIDI打ち込み講座

Drum編

Drum編を見るに当たって
タイムベース いろいろなMIDIシーケンサーに対応するため、タイムベースは「48」(四分音符=48)
ステップタイム 題材(加工前)サンプルは全てジャストのタイミングで入力している。
ゲートタイム Drumは「1」、他の楽器はステップタイムの80%位の数値を入力している。ただし、あまりにもみっともないところは、適当に変えている。
ベロシティ 題材(加工前)サンプルは全て「100」前後で入力している。
エフェクト 全く何もかけていない。
 聞いていて何の面白味にも欠けるデータからスタートする。つまり、楽譜を入力した直後の状態からどのように修正していくか、おとなりの方法を紹介する。

 自分の音源で聞いてみたいという方は左のボタンをクリックしてください。DOWNLOAD出来ます。大したデーターではないですけど。
 8beat.sit(12k)Norton AntiVirusでチェック済み   8beat.lzh(12k)もあります。

8ビート/スネアドラム
 8ビートは、たぶん一番よく使われるリズムだと思う。また、打ち込みも行いやすい。シーケンスソフトなどを購入すると、MIDIのDrumパターンが付録で付いてくるが、8ビートと16ビートのリズムが一番多いんではないかな。いろんな人が使うということで、その分多くのパターが存在し素敵な音楽を聞かせるためにはそれなりのセンスが必要となる。おとにはそれほどのセンスはないが、「こうすれば少しだけ良くなるかな」というテクニックを紹介する。

 まずはこのデータを聞いてみてください。

 次にこのデータを聞いてみてください。違いがわかりますか?「同じじゃない」ちょっと変えてみたんですが。サンプル1に比べて少しノリが良くなったと思いませんか。これで完成です。

 最後のフィル・インを変えてみたくなりました。なんか格好悪いですね。

打ち込みだから何でもあり。そこでこんな風にしてみました。あまりやりすぎると怒られそうなのでこの辺で止めにします。あとは、ベースと上物をいじれば完成です。
 少しでもノリをよくするためにはどうすればいいのか。おとは、最初ノリをよくするためには、喰って行かなきゃ(タイミングを前にずらす)駄目だと思っていた。サンプル1とサンプル2の違いは、実はその逆なのだ。コツは、スネアドラム(SD)だけ、タイミングを少し後ろにずらす。サンプル2はサンプル1のSDだけ、1ステップ後ろにずらしてある。こうすることで、逆に乗りが良くなり音楽に厚みが出てくる。タイムベースが「48」(四分音符=48)であれば1か2ステップ分、タイムベースが「480」(四分音符=480)であれば5〜20ステップ位の間で後ろにずらすと良い。ジャンルやテンポによってどのくらいずらすかは色々だが、タイムベースを大きくできるシーケンサーでは、いろんなステップでずらし、最良のステップを探してみることも必要だろう。
 サンプル3のような、今ではあまり聞かないSDの連打のフィル・インだが、これはずらさずにジャストのタイミングで入力する。曲全体のSDはずらし、フィル・インはジャストに入力することで、こんな格好悪いフィル・インでもノリがよく感じませんか?。
 要点は以上の2つだ。SDを後ろにずらす。フィル・インはジャストで。できれば、SDの正確な位置に、聞こえないくらいの小さな音を入れておくと効果がある。

サンプル曲紹介
ラブ・ストーリーは突然に WORDS & MUSIC BY 小田和正
 この曲は、・・・・・知ってる。じゃあ説明を省略して、「ラブ・ストーリーは突然に」のイントロを使いました。曲名まで「東京ラブストーリー」だと勘違いしている方がいるようですが、こちらはドラマの題名です。


8ビート/ベースとバスドラム
 どんなビートでも、ドラムとベースがリズム全体を構成している。バスドラは、ベースに添って叩かれる方が多いが、全部ぴったり叩いた方が気持ちいいとも言えない。

 まずはこのデータを聞いてみてください。ベース・ラインは無視した8ビート・パターンです。

 次にこのデータを聞いてみてください。バスドラをベース・ラインにぴったり、全部叩いてみました。上のデータより幾分ましですが、少し息が詰まりそうですね。

 バスドラを部分的に抜いてあげます。ずいぶん良くなったと思いませんか?

 こんなベース・ラインの曲も、バスドラをぴったり叩くより、ある程度抜いてあげるとこのようになります。
 説明は必要ないと思う。打ち込みでは、いくらでも音を詰め込むことが出来る。それで、人が演奏するよりももっと、ベースに合ったドラムを叩けると思って、詰め込みすぎると逆効果である。ベース・ラインも消してしまうし、ビートも止まってしまう。本当に、自分が叩いている気持ちになって、バスドラを少し抜いてあげよう。


8ビート/おかずと金物
 聞こえない音の効果と金物(クラッシュ・シンバルなど)のタイミング。

 8ビート/ベースとバスドラのデータです。4小節目に簡単なフィル・インを入力して、5小節目の頭はクラッシュ・シンバルで始めています。音(流れ)が少し止まって聞こえますね。

 次にこのデータを聞いてみてください。聞こえない音を入れて、クラッシュ・シンバルのタイミングを変えてみました。どうでしょう。

 データがどうなっているか、ゆっくり演奏してみました。
 譜面が書けないのが悔しい。フィル・インは、Low Tom(付点8分音符)、Snare(16分音符)、Snare(8分音符)、Low Floor Tom(8分音符)で、8ビートの所にも書いたのだが、フィル・インはジャストで入力する。実際にドラムを叩くときは、Hi-Hatは叩かないからこのデータは消しておくとよい。次の小節の頭のCrush Cymbalのところも同様にHHは消しておこう。その方が、発音数の節約にもなるし、Hi-Hatを抜くことで音の粒が明確になって、ビート感が出てくる場合がある。
 「ゆっくり演奏」を聞いてみると、最初のLow Tomと次のSnareの間に小さいSnareの音が入っていると思う。イン・テンポで聞くと聞き取れないくらいだが、16分音符で2つ入れてある。Snareのベロシティーは105で入力したが、この2つは最初が15、つぎが45のベロシティーで入力した。このように、聞こえない音を入れることによってフィル・インのドライブ感が増してくる。また、入れるタイミングを変えたり、ベロシティーを変えることで、昔流行ったゲート・リバーブ・逆回転のような効果も出せる。
 最後に金物だが、金物の発音タイミングって音源によって微妙に違う事が多い。ジャストに打っても、ジャストに聞こえたり少し遅れたりする。このデータは、2ステップ分早く打ち込んである。曲によっても早めの方が良い場合と、遅めの方が良い場合とがあり、これだけは聞いてみて判断するしか無いと思う。一概には言えないが、おおむねテンポが速く軽い曲は早めに、テンポが遅く重い曲は遅めのタイミングで打ち込むと良い結果が得られる場合が多い。キーボードなどから、real timeで打ち込む場合も、あとで多少修正をした方が良い場合もある。
ゲート・リバーブ・逆回転
 誰が最初に考えたのでしょうか、リバーブを逆にかけるんです。昔のやり方は、テープに録音します。そのテープを逆回しにしてリバーブをかけて、その音を録音します。それを元に戻して再生すると、リバーブの音に続いて「ズドン」という感じで音が鳴るわけです。おとも、高校の音楽室にあった4トラックのオープン・リール・デッキと、ミキサーに付いていたバネ式のリバーブで実験したことがあります。現在ではデジタル・リバーブでも同じ様な効果が得られますが、打ち込みでも実際の音の前に聞こえないくらいの小さな音を入れておくと、同じ様な効果が得られます。多用するとうるさいので、ここぞの時に使ってみましょう。


8ビートだけど実は16ビート
 8ビートを叩いているのに、16ビートに聞こえる。また、バックのギターやベースが16ビートを刻んでいるのに、ドラムは延々8ビートを叩いているというような曲。テンポは四分音符=110前後のミディアム・テンポの曲が多い。サンプル曲はそう言った意味では、ちょっと違うが、適当な曲が見つからなかったので悪しからず。

 まずはこのデータを聞いてみてください。もうこれはこれで、Drumだけは完結しているのですが。

 次にこのデータを聞いてみてください。迫力のあるドッカンというSnareが表現したかったのですが、この辺が限界でしょうか。

 8ビートのバラードと捕らえるなら、このような感じになります。 

 16ビート風のノリを表現してみました。このように完結している曲をいじるのは、ちょっと気が引けますが。
 ディッビド・フォスター大先生のプロデュース、こんな曲をいじっても良いものだろうか。この様な曲のドラムの打ち込みをする場合、8ビート・バラードなのか16ビートなのかで雰囲気がガラリと変わってくる。原曲では、音の選び方と、エフェクト処理によって重厚な8ビート・パターンが刻まれているが、いろんな人に聞いて欲しいMIDIデータ、特にWeb上にのせるデータを作る場合は、音源やエフェクト処理まで指定することは難しいと思う。
 重厚なSnareをどうやって作るか? 今回は、おかずのところで説明した、ゲート・リバーブ風に挑戦して見た。これまで通り、Snareの位置はジャストよりも2ステップ分後ろに下げて入力する。ベロシティは105にして、ジャストの位置にベロシティーが15、1ステップ後ろに40で音を入れておいた。このように、実音の前に聞こえ無いくらいのベロシティーから、徐々にベロシティーをあげて2〜3音入れておくと重みが出てくる。また、後ろにベロシティを下げて入れると、ディレイのような効果の出せる。ただし、Snareの位置はジャストよりもどのくらい下げるか、どの位置にどのくらいのベロシティーで音を入れるかは、実際に聞いてみて判断するしかない。
 重要なのは、今作っている曲を8ビート・バラードと捕らえるのか16ビートと捕らえるのか、作者の感性の問題だろう。まず、8ビート・バラードの基本パターンに修正してみる。2拍目裏に、ベロシティーが普通の半分くらいのバスドラを入れておくが、4拍目の裏はここぞという時のために、バスドラをあえて抜いておく。Hi-Hatは、4分音符がよくわかるように、ベロシティーで強弱を付けておく。8ビート・バラードの場合は、曲の最初がリム・ショット盛り上がって後半Snareというパターンもよく使われる。この曲を、8ビート・バラードにしたデータは如何ですか。ちょっと?。
 そうです。Drumは完璧な8ビートを叩いているが、実は16ビート(風)なのです。16ビート風のノリにしたデータは、ベースのラインにそって、16分音符のバスドラを低めのベロシティーで入力した。ほとんどベースとかぶっていて聞こえないと思うが、2つ目、3つ目のデータと聞き比べてみて。後は感じ方と、考え方の問題です。

サンプル曲紹介

HARD TO SAY I'M SORRY
/GET AWAY

Chicago
WORDS & MUSIC by PETER CETERA & DAVID FOSTER

「CHICAGO GREATEST HITS 1982-1989」

 見てわかる通りこれはベスト・アルバムで、実は1982年に発表された「ラブ・ミー・トゥモロウ(シカゴ16)」に収録されている。今回は、曲の途中をサンプルに使ったため、「こんな曲知らない」と思われる方もいるかもしれないが、一時期なんかのCMにも使われていたし、一度聞いてもらいたい、おとの好きな曲の一つである。
 ギターのテリー・キャスを拳銃の暴発事故で失い、長い低迷期にあったシカゴがカムバックを果たすきっかけとなったアルバムが「シカゴ16」で、ディッビド・フォスターのプロデュースが冴えてる。この中の名曲、「HARD TO SAY I'M SORRY/GET AWAY(素直になれなくて)」を取り上げてみた。



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